驚異の黒字経営で33年ぶりのカルチョ王者に返り咲いたナポリ! CL優勝へ日本代表選手が戦力補強の有力ターゲットに!?
2023年05月11日 11時20分THE DIGEST

33年ぶりのスクデット獲得を果たしたナポリ。来季は日本人選手の加入もあるのか? (C) Getty Images
今季、序盤から圧倒的な強さを維持して首位を快走してきたナポリは、現地時間5月4日にセリエA第33節ウディネーゼ戦を1-1で引き分け、クラブ史上3度目のスクデット獲得を実現。実に33年ぶりの栄光ということで、イタリア南部の港町は今なお祝いムードに包まれている。
【動画】ナポリ、33年ぶりスクデット獲得! ナポリの過去の優勝といえば、1984年にバルセロナから当時の史上最高額の移籍金で加入したディエゴ・マラドーナによるものであり、彼がアルゼンチン代表として1986年メキシコ・ワールドカップで母国を3度目の世界制覇に導いてから約1年後、今度は所属クラブに史上初のスクデットをもたらし、スーパースターは英雄どころか、「神様」としてナポリっ子たちから崇められるようになった。
1988-89シーズンのUEFAカップ優勝を経て、翌シーズン、移籍問題に揺れたマラドーナの合流が大幅に遅くなりながらも、カレッカ、アレモン、マッシモ・クリッパ、チーロ・フェッラーラら他の主力の奮闘で序盤から首位を快走したナポリは、大黒柱の復調とともにさらに調子を上げ、終盤はミランとのデッドヒートを展開しながら、同シーズンに欧州制覇を果たすライバルの息切れにより、最終節で2度目のセリエA優勝を飾った。
このシーズンで自身が低調だった時期にサポーターからしばしばブーイングを浴びたことを根に持ったマラドーナが、優勝決定後に言い放った「この勝利はナポリのものであって、市民には何の関係もない」とのコメントは、今回の優勝の立役者のひとりであるFWヴィクター・オシメーンの「シーズン開幕以降、ナポリのサポーターの後押しは圧倒的だった。スクデットに値するチームは、ナポリの他になかったと思う」との感謝の言葉とは対照的だったが、それでもこの港町にとっては最も幸福な時間だったと言えよう。
そこから、マラドーナがコカイン使用による長期出場停止処分を経て、1991年に突然クラブを去って以降、しばらくはジャンフランコ・ゾーラ、ダニエル・フォンセカらの活躍で上位をキープするも、クラブの財政難によってゾーラ、フェッラーラ、ファビオ・カンナバーロといった主力を次々に売却をせざるを得ず、97-98シーズンに年間わずか2勝という悲惨な成績でセリエBに降格し、さらに2004年には破産宣告をしてセリエC1まで戦いの舞台を下げる羽目となった。
当時、現地メディアはこのクラブが再び栄光を取り戻すことは極めて難しいと見ていたが、同年に映画プロデューサーのアウレリオ・デ・ラウレンティスが新オーナーとしてクラブの立て直しに着手すると、手堅い経営を続けながら多くの名手を迎え入れることで、時にセリエAでも屈指の攻撃力を有するチームを創り上げ、世代交代も上手く進め、今季はオシメーンら主力に加え、クビチャ・クバラツケリア、キム・ミンジェといった新戦力も見事にフィットし、国内外で猛威を振るうこととなり、ついにカルチョの王者に返り咲いた。 ナポリのクラブ専門サイト『NAPOLIPIU.COM』によれば、2020-21シーズンにセリエAを制したインテルが、2016年に蘇寧グループを筆頭株主に迎えて以降、スクデットを獲得するまでに要した投資額は6億4700万ユーロ(約938億円)であり、覇者ミランが2018年にエリオット・マネジメントへ経営権が移譲されてから、昨季の栄光までには7億4400万ユーロ(約1079億円)が投じられたという。
これらの莫大な額は、両クラブにとって負債として残っているが、一方のナポリは前述の通り2004年にデ・ラウレンティス会長が破産したクラブを管財人から引き継いだ時、3200万ユーロ(約46億円)を支払い、最初の2シーズンで資本金として1600万ユーロ(約23億円)を費やして以降、イタリアのクラブとしては珍しく、バランスシートで黒字を維持しているとのことである。
エセキエル・ラベッシ、エディンソン・カバーニ、ゴンサロ・イグアイン、ジョルジーニョといった名手の多額の売却益が新たな大物選手の獲得を可能にし、今季はカリドゥ・クリバリ(→チェルシー)、ファビアン・ルイス(→パリ・サンジェルマン)が計6900万ユーロ(約100億円)をナポリにもたらした一方で、今や欧州中のビッグクラブの注目の的であるクバラツケリアはディナモ・バトゥーミ(ジョージア)から1000万ユーロ(約15億円)で獲得できており、全体でも440万ユーロ(6億円強)程の黒字を計上した。
