【大相撲徳俵】20代の関脇、小結が全員勝ち越し 大相撲界に「世代交代のうねり」

【大相撲徳俵】20代の関脇、小結が全員勝ち越し 大相撲界に「世代交代のうねり」

大関復帰を決めた貴景勝

 大相撲界に「世代交代のうねり」が大きくなってきた。9月22日に千秋楽を迎えた秋場所では優勝した26歳の関脇御嶽海、大関復帰を決めた23歳の関脇貴景勝を筆頭に、20代前半から半ばの力士の活躍が目立った。年齢を重ねた横綱、大関が多い中、上位の顔ぶれが一気に変わる可能性もある。

 23日の横綱審議委員会後の記者会見で、矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)は「両関脇以下がよく頑張って、最後、(優勝)決定戦という非常に盛り上がる場所にしてくれた。全体的に世代交代の時期にきている」と総括した。

 白鵬、鶴竜の両横綱が休場し、大関も勝ち越したのが豪栄道だけ。それでも盛り上がりが下火にならず、千秋楽まで熱気が続いたのは、若い力の奮闘があったからだ。

 若手と呼ぶにはやや年齢を重ねた御嶽海だが、「次の世代」の担い手としてのプライドは強く持っている。ライバルは誰かと聞かれると、「若手全員がライバル。負けたくないですね」と話す。

 大関への色気は隠さない。先場所は9勝、今場所は12勝を挙げた。大関昇進の目安は「三役で直近3場所33勝以上」。来場所で12勝以上を挙げればこの目安を満たす。本人も優勝インタビューで「そろそろみなさんの期待に応えられるように。11月場所で決めたい」と高らかに宣言した。

 25歳の小結阿炎も伸び盛りの力士だ。今場所は三役で2場所連続で勝ち越し、自力がついていることを示した。もう一人の小結遠藤は三役で初めての勝ち越し。人気に火がつくのが早かったためにベテランのような雰囲気もあるが、まだ28歳。下半身の強さ、粘り腰に磨きがかかった感があり、大関も夢ではない。

 関脇、小結が全員勝ち越したのは平成18年秋場所以来。このときは関脇が雅山、琴光喜、小結が稀勢の里、黒海だった。17年九州場所も全員勝ち越しており、関脇が琴欧州(後の琴欧洲)と琴光喜、小結が旭天鵬と白鵬だった。そうそうたる名前が並ぶ。今場所の4人も将来が楽しみだ。

 平幕にも有望株は多い。25歳の前頭2枚目朝乃山は初めて横綱(鶴竜)を倒し、10勝をマークした。5月の夏場所で初優勝したが、その実力がまぐれではなかったことを証明した。

 朝乃山は御嶽海と貴景勝をライバルと考えている。「まだ追いつけていないけど、2人が上にいるおかげで自分も頑張れている」。若手同士が切磋琢磨(せっさたくま)し、良い相乗効果が生まれている。

 幕内下位にも楽しみな存在がいる。終盤まで優勝争いの中にいた24歳の前頭10枚目明生だ。角界内では稽古熱心で知られる力士だが、一般の知名度は高くなかった。今場所は11日目までトップタイで、その名が知られるようになった。

 所属する立浪部屋は茨城県つくばみらい市にあり、関取といえど、両国国技館まで“電車通勤”している。つくばエクスプレス、JR総武線を乗り継ぐ片道約1時間の道中。今場所から一般の人に声をかけられるようになったといい、「ちょっと有名になったかな」とはにかんでいた。

 九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)では両横綱や大関高安が復帰するだろう。役者がそろう中で、新世代がどこまで成績を伸ばすことができるか注目される。(運動部 浜田慎太郎)

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