オランダ代表の“名勝負“5選――伝説となった二つのボレー弾。強烈すぎたファン・バステンとベルカンプの輝き

オランダ代表の“名勝負“5選――伝説となった二つのボレー弾。強烈すぎたファン・バステンとベルカンプの輝き

ソ連戦でファン・バステン(右)が決めたボレーは、「フットボール史上最高のゴール」のひとつと言われている。(C)Getty Images

“トータルフットボール“に端を発する攻撃サッカーで世界中のファンを魅了してきたオランダ代表。その歴史のなかから「名勝負」をピックアップするとしたら、どの試合になるのか。欧州サッカーに精通する識者に、とりわけ強烈なインパクトを残した5試合を選んでもらった。

    ◆    ◆    ◆

1974年7月3日 西ドイツW杯2次リーグ
vsブラジル 〇2−0
得点者/オランダ=ニースケンス、クライフ

 全世界のサッカー史を紐解いても、歴史的な転換点、エポックメイキングな出来事として語り継がれるのがこのブラジル戦だ。

 過去4大会のうち3度の優勝実績を誇る王国セレソンに対し、オランダは実に7大会ぶりの出場(それも過去2回の出場は初戦敗退)という“小国”に過ぎない。しかし、凱歌をあげたのはオレンジだった。

 いまでこそ当たり前になった全員守備・全員攻撃の革新的な「トータルフットボール」を展開し、王国と五分以上に渡り合うと、後半に“フライングダッチマン”が魅せる。先制点をアシストしていたヨハン・クライフが、70分に華麗なジャンピングボレーを披露。2点差となるこの一撃で勝敗は決し、オランダは強豪国の仲間入りを果たすことになった。
 1988年6月25日 EURO決勝
vsソ連 〇2−0
得点者/オランダ=フリット、ファン・バステン

 オランダ史上初となるメジャートーナメント制覇を成し遂げた記念碑的な試合であると同時に、「フットボール史上最高のゴール」のひとつが生まれた一戦だ。

 オランダの1点リードで迎えた54分、左サイドから山なりのクロスが上がる。これに反応したのがファーサイドに走り込んだ“20世紀最高のストライカー”だった。

 ゴールに対してほとんど角度のない位置から、マルコ・ファン・バステンが右足を一閃。フィニッシャーとしての卓抜したスキルと、常人には思い浮かばない発想による伝説のダイレクトボレーで、チームに貴重な追加点をもたらしたのである。
 1998年7月4日 フランスW杯準々決勝
vsアルゼンチン 〇2−1
得点者/オランダ=クライファート、ベルカンプ
    アルゼンチン=C・ロペス

 攻撃的な姿勢を前面に押し出した両国は、ハーフタイムまでに1ゴールずつを奪取。どちらもポストを叩く一撃を放つなど、一進一退の攻防を繰り広げた。後半にはそれぞれ退場者を出すほどヒートアップ。その死闘の結末が衝撃的であり、娯楽性に富んだ一戦の締め括りにも相応しかった。

 勝負を決めた男はデニス・ベルカンプ。後半終了間際、50メートル級のロングフィードを一度もバウンドさせずに、ペナルティーエリア内で完璧にトラップ。2タッチ目で名手ロベルト・アジャラをかわし、見事なハーフボレーを突き刺したのだ。

 ワールドカップ史とファンの脳裏に深く刻み込まれるスーパーゴールで南米の雄を退けたオランイェは、78年大会以来20年ぶりとなる準決勝進出を果たした。

2010年7月11日 南アフリカW杯
vsスペイン ●0延長1
得点者/スペイン=イニエスタ

 78年のアルゼンチン大会以来、32年ぶりの決勝進出を果たしたオランダは、EURO2008に続くメジャートーナメント連覇を狙うスペインと激突。この日のオランイェは“勝負の鬼”になった。

 伝統の攻撃的なスタイルをかなぐり捨て、マルク・ファン・ボンメルとナイジェル・デヨングの両ファイターを中心に、ファウルを厭わない死に物狂いのディフェンスを披露。ただし、ベタ引きで守る腰の引けたような戦い方ではなく、果敢にボールを狩りに行き、高速カウンターからゴールを目指した。

 そして、後半にはいずれもヴェスレイ・スナイデルのお膳立てから、ロッベンに二度のゴールチャンスが到来する。このうちひとつでも決まっていれば、サッカーの近代史はまた変わっていただろう。
 2014年6月13日 ロシアW杯グループステージ
vsスペイン 〇5−1
得点者/オランダ=ファン・ペルシA、ロッベンA、デ・フライ
    スペイン=シャビ・アロンソ

 スコアのインパクトだけで判断するなら、断トツのナンバーワンだろう。前回大会決勝の再現となったブラジル・ワールドカップの初戦で、セカンドユニホームに身を包んだオランダが鮮烈なリベンジを成し遂げた。

 PKで先制を許すも、ハーフタイム直前にロビン・ファン・ペルシのスペシャルなダイビングヘッドで同点に追いつく。そして、後半に怒涛のゴールラッシュを披露。まずはアリエン・ロッベンが前記のベルカンプ弾に通ずる美技で逆転弾を決める。その後、セットプレー→相手GKのミス絡み→ロッベンのソロで3点を追加。王者スペインを文字通り木っ端微塵にして、世界中の度肝を抜いてみせた。

文●遠藤孝輔

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