【A代表2020年展望】ベネズエラ、韓国に黒星の森保ジャパン。停滞感を打破するカギとなるのは?

【A代表2020年展望】ベネズエラ、韓国に黒星の森保ジャパン。停滞感を打破するカギとなるのは?

11月にはベネズエラに1−4で完敗。先のE−1選手権では韓国に完封負けを喫した。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

11月にはベネズエラに完敗し、先のE−1選手権では韓国に完封負け。船出は順調だった森保ジャパンに今、逆風が吹き始めている。2020年の9月からはカタール・ワールドカップの最終予選が始まるが、現状の停滞感を打破するにはどうすべきなのか――。チームの課題を炙り出しながら、改善点を探った。

■早急な指揮官交代は現時点で考えにくいが…

 停滞――。

 森保ジャパンの現状をひと言で表わすならこの言葉が相応しい。2018年9月に発足したチームは5戦負けなし(4勝1分)と順調な船出を切ったが、準優勝に終わったアジアカップ、グループリーグで敗退したコパ・アメリカを経て、雲行きが徐々に怪しくなってきた。今年11月のキリンチャレンジカップのベネズエラ戦に1−4で完敗すると、先のE −1選手権では韓国に完封負け。ともにベストメンバーで臨めなかったとはいえ、森保一監督の手腕に疑問の声が挙がり始めているのだ。
  もっとも逆風が吹き始めているが、すぐに指揮官交代という事態にはならないだろう。現に今年9月からスタートしたカタール・ワールドカップ・アジア2次予選は、内容こそスッキリしないとはいえ、4戦全勝でいまだ無失点と上々の結果を残しており、2020年9月から始まる最終予選へ、この1年半の積み重ねを無下に崩す必要もない。ただし、楽観できない状況ではある。東京五輪で結果を出せず、最終予選の出足で躓けば、日本サッカー協会も重たい腰を上げるはずで、そうした緊急事態にならないためにも、20年3月と6月に戦う2次予選の残り4試合では、結果と内容の両立が求められる。ポイントはチームのベースアップをできるか。そこが森保体制の行く末を占う大きな鍵になる。

「原理原則」。指揮官がよく口にする言葉だが、森保ジャパンは基本的な決まりごとは設定されているものの、特に前線の選手には一定の自由が与えられている。そのため、中島翔哉、堂安律らアタッカー陣がハマった試合は、魅力的なサッカーを展開するが、相手に対策、もしくは奇策を講じられた際に、機能不全に陥ることが少なくないのだ。
  その背景を踏まえると、戦術のバリエーションの増加、戦い方の幅を広げる人材の確保が喫緊のテーマとなる。そこで、すでに突破に王手をかけている2次予選の残り4試合では、多くのトライを行ないたい。

 まず戦術のバリエーションの増加という点では、メインシステムの4−4 −2に加え、オプションの3 −4 −2 −1の理解度を上げる作業が求められる。前述のE −1選手権では全3試合で指揮官の代名詞と呼べるこの3 −4 −2 −1を採用したが、準備期間が限られていたため、利点をそこまで示せなかった。もっとも第1戦の中国戦の先制点のシーン、左ストッパーの佐々木翔が持ち上がり、CFの上田綺世、シャドーの森島司、鈴木武蔵が連係して崩した場面のように、良い距離間を意識しつつ、このシステムをどういうシチュエーションで使用するのか共通認識を持ちたい。

 3 −4 −2 −1は使い方によって5トップとして攻撃的に、もしくは5バックとして守備的に振る舞うことができる可変式のシステムだ。状況に合わせた“マニュアル”を共有しておけば、対戦相手によってスムーズに使い分けられるはずだ。
 ■3つのポイントから有能な人材を見つけられるか

 一方で、ネックになりそうなのが、森保監督が兼任で率いる五輪代表との関係性だ。来年8月の東京五輪へ向け、若き代表のチーム作りも急ピッチで進めなくてはいけないが、U−23代表は1月にアジア選手権を戦ったあとの強化日程がA代表のスケジュールと重なる部分が多い。森保監督はA代表優先の考えを示しているが、恐らく2次予選の残りの4戦では多くの若手を招集し、両代表の強化を同時に行なうはず。そのなかで有能な人材を見つけられるか。

 新たに求めたいタレントは@“大迫依存症”を緩和できる人材Aジョーカーとして振る舞えるアタッカーB対人能力に秀でた左SBだ。

 @に関してはチーム発足時からの懸念材料で、指揮官もここまで様々なトライを行なってきた。そもそも森保ジャパンの2トップは縦関係になることが多く、CF大迫勇也、セカンドトップ南野拓実の組み合わせが鉄板だ。確度の高いポストプレーを見せる大迫と機動力に長けた南野のコンビは補完性に優れ、抜群の連係を誇る。ただし、特に大迫の代役が不在で、指揮官はこのエースを欠いたゲームで数人をテスト。可能性を示したのは、圧巻のスピードを誇る永井謙佑と、南野をCFに上げ、後方にフランクフルトで逞しく成長する鎌田大地を置くパターンだった。
  ただし先日、肩の手術を受けた永井の約4か月の離脱が決定。そうなると鎌田と南野のコンビネーションを深めさせるか、永井と同様の特長を持った鈴木、もしくは東京五輪世代のストライカー小川航基、上田を抜擢する選択肢が考えられる。

 Aに関しては、試合が膠着した状態で流れを変えられる切り札が、現代表には不足しており、期待したいのが徐々に出場機会を増やしている伊東純也と18歳の久保建英だ。加えて東京五輪世代では10番を背負う三好康児、E−1選手権で存在感を示した森島にチャンスを与えても面白いだろう。

 そしてBに関しては現代表のフィールドプレーヤーで最年長となる長友佑都の後継者探しを進めたい。11月のキルギス戦では長友と相手の長身選手のギャップを突かれ、起点を作られただけに、空中戦に強く、フィジカル能力に長けた人材が理想的だ。そう考えると東京五輪代表の軸である杉岡大暉あたりを試すのがベターなのではないか。
 ▼A代表の今後の試合日程
・3月26日(木)
カタール・ワールドカップ・アジア2次予選(vsミャンマー):豊田スタジアム
・3月31日(火) 
カタール・ワールドカップ・アジア2次予選(vsモンゴル):未定(アウェー)
・6日4日(木)
カタール・ワールドカップ・アジア2次予選(vsタジキスタン):ノエビアスタジアム神戸
・6月9日(火) 
カタール・ワールドカップ・アジア2次予選(vsキルギス):パナソニックスタジアム吹田
・9月〜 
カタール・ワールドカップ・アジア最終予選未定

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

※『サッカーダイジェスト』2020年1月9日号より転載
 

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