味方の得点に満面の笑み…サウジ・デビューのロナウドに英紙がマンU時代との明確な変化を指摘!「引退に向けてのクルーズではない」
2023年01月24日 07時23分THE DIGEST

サウジ・プロフェッショナルリーグでデビュー戦を勝利で飾ったC・ロナウド。チームメイトとの関係も良好のようだ。(C) Getty Images
現地時間1月22日に行なわれたサウジ・プロフェッショナルリーグ第14節のアル・エティファク戦で、アル・ナスルのクリスチアーノ・ロナウドが同クラブでの公式戦デビューを果たし、1-0の勝利を飾った。
【動画】オーバーヘッドでもゴールを狙うも… C・ロナウドのサウジ・デビュー戦をチェック!
先月31日、欧州のビッグクラブを渡り歩きながら多くのチーム&個人のタイトルを獲得し、ゴールに関するサッカー史のあらゆる記録を塗り替えた生ける伝説が、37歳にして欧州を離れて新たな挑戦に乗り出すとのニュースは、世界を驚かせたが、同時に2億ユーロ(約280億円)という史上最高額に達する年俸総額にも多くの注目が集まった。
その後、19日に首都リャドに拠点を置くアル・ナスル、アル・ヒラルの選抜チームの一員として、パリ・サンジェルマンとの親善試合でサウジでの初お目見えを果たし、PK、ヘッド弾がポストにはね返されたところを確実に押し込む抜け目のないゴールの2発を決めるなど、ロナウドは早くも新天地のファンを大いに満足させていた。
マンチェスター・ユナイテッド在籍時、エバートン戦でファンの差し出した携帯電話を叩き落とした行為に対する2試合出場停止の処分がサウジでも有効となったことで、予定より遅れることになった公式戦デビューだったが、ホームでのアル・エティファク戦、稀代のストライカーはキャプテンマークを腕に巻き、チームの先頭でピッチに姿を現わした。
左右上下に動いてチャンスメイクも試みた背番号7は、CFとして前後半で多くのシュートを放ち、デビュー戦初ゴールを狙ったが、ボールはゴールネットを揺らすことはなく、アル・ナスルの得点は右からのクロスを、ベンフィカ、ベジクタシュでコンスタントに得点を挙げ、2018年からは中国の広州恒大、2021年からはアル・ナスルとアジアを主戦場としてきたブラジル人のタリスカが頭で合わせた、彼の今季12得点目の一発に止まった。
ファンが望むゴールは生まれなかったものの、ロナウドの初陣について、サウジの日刊紙『Asharq Alawsat』は「新たなチームでの初のプレーにもかかわらず、ロナウドとチームメイトたちとの相性は非常に良さそうであり、まるで彼がこの首都のクラブで長年プレーしているかのようにも見えた」と称賛している。
また同メディアは、この一戦には世界中から注目が集まったことを報じ、「イタリア、ポルトガル、トルコ、フランス、マレーシア、南アフリカなど、多くの国からの35ものテレビチャンネルがポルトガルのスターのデビュー戦放送に参加。サウジ・リーグは新しい時代の幕を開けた」と綴った。
イタリアの『Gazzetta dello Sport』紙は、ロナウドのデビュー戦のプレーについては「まあまあ」としながらも、「何という熱意!」と現地の盛り上がりを表現。ポルトガルの『SAPODESPORT』も「タリスカが主役」と自国スターの無得点と元ベンフィカ選手の決勝点に言及した上で、「ロナウドは74分にアクロバティックなシュート(オーバーヘッド)で得点を試み、アル・ナスルのファンを熱狂させた」と、ポジティブな面も挙げている。
英国の『Mirror』紙は、幾つかの見地からロナウドの新天地デビュー戦を回想。まず、一部には「都落ち」など揶揄されたサウジ行きだが、この新たな戦場について「ロナウドにとって4つ目の国でのリーグタイトル獲得はすぐに叶う、彼は“惰性”で走り続けられる、との考えは改める必要がある」と主張した。
「彼はさっそく、フィジカル面での問題に直面。相手DFによって地面に叩きつけられ、審判への抗議も受け付けられなかった」と、同メディアはロナウドにとってサウジが決して楽な戦場ではないということを強調し、「これまでプレーしてきたリーグよりもレベルは下回るも、決して公園を散歩することにはならない。そして、彼と対戦する全てチームが、ロナウドの存在によってモチベーションを高めて臨んでくる」と指摘している。
新たなボスとなったリュディ・ガルシア監督も、「ロナウドのような選手がいると、相手DFの気を散らすのに役立つ。今日の試合、選手には彼にチャンスを提供し、タリスカとの連係がより膨らむよう指示した。しかし、ロナウドの存在があっても、対戦相手は強く、このリーグに勝つことは容易ではない」と語り、今後の厳しい展望を示した。
