「オシムはサウジに足を運ぶことなく恩恵をもたらした」オシム監督の偉大さを示す証言、エピソードが続々。その存在自体が絶対的な保証にも

「オシムはサウジに足を運ぶことなく恩恵をもたらした」オシム監督の偉大さを示す証言、エピソードが続々。その存在自体が絶対的な保証にも

1日に他界したオシム監督。多くのサッカー関係者に多大な影響を与えた指導者だった。(C) Getty Images

5月1日にオーストリア・グラーツの自宅で亡くなったイビチャ・オシム氏。サッカー界で多くの実績を築くとともに、多くの優れた選手やチームを生み出した名指導者は、その独創性と深い洞察力、そして魅力的な人間性により、渡り歩いた全てのクラブや代表チームにおいて、特別な存在として人々の記憶に刻まれてきた。

 もちろん、母国ボスニア・ヘルツェゴビナではとりわけ敬愛され、「グルバビツァのシュトラウス」「シュワーボ(ドイツ野郎)」と呼ばれて親しまれたオシム監督の逝去に際して、首都サラエボは、彼の生まれた年と満年齢にちなんで19時41分から81分間、市庁舎に在りし日の姿を投影して、偉人を追悼した。

【関連記事】偉大なるオシム監督に寄せられた多くの尊敬と感謝の言葉「世紀の監督」「旧ユーゴの最も重要な名前」 ボスニア・ヘルツェゴビナ・サッカー連盟は「どんなに困難な状況においても、常に楽観的な姿勢を崩さず、ポジティブなエネルギーを発してこれを乗り越えてきた男はもういない。我々は偉大な友人を失った。その哲学的なサッカーや人生への理解は、価値のあるものだった。彼の権威と影響力は、我々が危機を克服する際にも、計り知れない貢献を果たした」と、惜別と称賛、そして感謝の意を表している。

 そして、同国の現役選手たちも偉大な先達の死を悼み、ミラレム・ピャニッチ(ベジクタシュ)は「酷い悲しみと絶望だ。全く予想しておらず、驚いている。我々は素晴らしい人間を失った。彼は偉大なボスニア人であり、最も偉大な人格者のひとりだ。どこでも愛され、尊敬されていた。アッラーの神が彼を楽園に導いてくれますように」と声明を発した。

 一方、インテルで活躍中のエディン・ジェコは「伝説は永遠に生き続ける」とSNSに綴り、オシム監督がEURO1992を前にして同年5月22日に旧ユーゴスラビア代表監督の辞任を発表した際のコメントを引用。タレント集団を強化し、熟成させて、欧州制覇も夢ではないところまで到達したにもかかわらず、ユーゴ国内の民族対立による内戦において故郷を攻撃する中央政府への抗議の意思と信念を貫き、チームを去ることを明かした指揮官の目には涙が浮かんでいた……。

「(前略)何度でも言うが、(テストマッチが行なわれる)フィレンツェにも、(大会開催国の)スウェーデンにも行くつもりはない。(中略)これは個人的な決定であり、理由を説明する気もない。あなた方(報道陣)はよく分かっているだろう。私があの街のためにできる、唯一のことだ。少なくとも、あなた方は私がサラエボ生まれであることを憶えている。そして、そこで今、何が起こっているかも知っているはずだ」

 サッカー人ではなく、人間、そしてボスニア人としてのこの言葉は、幼少期に紛争を経験した36歳のジェコにとっては、ボスニアの誇りや尊厳を示すものでもあるようだ。ちなみに、オシム監督が指導者キャリアをスタートさせたジェレズニチャルは、ジェコが5歳で育成組織に入団し、2003年にプロキャリアの一歩を踏み出したクラブでもある。
  このように、世代を越えて多くの人々に影響を与えたオシム監督の偉大さを表わすエピソードは枚挙にいとまがないが、ボスニアのスポーツメディア『MONDO』は、同国の元サッカー選手で、引退後は国内外の多くのクラブで指揮を執ったヴェリボール・プダールの証言を紹介している。

 プダールは2011年にコーチとしてサウジアラビアのアル・イテハドのアカデミーで指導に従事。そこで、AFCによるライセンスの調査が行なわれた際、彼がボスニア人と知った日本人スタッフから「オシムを知っているか?」と訊かれ、アカデミーの指導のトップを務めるサレム・ハリルホジッチ氏がオシム監督とコーチングスクールで同期だったことを伝えると、その後の調査はスムーズに進んで合格。これにはクラブ首脳陣も驚き、オシム監督に対する興味と尊敬を高めたという。

 同メディアは「オシムはサウジにいっさい足を運ぶことなく、同国のクラブに恩恵をもたらした」と綴っているが、その存在自体が信頼の証であり、絶対的な保証となり得たということである(もちろん、日本だけでなく、世界中においてだ)。

 晩年を過ごしたオーストリア・グラーツでは、同都市のクラブ、シュトゥルム・グラーツへの大きな貢献により、ある通り(ストリート)にその名前が冠せられる予定もあるというオシム監督。改めてその偉大さを世界に知らしめることとなった。

構成●THE DIGEST編集部
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