敗因分析が続くイタリア、顕著な若手割合の低下を問題視! U-21伊代表監督は「セリエAで選手が見つからない」教育現場や経済界からも危機感

敗因分析が続くイタリア、顕著な若手割合の低下を問題視! U-21伊代表監督は「セリエAで選手が見つからない」教育現場や経済界からも危機感

イタリア国民を失意の底に落としたW杯予選敗退という悲劇に、各メディアからカルチョ再建への提言がなされている。(C) Getty Images

スペインのスポーツ紙『MARCA』が、サッカー調査機関「CIESフットボール・オブザーバトリー」が発表した各国リーグにおける21歳未満の選手のプレー時間の割合に注目し、ラ・リーガが調査対象となった世界の60の国内リーグの中で50番目の低さだったことに懸念を示した。
  在籍選手の平均年齢が27.9歳のラ・リーガは、2021年1月1日から22年3月21日の間に21歳未満の選手が514試合に出場したが、プレー時間の割合はわずか4.2%。ちなみに、同率だったのはメキシコのリーガMXで、トップは南米ベネズエラのプリメーラ・ディビシオンで18.8%、そして最下位はサウジアラビアの1.6%となっている。

 この調査から、同メディアは「ラ・リーガは若手が少ない」と指摘し、「ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ、エリク・ガルシア、デスト、セルジーニョ・デスト、オイアン・サンセト(以上は現在21歳)、ペドリ、アンス・ファティ、エドゥアルド・カマビンガ、イジェレミ・ピノ、ニコ・ゴンサレス、ユヌス・ムサ、ニコ・ウィリアムズ、アンドレ・バレネチェア、イライクス・モリバ、そして久保建英といった才能ではトップレベルの選手はいるが、総数からすればまだ不足している」と綴った。

 同メディアはセグンダ(2部リーグ)も6.1%で35位であることにも言及し、リーガとの違いは、レアル・ソシエダBチームの参戦が大きいとして、状況的には1、2部ともに変わらないと指摘。また他国についても注目しているが、その中で先日、北マケドニアにまさかの敗北を喫して2大会連続でワールドカップ出場を逃したイタリアのトップリーグ、セリエAが3.9%(52位)と、ラ・リーガ以下(欧州主要リーグでも最低)であることを特筆して紹介している(セリエBは4.9%で42位)。

 スペイン・メディアが指摘するまでもなく、衝撃がいまだ冷めやらぬイタリアでは現在、様々な敗因分析がなされ、サッカー界の問題が細かく挙げられる作業が多くのメディアで行なわれている最中だが、プロリーグにおける若手選手の占める割合の低さはスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』でも指摘されており、ローマ(25.1歳)を除けば主要クラブの平均年齢が高いことも明らかにされている(王者インテルのそれは30歳オーバーだという)。

【動画】試合終了間際にまさかの失点…イタリアのW杯出場を阻んだ衝撃の一戦、北マケドニア戦ハイライト U-21イタリア代表のパオロ・ニコラート監督は、チーム作りにあたって、「セリエAで選手が見つからないため、セリエCにすぐ目を向けることになる」と告白。この状況について「我々全員がこれに責任を感じなければならない」と訴え、トップリーグでプレー機会を与えて、ハイレベルな経験を積める若手選手が少ない傾向を、「我々を良い結果に導くものではない」と厳しく断じた。
  国内の若手選手の出場を阻む要因として最も大きいのは、やはり外国人選手の多さであり、『Gazzetta dello Sport』紙は、ミラン(74.1%)、ラツィオ(73.1%)、ナポリとアタランタ(72%)、インテル(68%)、ローマ(64%)、ユベントス(56%)という主要クラブの外国人選手の割合を紹介している。

 ただ若い選手が多ければそれで良いというものではないが、彼らの突き上げによる健全な競争はサッカー界の改善に必要であるという点では、各メディアの意見は一致しているようだ。それは、プロリーグ(セリエAのチーム数を18に減らすことでレベルや娯楽性の向上を図るべきの声は多い)に限らず、育成レベル、さらには学校の体育教育や社会・文化レベルでの改革の提言にも及んでいる。

 ミラノ市の総合メディアサイト『MilanoFree.it』は、親の負担が大きくなりすぎる現在の育成環境の改善、指導者のレベルの向上、育成に力を注ぐ企業の保護の他、イタリアの子どもたちの運動離れ(経済的な事情もあって、5人にひとりは全くスポーツをやらず、肥満児の人数も全体に半分に達しているという)の解消、全ての学校への体育施設の設置などによって、若年層のスポーツ人口を増加させて裾野を広げることを訴えた。

 イタリアの経済専門サイト『Investireoggi.it』は、今回のW杯予選敗退により、サッカー連盟(FIGC)は最低で1050万ドル(約13億円)の収入(優勝すれば4750万ドル=約58億円)を逃し、代表チームが12年間も大舞台から遠ざかることが決定したことでこの国のリーグ戦の価値も下がることが予想され、さらにW杯本大会中に動くはずだったお金も動かないことで国内経済も停滞するなど、大きな負の影響が各方面に及ぶと予想し、この点からも「サッカー改革はこれ以上、延期できない」と結論づけている。

 冒頭のデータといい、全ての結果や数値が今、カルチョの国の変化の必要性を訴えているようであるが、これに対して、イタリアはどのように動くかが注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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