【三浦泰年の情熱地泰】楽しみな「ブラジル会」イベント。本音ベースで現地の事を語り尽くしたい!
2020年11月16日 19時00分 サッカーダイジェストWeb

ブラジル会の仲間であるマルセロ氏(グレーのシャツ)とドリームストックのスタッフと撮影。
「圧倒的に情報が少ない」と聞いて実現しようとしている企画がある。
少し宣伝になってしまうかもしれないが「ブラジル会」のイベントである。これは何かというと、僕は2019年にのべ8か月間をサンパウロにて単身で生活していたが、その時に知り合った仲間たちで「ブラジル会」と称して会食を行なっているのだ。
初めは自粛中によりリモートで顔を合わせて盛り上がった。正直、ブラジルの仲間だと遠慮なく本音が出てきて面白かった……。それが少しずつ自粛が緩和されて、ブラジル料理を懐かしみながら行なうようになった。
ブラジルで頑張る日本人がサッカーの話だけではなく、いろんな話で盛り上がる。そしてある時、「いかなる情報でも圧倒的にブラジルの情報は少ない」と、仲間のひとりが言い出した。 仲間の中で、彼だけはブラジルではなく、ヨーロッパの生活経験がある人だった。そして、彼は「この会にいるとブラジルの話がたくさん聞けて嬉しい」と言った。
そうした話の流れのなかで、今回、このブラジル会の話をたくさんの人に聞いてもらおうということになったのだ。
その企画が12月1日に開催される。登壇者は僕と松永・マルセロ・ハルオ株式会社dreamstock代表取締役、そして中山充ブラジル・ベンチャー・キャピタル代表取締役。この3人のやりとりになる。
中山充さんはイン&カンパニー東京支社勤務後、起業を経て2012年よりブラジルに移住。ベイン&カンパニーサンパウロ支社を経て、ブラジル・ベンチャー・キャピタルを創業。ラテンアメリカのスタートアップへの投資事業、日本のスタートアップのラテンアメリカ進出を支援。JETROグローバルアクセラレーション・ハブ事業サンパウロ担当。ブラジル日本商工会議所イノベーション研究会幹事をなさっている。
松永・マルセロ・ハルオはブラジル、サンパウロ生まれ。プロサッカー選手を目指しながら怪我で断念して以降、ITの分野活躍してきた。「サッカーボールとスマホがあればプロのサッカー選手を目指せる」をコンセプトに2018年7月にスマホアプリのdreamstockの運用を開始。ユーザーはアプリに自分のサッカー動画をアップロードすることで、dreamstockが提携しているプロチームのオンライン選考に参加でき、通過者はプロチームに合流して最終テストを受けられる。既に20名のユーザーがプロチームに合流しており、契約に至る選手も出ている。
2人との出会いは中山さんとは2019年コパ・アメリカ(南米選手権)で知り合い、プライベートでもサンパウロの美味しい店をグルメツアーした仲。年末年始で行なわれたコパ・サンパウロの監督時は一番のサポーターであり、応援してくれた人だ。また、日系人に声を掛けてくれて毎試合、スタジアムに応援しに来てくれた人物でもある。
マルセロは日本で一度、友人を通して紹介してもらったが偶然、サンパウロで再会した。日系ブラジル人で日本の教育を8歳ごろから受けている。だから僕よりも(!?)日本人らしい好青年である。彼との再会が後に僕がブラジルで監督をやり、コリンチャンスU23とコーディネーターとして日本へ戻ることになった、縁のある男である。
このメンバーにプラス、サンパウロで出会った仲間たちで盛り上がる会をそのままオンラインイベントで開催することになったのだ。
「日本とブラジルのサッカービジネスの真実」と題して普段、言えない事も、「えーそうなの?」みたいな話がたくさん出るような予感がする。
ブラジルと言えばサッカー、サッカーと言えばブラジル。ただ、ブラジルに行ったことがなければ、ブラジルのことはなかなか知ることはできない。
18歳でブラジルに旅立ち、ブラジルなくして三浦兄弟は語れない中でブラジルに恩返しできるように発展していく企画になったら良いなと思う。
将来、サンパウロの日系人が、またはブラジルのサッカー選手が聞くようなものになったらなと思う。
昨年1年間、行ったり来たりしながらのサンパウロ生活で、サッカー留学をしていた時には感じられなかった事を50歳過ぎて何もない僕が実感することとなった。
戻るつもりでいたタイミングでコロナ禍によりサンパウロに戻れなくなった今。日本人がサンパウロで、いやブラジルで暖かく信頼される理由とは何なのか。
先日、2014年ブラジル・ワールドカップへ行った人間が日本代表の成績はグループ敗退であったがすごく良い国だったと言っていた。ブラジルの人たちは優しく温かかったと言っていた。それを聞けば僕自身も嬉しいし、それこそが日本人がブラジルで認められている証拠でもあるのだ。
日系移民の歴史は古く、今年で111周年を迎えるが、その歴史の中で当時の日本人は勤勉であり、人の事を思い遣り、真面目で優しい協調性を知る人たちだったという。みな素晴らしい人間性を持ち、大きくブラジルの発展に力を注いだと言われている。
これは実際に、僕が留学した18〜20歳の頃には知ることが出来なかった事だ。後年、永住権の申請で2年に一度、サンパウロへ行く事で知り、より強く感じられたのが昨年のサンパウロ生活の中でであった。
今回のオンラインイベントではブラジル現地での事業経験を持つ起業家・ビジネスプロフェッショナルが、ブラジルの表も裏もざっくばらんに座談会形式で語り合い、メンバーをご覧頂ければお分かりのとおり、当然サッカーの話、特に普段出てこないようなビジネスサイドのお話しもどんどん出てくるのでは……と期待している。
文字通り、“台本のない”本音ベースのお話が聞けるはずだ。
イベント時間は、サッカーと同じ90分。内容はというと……、
前半45分:ブラジルの生活・文化
後半45分:サッカービジネス
僕にとっても彼らと交わることで多くの事を学べるであろう。
新型コロナウイルスの感染拡大により、今年はまだブラジルに戻ることは出来ていない。
一方、サッカー界では本田圭佑選手がボタフォゴで頑張っている。是非、契約を延長してもらい、来年は生で本田選手がブラジルで戦う姿を見に行きたい。
カズ以来、プロの一線でプレーする日本人選手は、ブラジル国内では出て来ないと思っていたが、本田選手がこのような形でプレーし、それに続く道が出来そうな雰囲気に、さすが“ケイスケ・ホンダ”と思う。
まだまだ国内も、コロナ禍がどのようになっていくか分からない状況であるが、情報の入りづらいブラジルはもっと分からない。
コロナ禍の未知な状況はリスクだが、きっと行ける日が来るであろう。サッカーの世界でもヨーロッパに比べて圧倒的に情報が少ないブラジルのサッカー事情。
行ってみなければ分からない。昔、ブラジルへの単身留学に悩む子どもたちに伝えたことがある。いくら情報が入ったとしても、本当に経験しに行ってみなければ分からない。
コロナが懐かしい想い出になる頃、またブラジルを選ぶ選手が増え、昔の僕らのように夢を追いかける選手が出る事を楽しみにしたい。そんな事を思いながら、久しぶりにブラジルの事を思い出して話す時間を楽しみたいと思う。
2020年11月15日
三浦泰年