危険行為が頻発する男子テニス界、選手への処分が甘すぎるとの声を受けATPが行動規定見直しへ<SMASH>

危険行為が頻発する男子テニス界、選手への処分が甘すぎるとの声を受けATPが行動規定見直しへ<SMASH>

マイアミ・オープンでも主審への怒りからラケットを叩き折ったキリオス。こうした暴力的な行為がツアーで頻発していることから、ATPは行動規定の見直しに乗り出した。(C)Getty Images

ここ数か月の間にコート上での選手の危険行為が頻発している男子テニス界。これを受けてATP(男子プロテニス協会)の会長を務めるアンドレア・ガウデンツィ氏が内部文書を通じて、統括団体内で定められている行動規定の見直しに踏み切る意向を示した。テニス系海外メディア『UBITENNIS』が伝えている。

 最も衝撃的だったのは、今年2月末のメキシコ・オープンで失格処分を受けたアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/世界ランク3位)だろう。マルセロ・メロ(ブラジル)とのペアで男子ダブルス1回戦に出場した彼は、ライン際を捉えた相手のショットに対する主審のイン判定に激怒。そのまま敗れると、怒りに任せてラケットで何度も審判台を殴打するという暴挙に出た。

 そして3月初旬のBNPパリバ・オープンではラファエル・ナダル(スペイン/4位)との準々決勝で敗れたニック・キリオス(オーストラリア/94位)が、その翌週のマイアミ・オープン1回戦ではジェンソン・ブルックスビー(アメリカ/36位)が、それぞれ敗戦や自身の試合中のミスによる怒りからラケットを投げ、それがボールボーイに向かってしまった。キリオスとブルックスビーは直接ボールボーイに謝罪したものの、ともにATPから罰金を科されている。
  こういった危険行為が常態化してしまえば、テニスのイメージ悪化にもつながってしまうのは想像に難くない。自身も元選手であるガウデンツィ氏は今回発行した内部文書で「我々は大会関係者やボールパーソンが攻撃的または無礼な行為に巻き込まれるなど、あまりにも多くの危険な瞬間を見てきました。このような事件は、私たちのスポーツに悪い光を当てています」とのコメントを発表。

 その上で「ATP審判団はクレーシーズンでの戦いを前にして、行動規定の違反をより厳格に判定するよう指示を受けています。また我々は度々問題行動を起こす選手に対して適切かつ最新の罰則を提供するよう、罰則を科すまでのプロセスだけでなく、行動規定の見直しも行なっているところです」と明かした。

『UBITENNIS』によると行動規定の見直しの理由は「危険行為を犯した選手への処分が甘いという声が上がっているため」だという。ちなみにメキシコ大会で失格となったズベレフには1年間の保護期間を設けた上での25,000ドル(約289万円)の罰金と8週間にわたるツアー大会への出場停止、ラケットをボールボーイの方に投げつけたキリオスとブルックスビーにはそれぞれ罰金の制裁だけにとどまっている。

 ガウデンツィ氏の言葉通り、これから新たなファンを獲得するにはテニスが潔白なスポーツであることを示す必要があるだろう。現時点では具体的にどのような規定の変更が行なわれるのかは明らかになっていないが、今後の動向に注目したいところだ。

文●中村光佑

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