「やっとマレーシアにも来てくれた」鹿島で10番を背負った元日本代表の海外挑戦に、現地ファン・メディアのリアルな反応は?

「やっとマレーシアにも来てくれた」鹿島で10番を背負った元日本代表の海外挑戦に、現地ファン・メディアのリアルな反応は?

マレーシアに新天地を求めた本山。41歳の挑戦は現地でどのように受け入れられているのか。写真:サッカーダイジェスト



 Jリーグで輝かしい功績を残した蹴球アーティストがまたひとり、東南アジアへ向けて旅立った。国内通算527試合、国際Aマッチ28試合に出場した元日本代表、本山雅志である。

 向かった先はマレーシアだった。プレミアリーグ(国内2部)に所属するクランタン・ユナイテッドFC(以下、KUFC)への移籍が発表されたのが年の瀬の12月30日、正直驚かされたというのが本音だった。

 昨季は所属なし、一昨季に在籍したJ3ギラヴァンツ北九州での公式戦出場はゼロ。家業を手伝いながら選手復帰へ向けたトレーニングを継続していたとは聞くが、1年間の選手ブランクは計り知れないだろう。マレーシア2部といえども助っ人として計算が立つのか疑問だったからである。

 今回の移籍、現地ではどのように報じられているのか。マレーシアフットボール事情に詳しい現地人ジャーナリスト、アハマド・リズアン氏に話を聞いた。

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――まずは本山選手が移籍したクランタン・ユナイテッドFCとはどんなチームなのか教えてください。
「タイ国境と南シナ海に面したクランタン州の州都、コタ・バルをホームとする2016年に創設された新興チームです。元々は、恐らく世界一長かったであろうものから、2019年にいまの名称へと変更されました」

――今回の本山選手の移籍について、現地ではどのように報道されているのでしょうか?
「国内大手メディアは挙って移籍を報じており注目度は高いです。またファンの間では、タイ(細貝萌/バンコク・ユナイテッドFC所属)やベトナム(松井大輔/サイゴンFC所属)では欧州での経験を持った元日本代表選手がプレーしている中で、やっとマレーシアにも来てくれたという嬉しさを抱いているのも事実。隣国とのライバル心ゆえの感情ですよね」

――本山選手はすでにマレーシア入りしていると日本でも報じられています。チーム合流しているのでしょうか?
「マレーシアには到着していますが、クアラルンプールのホテルで隔離中のようです。隔離完了後にコタ・バルへ移動し、合流となるのだと思います。ただし現在、マレーシアはパンデミックの影響でロックダウン中、チーム練習は行なわれていないんです」

――KUFCは今季から日本人監督を招聘したとも聞いていますが。
「はい、昨季クチン・シティFCで監督を務めていた日本人指導者(東山晃監督/昨季マレーシアリーグ優秀監督賞候補にノミネート)を迎え入れました。実はマサシ・モトヤマの他にも日本人選手を2人(深井脩平/前ヴァンラーレ八戸、谷川由来/前クチン・シティ)獲得しているんです。チームの骨格を“ジャパン”で固めてシーズンに挑むようですね」

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――今季リーグ開幕はいつなのでしょうか?
「当初は2月27日に開幕して、8月21日に閉幕する日程でしたが、ロックダウンの影響で延び、3月5日に開幕すると発表があったばかりです。でも状況によってはまた延びるかも知れませんが」

――KUFCは来季1部昇格を見据えての補強だと理解しています。その昇格条件は?
「プレミアリーグ成績上位2チームが、スーパーリーグ(1部)へ昇格資格を得るレギュレーションになっています」

―――ずばりKUFCの1部昇格の可能性はどのくらいだと踏んでいらっしゃいますか?
「可能性は高いと思いますよ。全試合消化したらという過程のもとで75%。今季プレミアリーグは11チームで争う予定ですが、内5チームは昇格条件を持っていないんです。なので、実際は6チームでふたつの昇格スロットを争うことになります。昨季の実績や補強状況等を考慮すれば、クチン・シティ、ヌグリ・スンビランとの三つ巴レースになるだろうと予想しています」

―――なるほど。では最後に。本山選手は今季、マレーシアで輝くことが出来るでしょうか?
「またも難しい質問ですね(苦笑)。正直、五分五分ではないかと。環境やチームに馴染めるかが鍵でしょう。チームからは若い選手の多いグループへ彼の経験を伝えてくれることにも期待しているようですし、プレー以外の役割も重視されているようには感じます。ただそうは言えども、やっぱりハジメ・ホソガイやダイスケ・マツイと比較される立場ですよ。開幕が楽しみです」

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 彼の豊富な経験を買い、それをチームへ落とし込んでほしいというクラブ側の心情は理解できる。しかし数字では表現し難いもの、またすぐに効果が表われる類のものでもない。外国籍枠を使いプレーする助っ人選手として、分かり易い数字を示さなければ世論から良い評価は得られない世界がそこにはある。

 とはいえ筆者と同世代、41歳を迎えてのチャレンジ精神には大いに刺激されている。ピッチにしっかりとした足跡を残して欲しいと願っている。

取材・文●佐々木裕介(フリーライター) 

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