まさに、堅実な経営と優れたスカウティングと交渉術で、ここまで成り上がってきたナポリ。そうなると気になるのは、今季終了後にチームの主力選手の去就だ。オシメーン、クバラツケリアといった選手には、プレミアリーグのビッグクラブ行きなどの噂が多く流れており、メディアによっては「戦力流出は避けられない」と予想しているが、黒字を維持し、なおかつ今季はセリエA優勝、さらにチャンピオンズ・リーグ(CL)準々決勝進出を果たしたことで、多額の賞金も手にするクラブは強気の姿勢を示している。
デ・ラウレンティス会長は、放送局『Rai Sport』の番組に出演した際、「オシメーンをこの夏に売却することはない。絶対にだ」と断言。一方で日刊紙『IL MATTINO』は、ナポリがこのナイジェリア代表FWを放出するための最低額を1億6000万ユーロ(約232億円)に設定したと報じているが、いずれにせよビッグクラブの札束攻勢には徹底抗戦するつもりでいることは間違いない。
イタリアの頂点に再び辿り着いたナポリは、まだ果たしていないCL優勝を新たな目標に掲げ、そのために戦力を上積みしていく方針を固めているというが、財政力ではるかに上回る他国のビッグクラブと競り合うという愚を犯すのではなく、新たな市場を開拓しながら、まだブレイク前の逸材を獲得するという方向性に変わりはないようで、彼らの視線は現在、アジアやアメリカに向けられているという。
『IL MATTINO』紙はまず、キム・ミンジェ獲得が成功したことに味をしめ、また韓国企業とスポンサー契約を結んだこともあり、オリンピアコスのファン・インボム、マジョルカのイ・ガンインという韓国代表MFを獲得候補に挙げ、続いて「漫画の中だけでなく、今では多くの選手が欧州でプレーしている」(同メディア)日本人選手にも言及し、鎌田大地(フランクフルト)、久保建英(レアル・ソシエダ)、堂安律(フライブルク)もターゲットに含まれていると報じた。
同メディアはまた、アメリカ人ではサンノゼでプレーする19歳のウインガー、ケイド・コーウェルにもナポリからの関心が向けられていると伝えているが、一方で大手スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、キム・ミンジェが引き抜かれた場合の後釜候補として、シュツットガルトの伊藤洋輝、ボルシアMGの板倉滉の2人を「左右どちらでもプレーでき、ビルドアップも良い」として紹介している。
アジアからの戦力補強は今、セルティックが大成功例として欧州でも知られている。イタリアでは1990年代後半、ペルージャが中田英寿の獲得・売却で大きな収益を得たことに味をしめ、韓国のアン・ジョンファン、中国の馬明宇を次々に獲得したことがあったが、ナポリが今夏、移籍市場にどのような動きを見せるかが非常に興味深い。
構成●THE DIGEST編集部
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1988-89シーズンのUEFAカップ優勝を経て、翌シーズン、移籍問題に揺れたマラドーナの合流が大幅に遅くなりながらも、カレッカ、アレモン、マッシモ・クリッパ、チーロ・フェッラーラら他の主力の奮闘で序盤から首位を快走したナポリは、大黒柱の復調とともにさらに調子を上げ、終盤はミランとのデッドヒートを展開しながら、同シーズンに欧州制覇を果たすライバルの息切れにより、最終節で2度目のセリエA優勝を飾った。
このシーズンで自身が低調だった時期にサポーターからしばしばブーイングを浴びたことを根に持ったマラドーナが、優勝決定後に言い放った「この勝利はナポリのものであって、市民には何の関係もない」とのコメントは、今回の優勝の立役者のひとりであるFWヴィクター・オシメーンの「シーズン開幕以降、ナポリのサポーターの後押しは圧倒的だった。スクデットに値するチームは、ナポリの他になかったと思う」との感謝の言葉とは対照的だったが、それでもこの港町にとっては最も幸福な時間だったと言えよう。
そこから、マラドーナがコカイン使用による長期出場停止処分を経て、1991年に突然クラブを去って以降、しばらくはジャンフランコ・ゾーラ、ダニエル・フォンセカらの活躍で上位をキープするも、クラブの財政難によってゾーラ、フェッラーラ、ファビオ・カンナバーロといった主力を次々に売却をせざるを得ず、97-98シーズンに年間わずか2勝という悲惨な成績でセリエBに降格し、さらに2004年には破産宣告をしてセリエC1まで戦いの舞台を下げる羽目となった。
