
久保建英はビジャレアルで地位を確立できず誤算か 冬の移籍市場で再移籍する抜け道も
2020年11月27日 12時36分 サッカーダイジェストWeb
2020年11月27日 12時36分 サッカーダイジェストWeb
2020年11月27日 05時26分 サッカーダイジェストWeb
ここまでリーガではスタメンが1試合しかない久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA
ラ・リーガ第10節、ビジャレアルはホームにレアル・マドリーを迎えた。タケ・クボ(久保建英)にとっては保有元のクラブとの対戦で、当然、モチベーションは高まっていたはずだが、出場はラスト数分間にとどまった。
相手GKとの1対1の場面で得点を決めていればヒーローになるチャンスもあったが、この一戦でタケがベンチスタートとなるであろうことは当初から予想されていたことだった。実際、ヨーロッパリーグ(EL)では全試合に先発で出場しているが、ラ・リーガではスタメンに名を連ねたのは第7節のカディス戦の1度のみだ。
ビジャレアルにおいてタケの立ち位置がバックアッパーというのは開幕から2か月余りを過ぎてもはや紛れもない事実になっている。ウナイ・エメリ監督はジェラール・モレーノ、パコ・アルカセル、モイ・ゴメスといった選手をより信頼し、タケは2番手的な位置づけだ。
もちろんここから巻き返して定位置を奪うことは可能だが、ローテーションを好んで採用するエメリ監督の下では継続してスタメンに出場するのはなかなか難しいだろう。ラ・リーガ挑戦2年目を迎えるにあたり、「40試合スタメン出場」という青写真を描いていたタケにとっては誤算である。
【動画】圧巻のプレーを連発!久保建英がELデビュー戦でマークした1ゴール・2アシストをチェック
マドリーも言うまでもなく不安げに経過を見守っている。タケが現在の状況に居心地の悪さを覚えているのはもはや明らかで、自分たちがビジャレアルへの移籍を勧めたという負い目もある。もちろん最終的に移籍先を決断したのはタケであるが、その際にファーストオプションとして提案したマドリー側の考えを重要な判断材料にした事実があるからだ。
ただこのタイミングでビジャレアルへのレンタル移籍を失敗と結論付けるのは早すぎる。シーズンはまだ4分の1ほどを消化した程度。先はまだ長く、ちょっとしたきかっけで状況が変わるかもしれない。各チームで連戦が続く影響で怪我人が続出している今シーズンはなおさらである。
マドリー関係者にとっても、この逆境を跳ね返すその取り組みぶりを見ている節があり、自分たちからアクションを起こす考えもない。スタメン出場が当初の目標の半分の20試合程度にとどまったとしても、懸命に定位置争いを繰り広げた結果なら、得るものも少なくないはずなのだ。
心強いのは、ヨーロッパリーグでは活躍を見せていること。さらに来月にはコパ・デル・レイも始まる。ラ・リーガでは途中出場が続いたとしても、結果を残していれば、出番はそれだけ増えていくはずだ。
ビジャレアルへの移籍の選択は適切ではなかったかもしれない。しかし一度選んでしまった以上、その現実を直視して、歯を食いしばって状況が少しでも好転するよう努力しなければならない。
周囲の人間がどんな動きを見せようとも、あくまでピッチ外での出来事だ。エメリ監督はことあるごとにタケのプロ意識の高さを称賛している。今こそ、その強みを活かして周囲の雑音に惑わされずに定位置を奪取することだけに全神経を注ぐべきだ。
文●セルヒオ・サントス(アス紙レアル・マドリー番)
翻訳●下村正幸