戦火の中でウクライナ国内リーグが開幕! ゼレンスキー大統領はかつての愛国者に思いを馳せ、元Jリーガーの指揮官も意義を説く

戦火の中でウクライナ国内リーグが開幕! ゼレンスキー大統領はかつての愛国者に思いを馳せ、元Jリーガーの指揮官も意義を説く

ウクライナで国内リーグが開幕。無事に運営が継続されることを祈りたい。※写真は、今年4月にギリシャで行なわれた親善試合でのシャフタールの集合写真。(C) Getty Images

8月23日、2022-23シーズンのウクライナ・プレミアリーグが開幕。スコアレスドローに終わったシャフタール・ドネツク対メタリスト1925ハルキウ戦を皮切りに、初日は4試合が行なわれた。

 昨季の冬季中断中だった2月、ロシアによる侵攻が始まり、リーグは無期限中止となり、結果、優勝チームはなしと決定され、以降は各チームが独自に国内外で親善試合を行なってきた。新シーズンのリーグについては、比較的被害の少ない西部地区限定、あるいはポーランド領内での開催の可能性が探られ、後に昨季参加の14チームに下部リーグからの昇格2チームを合わせた16チームでの開催を決定。しかし、ロシアに占領されているマリウポリのチーム、施設を破壊されたクルィヴィーイ・リーフの1チームが不参加となった。

 一部からはロシアの格好の標的になるとして開催反対の意見が出ている中、ようやく新シーズン開幕にこぎつけたが、安全性を考慮して全試合が無観客となり、使用するスタジアムには「避難用のシェルターを確保していること」という条件がつけられており、空襲警報が鳴った場合には試合を中断するという、まさに戦時下での開催であることを改めて感じさせるものとなっている。
  しかし、2月の侵攻以降、リーグが開催され、この国で初めてトップレベルのサッカーの試合が開催されるという決定は、ウクライナ人が通常の生活の感覚を取り戻す準備ができているという兆候であり、また侵略者に対して反抗のサインであるとして歓迎されていると、米国のスポーツ専門チャンネル『ESPN』は報じた。

 シャフタールとハリコフ1925の一戦は、首都キーウのNSCオリンピスキー・スタジアムで行なわれた。6万5500人を収容するスタンドには一切観客の姿はなかったが、「ロシアとの戦争で戦った人々に敬意を表する感動的な式典が執り行なわれた後、新たなシーズンをスタートさせた」(同メディア)という。

 両チームの選手たちは、青と黄色のウクライナ国旗を肩に掛けてピッチに登場し、戦争で国民が亡くなった都市の名前がスクリーンに表示される間、1分間の黙祷を捧げたが、また彼らは、1976年モントリオール・オリンピックのサッカー競技・ソ連対東ドイツの試合でウクライナの国旗を持ってピッチに乱入し、警察に取り押さえられる際に「ウクライナに自由を」と叫んだウクライナ系カナダ人のダニーロ・ミハル氏が寄贈した国旗を掲揚した。

 これについてウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、試合前のテレビ演説で「ミハルは常に、ウクライナで国旗を掲げることを夢見ていたが、今日、それがついに実現した。今日、ウクライナのサッカーリーグの開幕にあたって、それは我々の頭上に掲げられている」と語り、改めてウクライナという国とその領土を死守する意思を示している。
  試合前には、シャフタールのクロアチア人監督で、現役時代に横浜F・マリノスでプレーしたこともあるイゴール・ヨビチェビッチが、「これは、この国での生活が止まらず続いていることを世界に示すための仕事だ。サッカーは、国全体と、我々のために戦う人々の感情を動かすことができる。サッカーは、個々、チーム、リーグ全体にとって不可欠だ。リーグの開幕は、我々が生きる上で、またサッカーが続いていくことを世界に示す上でも助けとなる」と、今季の意義の大きさを強調した。
  また同チームの選手で、ウクライナ代表MFでもあるミハイロ・マドリクも、「時間が経過したことで、おそらく世界はロシアによる侵攻のことを忘れている。世界の人々は、ウクライナで何が起こっているのかを覚えておくべきだ。我々の目的は、試合を通じて、まだ何も終わっていないことを示し、ここウクライナで起こっている残虐行為を、全世界に思い出させることだ」と語っている。

 戦火の絶えない中で開幕したシーズンは、11月末から3月までの長い冬季中断期間を挟んで来年6月まで続くこととなる。

構成●THE DIGEST編集部
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