久保建英のCLデビュー戦に欧州各メディアの評価は分かれる「危険な状況を生み出した」「ほとんど攻撃には関与せず」

久保建英のCLデビュー戦に欧州各メディアの評価は分かれる「危険な状況を生み出した」「ほとんど攻撃には関与せず」

CLデビューを果たした久保。各国メディアの評価は様々だったようだ。(C) Getty Images

現地時間9月20日に行なわれたチャンピオンズ・リーグ(CL)のグループステージ第1節で、レアル・ソシエダはインテルと1-1で引き分けた。

 10年ぶりの大舞台で昨季のファイナリストを本拠地レアレ・アレナに迎えたソシエダは、開始4分でブライス・メンデスが敵陣で相手DFからボールを奪取してゴールを決めると、その後も幾度か得点機を迎えたものの、シュートの精度を欠いたり、相手GKの好守やクロスバーに阻まれたりして加点できず、逆に87分、ラウタロ・マルティネスの同点ゴールを許してしまい、残り時間わずかなところで勝点2を失う結果となった。

 久保建英は念願のCL初出場を果たし、定位置の右ウイングとしてスタメン入り。72分に交代でベンチに退くまで、利き足ではない右足でよくコントロールされたクロスをロビン・ル・ノルマンに合わせて好機を創出した他、CKでもその正確なキックが味方の惜しいシュートに結びつき、またフィニッシュにも絡むなど、幾度も見せ場を創った一方で、相手の厳しいマークに沈黙する時間も短くはなかった。
  試合後、自身のSNSに「CLデビュー戦。良い感じだったのに、勝てなかったことは残念です。次!」と投稿した背番号14。そんな彼に対する現地メディアの報道を見ると、マドリードのスポーツ紙『MARCA』は、40分のル・ノルマンへのクロス提供について「右サイドからの久保の素晴らしいプレー。見事なクロスが送られた」と称賛、また「久保は相手にプレッシャーをかけるために全力を尽くした」と守備面の貢献に言及しながらも、「彼はいつものようには、完全に試合に参加できていない」とも指摘している。

 同メディアは3点満点の採点で「1」止まりとしたが、一方の『AS』紙は「2」を与え、「インテルは2対1で久保にプレッシャーをかけることに腐心し、彼を無力化しようとしたが、ソシエダの攻撃は左サイドに傾いていたため、問題にはならなかった。しかし、日本人選手がチャンスを得た時、彼は魔法のようなプレーを見せ、バンジャマン・パバールとカルロス・アウグストの間に、どんな選手でもボールを通すのが不可能と思われるところに、パスを通した」と、彼のこの試合でのベストプレーを伝えた。

 他にも、「久保がとんでもない方法でCKを獲得した」と報じ、また彼のドリブルを止めるためにインテルのヘンリク・ムヒタリアンが警告を受けたことなどを伝えた同メディアは、個別評価においても「常に完璧であるわけでなく、通常のプレーと比べて少し地味だったが、それでもル・ノルマンの頭に完璧なクロスを供給した」と綴っている。

 続いて、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、久保を「毒のあるプレー」と表現し、「彼にとっては最も輝かしい試合ではなかったが、(72分に)交代した時、インテルは継続的な悩みから解放された。久保は右足でル・ノルマンに、左足でミケル・メリノに、それぞれ素晴らしいクロスを供給した」と、ポジティブに評した。
  日刊紙『El Pais』は、「試合前、彼は儀式的な行動をとり、サイクリストが筋肉痛を和らげるかのように、水筒で脚を濡らした。それは筋肉痛とは何の関係もなく、事実、試合が始まった瞬間に猛烈なプレッシャーをインテルにかけた。(中略)開始4分でブライスとともに、危険なプレーをした相手DFアレッサンドロ・バストーニを取り囲んでボールを奪い、ホームスタジアムに歓喜と安堵をもたらした」と、序盤の久保を振り返っている。

 しかし、その後について同メディアは、インテルが守勢に回ったことで、ソシエダが快適に攻撃を仕掛けたものの、久保については相手の徹底マークを受けたことを紹介し、「久保は全く出番がなく、逆サイドのアンデル・バレネチェアが活躍した。日本人選手は、ル・ノルマンのヘディングシュートを引き出す危険なクロス以外には、ほとんど攻撃には関与しなかった」と報じた。
  バスクの地元紙『noticias de Gipuzkoa』は、10点満点の採点で他の多くのチームメイト同様、及第点の「6」を付与し、「アウグストからのマークによって試合に入るのが難しかったが、プレーに関与し出すと素晴らしいプレーを見せ、ル・ノルマンへのクロスでは、決定的な役割を果たすところだった。後半、スクリューシュートを外した後で交代した」と寸評を綴っている。

 サッカー専門サイト『El Desmarque』は、「興味深いことに、試合開始時にソシエダが見せた素早い攻撃では、あまりボールに触れることがなかった。時間の経過とともに攻撃の中で徐々に良くなり、この日本人選手らしい技術やスタイルを披露。ペナルティーエリア内に素晴らしいクロスを供給するも、ル・ノルマンが枠外にシュートを外した。その後、相手(ムヒタリアン)のイエローカードを誘発した」と総括し、採点は「7」と評価は高かった。

 スポーツ専門放送局『EURO SPORT』による採点は「6.5」で、「控えめなスタートとなったが、試合が進むにつれてプレーは向上し、彼が平均以上のクオリティーを持つ選手であることを示した。非常に興味深い選手だ」と綴り、イタリアのサッカー専門サイト『TUTTOmercatoWEB,com』は同採点で、「周囲の選手に比べてあまり注目されなかったかもしれないが、日本人選手が自身のクオリティーを示す機会は訪れ、幾つか危険な状況を生み出した」と、こちらも寸評の内容はポジティブなものとなっている。

構成●THE DIGEST編集部
【動画】随所に存在感を見せたインテル戦!久保建英のCLデビュー戦ハイライト

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