井上尚弥の強さの秘密は防御にあり 攻防一体のボクシング

井上尚弥の強さの秘密は防御にあり 攻防一体のボクシング

井上尚弥のプロ戦績

 WBSSバンタム級決勝に臨んだ井上尚。その強さの源はどこにあるのか。関係者の話をもとにさぐった。

 ■防御に重点

 デビューから井上を見続けているボクシング解説者の矢尾板貞雄氏は「非常にしっかりとした防御に支えられている」と指摘する。日本の伝説的王者といえば、初めて世界ボクシング殿堂入りを果たしたファイティング原田、日本男子選手最多の13度の防衛記録をもつ具志堅用高らが挙げられる。「原田はスピードとパンチの回転でかまわず相手に向かっていく。具志堅は一発の強打を当てると、そこから一気に終わりにつなげるというタイプ」

 矢尾板氏は、井上がそうした攻撃型選手と異なり、守りに軸足を置いている点に注目する。1960年代の原田がスピードで敵を圧倒する駆逐艦だとすれば、70年代の具志堅が巨砲で敵艦を沈める戦艦で、井上は優れた防御システムを搭載したイージス艦といったところだろうか。

 ■傷むシューズ

 井上のボクシングの基礎に防御があることは、シューズからもうかがえる。リングシューズを提供するミズノの担当者は、1カ月半で2足つぶれることもあったとし、「人並み以上の筋肉か、体幹の持ち主なのでしょう」と話す。

 理由について元世界2階級王者の井岡弘樹氏は「井上が足を使ってディフェンスしているから」と話し、「(世界4階級を制覇した)おいの一翔は(ダッキング、ウィービングなど)上体の技術でパンチをかわしていたので、あまりシューズが傷まなかった。でも、僕も井上のように足ではずすタイプだから、ひんぱんにシューズを替えていた」

 ■攻防一体

 井岡氏は軽量級にもかかわらず井上が高いKO率を誇るポイントととして「タイミングを見計らって腰の回転で強いパンチを打つから」と指摘する。

 自分のパンチがあたる距離は相手のパンチが届く距離でもある。それを瞬時に測っては踏み込み、強い下半身に支えられた強打を当てて、素早く退く。その優れた下半身を武器に敵のパンチをもらうことなく早いラウンドで強豪たちをなぎ倒す攻防一体のボクシングが井上の強さを支えている。(正木利和)

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