世界を見据え、チームを“勝たせられる”選手に【インタビュー|安永玲央/横浜FC】

世界を見据え、チームを“勝たせられる”選手に【インタビュー|安永玲央/横浜FC】

PROFILE やすなが・れお/2000年11月19日生まれ、東京都出身。177センチ・72キロ。やはたFC―川崎U-15―横浜FCユース―横浜FC―富山―横浜FC。J1通算11試合・0得点。J2通算2試合・0得点。J3通算2試合・0得点(11月7日現在)。(C)J.LEAGUE PHOTOS



 目覚ましい成長を見せている赤丸急上昇の逸材だ。

 横浜FCでプロ2年目を数える19歳のボランチ、安永玲央。ルーキーイヤーの昨季はレンタル先のJ3の富山でも思うように出場機会を得られず、復帰した今季もシーズンの序盤戦は難しい時間を過ごしていたが、夏場に入ってから徐々に評価を高め、現在はレギュラーポジションを掴むまでになった。

 豊富な活動量をベースに、惜しみないハードワークとテンポの良いパスワークでチームを活性化。試合を重ねるごとに逞しさを増している俊英の現在地に迫る。

――◆――◆――

――富山からレンタルバックしたプロ2年目の今季、どんな意気込みでシーズンに臨みましたか?

「富山にいた期間は3か月半ぐらいですが、その間に自分を見つめ直したというか、いろいろなことを考える時間が増えました。それで今シーズンは本当に、横浜FCに戻って絶対に試合に出るっていう気持ちは強かったです」

――富山では、どんなことを考えられていたのですか?

「自分が富山にいる時に、同世代の活躍だったり、横浜FCの戦いぶりが情報として入ってくるなかで、富山で自分は試合に絡めていなかったり、チームに貢献できていなかった。今の自分には何ができるのか、活躍しているみんなとの違いとかを考えていました」

――答えは見つりましたか?

「見つかったかどうかは分かりませんが、当時はサッカーに割く時間がそこまで長くなかったんじゃないか、と。もっとその時間を増やさないと、と思いました」

――新たな気づきがあった貴重な3か月半でしたね。

「そうですね、自分にとっては大きな時間でした」
――横浜FCに戻った今季、コロナ禍によるリーグ中断もありましたが、再開後はしばらく出場機会を掴めずにいました。その時期をどう振り返りますか?

「試合に出ていないぶん、身体を追い込めるというか、身体作りができる期間だと思ったので、積極的にトレーニングに取り組んでいました」

――試合に出られなかった理由をどう考えますか?

「まだ仲間や監督の信頼を十分に得られていなかったり、単純に技術や能力の部分ではないでしょうか」

――ただ、8月にはルヴァンカップで2試合に先発フル出場しました。

「積極的に自分を追い込んで、身体作りをしていたなかでのルヴァンカップでした。試合に出たら“やってやるぞ”という気持ちが強くて、そこで良いプレーはできたし、自分の中では予定どおりではありました」

――そして9月に入ってから状況は一気に好転。14節の鳥栖戦でベンチ入りして、それ以降はボランチのレギュラーに定着しました。

「コンディションの面でも、メンタル的にも整っていました。ピッチに立てば、自分に与えられた役割はある程度、こなせていると思います。今まで培ってきたものがあるので、求められている仕事はコンスタントにできているはずです」

――下平(隆宏)監督からはどんな声掛けや指示があったんですか?

「ハードワークをして、ボールを奪って、前に運んだり、展開するのは求められている部分です。ボールに厳しく行くとか、そういうチームのためになるプレーですね」

――改めて、レギュラーという立場をどう受け止めていますか?

「今、試合に出られていますけど、シュンさん(中村俊輔)やダイさん(松井大輔)、(佐藤)謙介君だったり、いろんな選手がいるなかで、自分が結果を出し続けないと、試合に出続けるのは厳しいと思っているので、常に危機感を持ってやっています」

――ここまでの自身のパフォーマンスについての自己評価は?

「守備の部分など与えられた役割はある程度、こなせているとは思いますが、アシストや得点といった数字は残せていないので、目に見える結果は出せるようにしたいです」

――試合に出続けることで、心境の変化はありますか?

「試合に絡めていない時は、試合に出たい、出て活躍したい、という想いが大きかったんですけど、試合に出られるようになってからは、“チームを勝たせたい”と、そういう気持ちのほうが強くなってきましたね」

――責任感も芽生えてきた?

「ボランチはチームの中心、軸だと思うし、自分の出来がチームのパフォーマンスを左右する部分はあるので、責任は感じるようになってきました」

――プレー面で重視していることは?

