井上尚弥、苦しみながらも「世代交代」実現

井上尚弥、苦しみながらも「世代交代」実現

井上尚弥「ドネアが二重に」

井上尚弥、苦しみながらも「世代交代」実現

【ボクシングWBSSバンタム級決勝戦、IBF・WBA世界バンタム級王座統一戦】井上尚弥VSノニト・ドネア 12R判定で勝利してWBSS優勝を果たし、アリトロフィーを掲げる井上尚弥=7日、さいたまスーパーアリーナ(撮影・今野顕)

 11回、驚異的な粘り強さを見せてきた36歳のドネアを、26歳の井上尚がついにとらえた。右アッパーに続いて左ボディーを打ち込むと、世界5階級王者は悶絶(もんぜつ)。自らコーナーに動いてうずくまった。このダウンが決め手となり、3−0の判定勝ち。公言してきた「世代交代」を大観衆の前で実現させた。

 苦しんだ試合だった。2回に左フックを浴びて右目の上から出血した井上尚は「そこから12回まで、ドネアが二重に見えた」状態で戦っていた。9回には右ストレートを浴び、よろめく場面も。所属ジムの大橋会長は「パンチが効いたシーンは、知り合って初めて見た」と冷や汗をかいた。

 ただ苦境の中でも「モンスター」は冷静だった。リズムが取れなかった中盤は「捨てるラウンド」と割り切り、一呼吸置いた終盤に堅実にポイントを重ねた。「ポイントを気にしながらできるのはすごいと思った」とは父の真吾トレーナー。早い段階でのKO勝ちが続いていたため、12回を戦うのは16年5月のカルモナ(メキシコ)戦以来9試合ぶりだったが、9月の長野合宿で走り込み、心肺機能とスタミナを強化した成果を終盤に披露。大橋会長は「心配していたタフネスも証明できた」と誇った。

 試合後には米興行大手のトップランク社との複数年契約が発表され、来年は最低2試合を米国で戦う見通しとなった。「甘い世界じゃないと、きょうの試合を通して分かった。この経験を生かして精進したい」。貴重な経験を積んだホープはたくましさを増して、ボクシングの本場に乗り込もうとしている。(奥村信哉)

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