また、『Mirror』紙はロナウド自身の変化にも注目し、「ロナウドはサウジで疑いようのない最大のスターであり、注目を独占しているが、この試合ではタリスカの方がピッチ上で最高の選手に見えた。しかし、それでもロナウドはすぐに新しい同僚を抱きしめ、先制ゴールを祝った」と報道。クロスが自身の頭上を越え、タリスカの頭に合った先制点の場面で、これまでのロナウドなら、自身が得点できなかったことへの負の感情を表に出しがちだったが、ここでは満面の笑顔で、真っ先に得点者の元へ駆け寄っている。
「ロナウドは、負担を分かち合えるパートナーができたことを喜んでいるだろう。彼らはサウジ・リーグにおいて、止めるのが非常に難しいパートナーシップを結んだように見える」と綴った同メディアは、「彼の顔に浮かぶ笑顔からは、新しい環境への満足感が窺える。マンUでは、しばしば仲間を批判する態度が見られたものだが、今回、彼は味方のパスのクオリティーが期待を下回っていた時、逆に励ますなど、チームメイトを安心させようと努めていた」と、その変化を指摘した。
「英国での最後の数か月間は、彼にとって明らかに非常に不幸であり、今、彼の身体からはそれらが取り除かれたかのようだ」と同メディア。“憑き物が落ちた”ロナウドの新たな一歩を、「これが引退に向けてのクルーズではないことを証明した」と、ポジティブに評価している。
パフォーマンスそのものについては「十分なものではなかったかもしれない」と指摘しながらも、「約8フィートもジャンプし、華麗なオーバーヘッドを試みることができる。普通の37歳なら、椅子に座って立ち上がるだけでもうめき声が出ることを考えれば、それでも十分に印象的だ」と擁護。ちなみに同メディアは、この一戦をライブ実況で報じたが、その中でマンUとアーセナルの結果を伝え、「ロナウドの新しいチームは勝っているが、古いチームはスリリングな戦いの末に敗れた」と皮肉ることも忘れていない……。
当のロナウドは、自身のSNSで「初めての試合で初めての勝利。みんな良くやってくれた。信じられないほどのサポートをしてくれた全てのファンに感謝したい」とメッセージを投稿。この先、中東の地でどのようなパフォーマンスを発揮するか、チーム(首位)をどこまで強化できるか、優勝してアジア・チャンピオンズ・リーグの舞台に立つのか……楽しみと興味は尽きない。
構成●THE DIGEST編集部
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先月31日、欧州のビッグクラブを渡り歩きながら多くのチーム&個人のタイトルを獲得し、ゴールに関するサッカー史のあらゆる記録を塗り替えた生ける伝説が、37歳にして欧州を離れて新たな挑戦に乗り出すとのニュースは、世界を驚かせたが、同時に2億ユーロ(約280億円)という史上最高額に達する年俸総額にも多くの注目が集まった。
その後、19日に首都リャドに拠点を置くアル・ナスル、アル・ヒラルの選抜チームの一員として、パリ・サンジェルマンとの親善試合でサウジでの初お目見えを果たし、PK、ヘッド弾がポストにはね返されたところを確実に押し込む抜け目のないゴールの2発を決めるなど、ロナウドは早くも新天地のファンを大いに満足させていた。
マンチェスター・ユナイテッド在籍時、エバートン戦でファンの差し出した携帯電話を叩き落とした行為に対する2試合出場停止の処分がサウジでも有効となったことで、予定より遅れることになった公式戦デビューだったが、ホームでのアル・エティファク戦、稀代のストライカーはキャプテンマークを腕に巻き、チームの先頭でピッチに姿を現わした。
左右上下に動いてチャンスメイクも試みた背番号7は、CFとして前後半で多くのシュートを放ち、デビュー戦初ゴールを狙ったが、ボールはゴールネットを揺らすことはなく、アル・ナスルの得点は右からのクロスを、ベンフィカ、ベジクタシュでコンスタントに得点を挙げ、2018年からは中国の広州恒大、2021年からはアル・ナスルとアジアを主戦場としてきたブラジル人のタリスカが頭で合わせた、彼の今季12得点目の一発に止まった。
ファンが望むゴールは生まれなかったものの、ロナウドの初陣について、サウジの日刊紙『Asharq Alawsat』は「新たなチームでの初のプレーにもかかわらず、ロナウドとチームメイトたちとの相性は非常に良さそうであり、まるで彼がこの首都のクラブで長年プレーしているかのようにも見えた」と称賛している。