「ハードワークだったり、攻守の切り替え、ボールを奪うことなど、自分にできることを、まずは献身的にやる。なんていうんですかね、自分にできること以上のものを、あまり求めすぎないようにしています」

――鋭い出足でのボール奪取など、強度の高いディフェンスが特長ですよね?

「相手のやりたいこと、出しどころ、考えていることを予測することにもつながるので。そこは駆け引きのひとつとして、楽しい部分ではあります」
――一方で、シンプルなパス捌きも実に効果的だと思います。

「顔を上げた瞬間に、みんな顔を出してくれるので、自分が一個二個、運ぶより、アイデアのある選手やフリーになっている選手にパスを出す、それは心がけています」

――ボールの流れをスムーズにして、チームメイトを活かすことも。

「良い選手が揃っているなかで、自分がいかに味方の長所を引き出せるか。そこはボランチの生命線にもなってくるので」

――手塚康平選手とボランチでコンビを組むことが多いですが、意識していることは?

「自分たちふたりで、ボールをしっかり捌いたり、チームを動かしたり。ふたりのパス交換が増えることでチームのバランスも良くなると思うので、距離感は意識していますね」

――これまで対戦してきたJ1のチームの中で、印象に残っているボランチは?

「FC東京の萩(洋次郎)選手は印象に残っている選手のひとりですね。パスの出しどころが読めなくて、トラップも上手いから寄せ切れない。視野も広いし、簡単に飛び込めなかったです」

――現時点で自身の課題を挙げるとすれば、やはり攻撃面ですか?

「あとは、イージーなミスを減らすこと。後半は疲れてくるとミスが増えてくるので、そこの精度を上げられるようにしたいです」

――多くの収穫や課題が見えてきたなかで、着実に実績を積み重ね、力をつけている今季は、充実感があるのでは?

「試合に出られているのは嬉しいし、喜びを感じながら毎日を過ごせています。ただ“チームを勝たせること”はあまりできていないと思います。個人としては多少、充実感はありますけど、まだまだなのかな、と」

――プロ1年目の昨季は横浜FCと富山でプレーも、満足のいく出場機会を得られませんでした。当時は焦りや不安もありましたか?

「プロ1年目は厳しいとは聞いていましたし、試合に出られなくて当然かな、という考えは頭の片隅にはありました」

――そうした時期と比べて、大きく前進している今季。自身の伸びしろをどう感じていますか?

「まだまだ途中経過に過ぎないし、まだまだ自分は伸びて行けるし、世界に出て行ける選手だと信じています。謙虚に、献身的に積み重ねていって、これからもどんどん伸びていけると思っています」

――“世界”という舞台を見据えているんですね。

「はい」

――その意味では、横浜FCには三浦知良選手、中村俊輔選手、松井大輔選手など、海外でも活躍したビッグネームがいます。いろんなことを学び、吸収できているのでは?

「偉大な選手がいるなかで、そこですごく感じるのは、みんな本当に心からサッカーが好きなんだな、と。それは忘れていけない部分だと、一緒にプレーしていて実感しますね」

――10代の頃にスペイン行きを模索していたんですよね?

「中学を卒業後、向こうのチームのセレクションを受けられるかもしれないという話があって。チャンスがあれば行ってみたかったのですが、いろいろあって最終的には行くことができませんでした」

――将来的には、海外のクラブでもプレーしてみたい?

「そうですね」
――その前にJリーグでのさらなる活躍を期待していますが、シーズンの終盤戦、ここからどんなパフォーマンスを見せていきたいですか?

「チームのために献身的に走るところだったり、奪ったボールを前につなげたり、得点やアシストも狙っていきたいです」

――チームとしては、ここまでの戦いぶりを踏まえて、今後はいかに戦っていくべきかと考えていますか?

「自分たちのやりたいことをブレずにやってきて、どの相手に対しても、ビルドアップなど通用する部分は増えてきています。あとはいかに得点を奪い切れるか、いかに守り切れるかが課題だと思うし、そこが向上していけば、勝ち星も増えていくはずです」

――ポゼッションにこだわり、主導権を握って、能動的にアクションを起こす。下平監督が目指すサッカーはやはり楽しいのでは? 

「ビルドアップしてゴールまでつなげるっていうところは、難しいですけど、できるとすごく楽しいですよね」

――そうしたなかで、安永選手の今後の活躍と成長を期待しています。

「チームを勝たせられる選手にはまだなれていませんが、自分がいることでチームが良い方向に進んでいけるようにしたいし、勝てるチームの中心選手になっていきたいです」

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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