当時、現地メディアはこのクラブが再び栄光を取り戻すことは極めて難しいと見ていたが、同年に映画プロデューサーのアウレリオ・デ・ラウレンティスが新オーナーとしてクラブの立て直しに着手すると、手堅い経営を続けながら多くの名手を迎え入れることで、時にセリエAでも屈指の攻撃力を有するチームを創り上げ、世代交代も上手く進め、今季はオシメーンら主力に加え、クビチャ・クバラツケリア、キム・ミンジェといった新戦力も見事にフィットし、国内外で猛威を振るうこととなり、ついにカルチョの王者に返り咲いた。 ナポリのクラブ専門サイト『NAPOLIPIU.COM』によれば、2020-21シーズンにセリエAを制したインテルが、2016年に蘇寧グループを筆頭株主に迎えて以降、スクデットを獲得するまでに要した投資額は6億4700万ユーロ(約938億円)であり、覇者ミランが2018年にエリオット・マネジメントへ経営権が移譲されてから、昨季の栄光までには7億4400万ユーロ(約1079億円)が投じられたという。
これらの莫大な額は、両クラブにとって負債として残っているが、一方のナポリは前述の通り2004年にデ・ラウレンティス会長が破産したクラブを管財人から引き継いだ時、3200万ユーロ(約46億円)を支払い、最初の2シーズンで資本金として1600万ユーロ(約23億円)を費やして以降、イタリアのクラブとしては珍しく、バランスシートで黒字を維持しているとのことである。
エセキエル・ラベッシ、エディンソン・カバーニ、ゴンサロ・イグアイン、ジョルジーニョといった名手の多額の売却益が新たな大物選手の獲得を可能にし、今季はカリドゥ・クリバリ(→チェルシー)、ファビアン・ルイス(→パリ・サンジェルマン)が計6900万ユーロ(約100億円)をナポリにもたらした一方で、今や欧州中のビッグクラブの注目の的であるクバラツケリアはディナモ・バトゥーミ(ジョージア)から1000万ユーロ(約15億円)で獲得できており、全体でも440万ユーロ(6億円強)程の黒字を計上した。
まさに、堅実な経営と優れたスカウティングと交渉術で、ここまで成り上がってきたナポリ。そうなると気になるのは、今季終了後にチームの主力選手の去就だ。オシメーン、クバラツケリアといった選手には、プレミアリーグのビッグクラブ行きなどの噂が多く流れており、メディアによっては「戦力流出は避けられない」と予想しているが、黒字を維持し、なおかつ今季はセリエA優勝、さらにチャンピオンズ・リーグ(CL)準々決勝進出を果たしたことで、多額の賞金も手にするクラブは強気の姿勢を示している。
デ・ラウレンティス会長は、放送局『Rai Sport』の番組に出演した際、「オシメーンをこの夏に売却することはない。絶対にだ」と断言。一方で日刊紙『IL MATTINO』は、ナポリがこのナイジェリア代表FWを放出するための最低額を1億6000万ユーロ(約232億円)に設定したと報じているが、いずれにせよビッグクラブの札束攻勢には徹底抗戦するつもりでいることは間違いない。
イタリアの頂点に再び辿り着いたナポリは、まだ果たしていないCL優勝を新たな目標に掲げ、そのために戦力を上積みしていく方針を固めているというが、財政力ではるかに上回る他国のビッグクラブと競り合うという愚を犯すのではなく、新たな市場を開拓しながら、まだブレイク前の逸材を獲得するという方向性に変わりはないようで、彼らの視線は現在、アジアやアメリカに向けられているという。
『IL MATTINO』紙はまず、キム・ミンジェ獲得が成功したことに味をしめ、また韓国企業とスポンサー契約を結んだこともあり、オリンピアコスのファン・インボム、マジョルカのイ・ガンインという韓国代表MFを獲得候補に挙げ、続いて「漫画の中だけでなく、今では多くの選手が欧州でプレーしている」(同メディア)日本人選手にも言及し、鎌田大地(フランクフルト)、久保建英(レアル・ソシエダ)、堂安律(フライブルク)もターゲットに含まれていると報じた。
同メディアはまた、アメリカ人ではサンノゼでプレーする19歳のウインガー、ケイド・コーウェルにもナポリからの関心が向けられていると伝えているが、一方で大手スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、キム・ミンジェが引き抜かれた場合の後釜候補として、シュツットガルトの伊藤洋輝、ボルシアMGの板倉滉の2人を「左右どちらでもプレーでき、ビルドアップも良い」として紹介している。
アジアからの戦力補強は今、セルティックが大成功例として欧州でも知られている。イタリアでは1990年代後半、ペルージャが中田英寿の獲得・売却で大きな収益を得たことに味をしめ、韓国のアン・ジョンファン、中国の馬明宇を次々に獲得したことがあったが、ナポリが今夏、移籍市場にどのような動きを見せるかが非常に興味深い。
構成●THE DIGEST編集部
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