メッシの7回目のバロンドール受賞に不満の声も…一方で独誌は「多数決の結果は尊重されなければならない」

メッシの7回目のバロンドール受賞に不満の声も…一方で独誌は「多数決の結果は尊重されなければならない」

メッシは「彼の家にもトロフィーが飾られるべきだ」とレバンドフスキを慮った。(C)Getty Images

フランスの『FRANCE FOOTBALL』誌主催で世界中の180名の記者の投票によって決定する「バロンドール」の受賞者が11月29日、パリで開催された授賞式で発表され、パリ・サンジェルマン所属のアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが自身7度目の栄誉を手にした。

 2009、10、11、12、15、19年にも、この世界一の選手に贈られる勲章を得ている34歳は、家族とともに出席した授賞式の檀上で、「ここに戻って来られたことが信じられない。2年前は、これが(受賞の)最後の年だと言ったが、再びここに来られるとは……。非常に幸せで、興奮している。今後も、新しい挑戦のために戦っていきたい。あとどれだけ現役生活を続けられるかは分からないが、長くプレーできればと思う」と喜びを表わした。

 受賞の理由については、「コパ・デル・レイは勝ち取ったものの、チャンピオンズ・リーグ(CL)とラ・リーガは獲得できなかったことを考えると、コパ・アメリカに勝ったことは重要だったと思う」と分析。7度の受賞という前人未到の記録に対して「今後、誰かがこれを超えるかどうかは分からないが、記録を破る者は常に現われる。それが、選手たちの目的だからだ」と予想し、自身のスタンスとして「重要なのはチームの勝利であり、それに集中した結果、個人賞を手にできる」と改めて強調している。
  今夏、少年時代から過ごしたバルセロナを離れ、パリに新天地を求めたたことで話題を独占した稀代スーパースターは、「パリSGの一員としてこのタイトルを獲得できたことを誇りに思う」とコメント。ちなみに、リーグ1でプレーする選手がバロンドールを受賞したのは、1991年のジャン・ピエール・パパン(当時マルセイユ)以来のことである(95年のジョージ・ウェアは同年夏にパリ・SGからイタリアのミランに移籍)。

 また、自身とともに受賞者の有力候補に挙げられていたバイエルンのポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキにも言及。「ロベルトと競うことができたのを光栄に思っている。君はバロンドールに相応しい。昨年、誰もが君の受賞を期待した。僕は『フランス・フットボール』が、君に賞を与えるべきだと思っている。正当な勝者であり、彼の家にもトロフィーが飾られるべきだ」とライバルを気遣い、敬意を表した。
  レバンドフスキは昨季、ゲルト・ミュラーが保持していたブンデスリーガのシーズン最多得点記録を破るという大偉業(41点)を成し遂げており、今季も好調さを維持(得点ランキングでは首位独走)。バイエルンのCL制覇に大貢献してバロンドールの大本命とされた昨年は賞そのものがコロナ禍によって中止となる不運に見舞われた33歳のゴールマシンは、しかしSNSを通してメッシの受賞を祝福するとともに、自身の「ベスト・ストライカー・オブ・ザ・イヤー」の受賞についてチームやファンのサポートを感謝している。

 本人が大人の対応を見せた一方で、この結果に納得していないファンも少なくないようで、SNS上に投稿された「(メッシの受賞は)ぼったくりだ。レバンドフスキの方が相応しい」「典型的なメッシ/クリスチアーノ・ロナウドのバイアス。今年は他にも受賞するべき多くの選手がいたが……」「コパ・アメリカでのメッシはマジカルだったが、レバンドフスキのこの2年間は信じられないものだった」といった書き込みを、多くの欧州メディアが紹介した。
  メディア自体も否定的な反応を示しているところは多く存在し、ドイツの日刊紙『BILD』は「スキャンダラスな選定」と自国リーグの落選に不満を露にし、レバンドフスキの母国ポーランドでは日刊紙『SUPER express』は「彼はバイエルンと代表チームの両方で記録を更新し続けているが、そのような成果すら、バロンドールの投票での勝利を保証するものではない」と皮肉をまじえて報じ、「多くの国民は、彼が騙された、賞を盗まれたと感じている」とも綴った。

 日刊紙『Fakt』はレバンドフスキの母国の大先輩であり、1974年西ドイツ・ワールドカップでは大会得点王にも輝いたグジェゴシュ・ラトーが授賞式前に語っていた「今年、レバンドフスキはメッシより優れていた。もし、それでもアルゼンチン人選手が受賞するのなら、その理由はイベントがパリで開催されること。地元の利に他ならない」というコメントを改めて紹介している。
  また、レバンドフスキとともにレアル・マドリーのフランス代表FWカリム・ベンゼマもメッシの対抗馬と目されていたが、マドリー専門メディア『Defensa Central』は「ポーランドとフランスのFW選手はどちらも、コパ・アメリカに優勝する以上のことを成し遂げた」、「2021年はベンゼマがバロンドールを勝ち取らなければならなかった」として、「詐欺」「恥」といった言葉を使って、結果が不当であると訴えた。

 しかし、これらの声に対し、ドイツの専門誌『Kicker』は「56試合で41ゴールを決め、信じられない数のアシストを記録、さらに自国の大陸制覇に大貢献したメッシは、バロンドール受賞のための全ての基準を満たしている。ジョルジーニョはCLとEURO2020を制しており、彼もまた当然の勝者だ。メッシを得点率で上回ったレバンドフスキも、客観的には勝者に対する。しかし、180人の記者が投票した民主的で公正な多数決の結果は、尊重されなければならない」と主張している。
  この授賞式の前には、C・ロナウドが『FRANCE FOOTBALL』誌の編集責任者パスカル・フェレ氏の「C・ロナウドの唯一の野望は、引退するまでにバロンドールの受賞回数でメッシを上回ること」というコメントを否定するとともに、宣伝に利用されたことへの抗議として授賞式を欠席したことを明らかにするなど、ネガティブな事象も多々起こったが、『Kicker』誌の言う通り、全身全霊を懸けて戦った全ての選手が敬意を表されるべきだろう。

 なお、フランス国籍のF1チーム「アルピーヌ」に所属するフェルナンド・アロンソとエステバン・オコンがトロフィーを壇上まで運ぶという豪華な演出も見られた今回の授賞式では、他に女子バロンドールをアレクシア・プテラス(バルセロナ)、コパ・トロフィーをペドリ(バルセロナ)、ヤシン・トロフィーをジャンルイジ・ドンナルンマ(パリSG)、ベスト・クラブ・オブ・ザ・イヤーをチェルシーが、それぞれ受賞している。

構成●THE DIGEST編集部

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