また同メディアは、この一戦には世界中から注目が集まったことを報じ、「イタリア、ポルトガル、トルコ、フランス、マレーシア、南アフリカなど、多くの国からの35ものテレビチャンネルがポルトガルのスターのデビュー戦放送に参加。サウジ・リーグは新しい時代の幕を開けた」と綴った。
イタリアの『Gazzetta dello Sport』紙は、ロナウドのデビュー戦のプレーについては「まあまあ」としながらも、「何という熱意!」と現地の盛り上がりを表現。ポルトガルの『SAPODESPORT』も「タリスカが主役」と自国スターの無得点と元ベンフィカ選手の決勝点に言及した上で、「ロナウドは74分にアクロバティックなシュート(オーバーヘッド)で得点を試み、アル・ナスルのファンを熱狂させた」と、ポジティブな面も挙げている。
英国の『Mirror』紙は、幾つかの見地からロナウドの新天地デビュー戦を回想。まず、一部には「都落ち」など揶揄されたサウジ行きだが、この新たな戦場について「ロナウドにとって4つ目の国でのリーグタイトル獲得はすぐに叶う、彼は“惰性”で走り続けられる、との考えは改める必要がある」と主張した。
「彼はさっそく、フィジカル面での問題に直面。相手DFによって地面に叩きつけられ、審判への抗議も受け付けられなかった」と、同メディアはロナウドにとってサウジが決して楽な戦場ではないということを強調し、「これまでプレーしてきたリーグよりもレベルは下回るも、決して公園を散歩することにはならない。そして、彼と対戦する全てチームが、ロナウドの存在によってモチベーションを高めて臨んでくる」と指摘している。
新たなボスとなったリュディ・ガルシア監督も、「ロナウドのような選手がいると、相手DFの気を散らすのに役立つ。今日の試合、選手には彼にチャンスを提供し、タリスカとの連係がより膨らむよう指示した。しかし、ロナウドの存在があっても、対戦相手は強く、このリーグに勝つことは容易ではない」と語り、今後の厳しい展望を示した。
また、『Mirror』紙はロナウド自身の変化にも注目し、「ロナウドはサウジで疑いようのない最大のスターであり、注目を独占しているが、この試合ではタリスカの方がピッチ上で最高の選手に見えた。しかし、それでもロナウドはすぐに新しい同僚を抱きしめ、先制ゴールを祝った」と報道。クロスが自身の頭上を越え、タリスカの頭に合った先制点の場面で、これまでのロナウドなら、自身が得点できなかったことへの負の感情を表に出しがちだったが、ここでは満面の笑顔で、真っ先に得点者の元へ駆け寄っている。
「ロナウドは、負担を分かち合えるパートナーができたことを喜んでいるだろう。彼らはサウジ・リーグにおいて、止めるのが非常に難しいパートナーシップを結んだように見える」と綴った同メディアは、「彼の顔に浮かぶ笑顔からは、新しい環境への満足感が窺える。マンUでは、しばしば仲間を批判する態度が見られたものだが、今回、彼は味方のパスのクオリティーが期待を下回っていた時、逆に励ますなど、チームメイトを安心させようと努めていた」と、その変化を指摘した。
「英国での最後の数か月間は、彼にとって明らかに非常に不幸であり、今、彼の身体からはそれらが取り除かれたかのようだ」と同メディア。“憑き物が落ちた”ロナウドの新たな一歩を、「これが引退に向けてのクルーズではないことを証明した」と、ポジティブに評価している。
パフォーマンスそのものについては「十分なものではなかったかもしれない」と指摘しながらも、「約8フィートもジャンプし、華麗なオーバーヘッドを試みることができる。普通の37歳なら、椅子に座って立ち上がるだけでもうめき声が出ることを考えれば、それでも十分に印象的だ」と擁護。ちなみに同メディアは、この一戦をライブ実況で報じたが、その中でマンUとアーセナルの結果を伝え、「ロナウドの新しいチームは勝っているが、古いチームはスリリングな戦いの末に敗れた」と皮肉ることも忘れていない……。
当のロナウドは、自身のSNSで「初めての試合で初めての勝利。みんな良くやってくれた。信じられないほどのサポートをしてくれた全てのファンに感謝したい」とメッセージを投稿。この先、中東の地でどのようなパフォーマンスを発揮するか、チーム(首位)をどこまで強化できるか、優勝してアジア・チャンピオンズ・リーグの舞台に立つのか……楽しみと興味は尽きない。
構成●THE DIGEST編集部
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