破壊力ではバルサが上? 5連勝で首位に立つマドリーは「ベリンガムが9番不在の問題を“隠蔽”しているだけ」との見方も

破壊力ではバルサが上? 5連勝で首位に立つマドリーは「ベリンガムが9番不在の問題を“隠蔽”しているだけ」との見方も

5節終了時点で3ゴールのレバンドフスキ(左)と5ゴールのベリンガム(右)。(C)Getty Images

タレントの流出が叫ばれているラ・リーガ。その最も顕著なポジションの一つがFWだ。今シーズンの開幕前には、得点王レースを予想しようにも、最大のライバル、カリム・ベンゼマがレアル・マドリーを離れたことで、昨シーズンのタイトルホルダーであるロベルト・レバンドフスキを脅かす対抗馬の名前がなかなか出てこないのが実情だった。

 しかもその大本命が苦しんでいる。ゴール以外でも大きな貢献を見せるバルセロナの9番が、今シーズンはシュートを打つ機会が減っているばかりか、ボールロストからピンチを招いたり、周囲とかみ合わなかったり、どこか動きが鈍く精彩を欠いている。これが加齢による衰えか、単なる不調か、それとも本人が指摘するように、MFの4枚起用に伴う弊害で、前線の枚数が減り、周囲のサポートが不足していることが影響しているのか。

 このまま低調なパフォーマンスが続けば、不動のレギュラーの座も危うくなるが、心強いのは、ラストパスの供給役として、イルカイ・ギュンドアンとジョアン・フェリックスが加わったことだ。奇しくもシステムを4-3-3に回帰した5節のベティス戦では、J・フェリックスとの息の合ったプレーから豪快にネットを揺らし、今シーズンの3点目を奪っている。35歳となったベテランには、今まで以上にフィニッシュに専念できる環境の整備が肝要になっているのかもしれない。
  現在そのレバンドフスキを抑え、5ゴールを奪って得点王争いをリードしているのはマドリーの新加入MF、ジュード・ベリンガムだ。チームが苦戦を強いられている中でも一発で仕留められる得点力は、まさにFW顔負け。ただ裏を返せば、チームがベリンガムにおんぶに抱っこになっているのも事実だ。

 ヴィニシウス・ジュニオールの怪我による戦線離脱が響く形にもなっているが、だからこそ期待が高まるのは、2トップの一角を担うロドリゴだ。5節を終えてまだ1ゴールだが、オフ・ザ・ボールの動き、ポジショニング、フィニッシュワーク、シュートセンスのいずれもが非凡で、しかもいい意味で未完成。ヴィニシウスとは異なり、CFでのプレー経験も豊富だ。 9番の活躍が、優勝争いに直接影響するとは限らない。実際、第5節を終えて首位に立っているのは9番不在のマドリーだ。5得点のベリンガムに加え、ホセルも途中出場がメインながら、ここまで2得点と勝負強さを発揮している。ただ一部には、「いまはベリンガムが9番不在の問題を“隠蔽”しているだけ」、という見方もあり、イングランド代表MFのゴールラッシュが長く途絶えるようなことになれば、マドリーは一気に優勝戦線から脱落する危険性がある。

 一方のバルサは、前述のベティス戦で5-0と久々にスカッとする勝利を収めた。この試合で加入後初スタメンを飾り、才能の片鱗を示したJ・フェリックス、開幕以来、好調を維持するフェラン・トーレス、売り出し中の16歳ラミネ・ヤマル、数字を残せるラフィーニャと前線の駒は充実しており、いまのところウスマンヌ・デンベレが離脱したダメージは感じられない。レバンドフスキが完全復活を果たし、シャビ監督がこれらの素材をうまく使いこなすことができれば、破壊力はリーグ随一と言えるだろう。
  マドリーかバルサか。ラ・リーガの覇権は、おそらく今シーズンもこのビッグ2によって争われる。充実の攻撃陣を誇る前回王者のバルサを、個の力とカルロ・アンチェロッティ監督の調整力をミックスさせて9番不在の問題に立ち向かうマドリーは、はたして上回ることができるのか。今後はそのあたりに注目していきたい。

文●下村正幸

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