小野伸二よりシャビが上回った特殊能力。ゴールへの最適な針路を示す

異能がサッカーを面白くする(14)〜方向感覚編
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 小野伸二が浦和レッズに入団した1998年といえば、バルセロナではシャビ・エルナンデスがトップチームの試合に出場し始めていた頃と一致する。ほぼ同じタイミングで昇格したカルレス・プジョル、ガブリとともに、バルサの下部組織(カンテラ)の優秀さを伝える広告塔としても利用されていた。

 しかし当時、現地と日本を頻繁に往復していた筆者の目には、シャビより小野伸二のほうが光る存在に見えた。贔屓目なしに、フラットな目で見てそう思った。小野がバルサに移籍していたら、シャビに勝てるのではないか。大真面目にそう思ったものだ。

 しかし、小野がその翌年のシドニー五輪予選フィリピン戦で大ケガを負い、大きなダメージを負うことになったのに対し、シャビは時間の経過とともにこちらの評価を上げていくのだった。


バルセロナ、スペイン代表の中心選手として活躍したシャビ・エルナンデス

 シャビは若い頃、ジョゼップ・グアルディオラの後継者のような言われ方をされていた。実際、グアルディオラが欠場した時、同じポジションでそのままプレーすることが多かった。グアルディオラやその前任者であるルイス・ミジャが付けていた背番号にちなんで「4番のポジション」と言われた4−3−3のアンカー、あるいは4−2−3−1の2(守備的MF)として、である。

 しかし、シャビはグアルディオラにはなれなかった。広い視野を武器に、長短のパスを自在に扱うグアルディオラのような展開力を、シャビは備えていなかった。筆者の評価が上昇したのは、4−3−3のインサイドハーフにポジションを上げてからになる。

 現地スペインの評論家は、シャビを「航海士のようなセンスの持ち主」と解説してくれた。「ピッチを大海原にたとえたとき、進むべき針路に間違いがない選手だ」と。

 舵取りといえば、想起する言葉はボランチだ。クルマのハンドル操作とも言えるが、これも進むべき方向性を指す言葉だ。ポジション的にはインサイドハーフより1列下、先述の4番のポジションと似たような特性になる。しかしスペイン人評論家が言うシャビの才能は、もっと細かい操作術を指していた。

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