元女王エバート、問題行動が頻発するテニス界を憂慮「精神面の健康はもっと議論されるべき」<SMASH>

元女王エバート、問題行動が頻発するテニス界を憂慮「精神面の健康はもっと議論されるべき」<SMASH>

問題行動が目立つ近年のテニス界の改善策について元女王が私見を述べた(写真はキリオス)。(C)Getty Images

ここ数カ月にわたりテニス界では、冷静さを失ってしまった選手のコート上での問題行為が頻発している。これを受けて元女子テニス世界ランク1位のクリス・エバート氏は、選手のメンタルヘルスを懸念している。

 ファンの間でも衝撃が走ったのは、2月末のメキシコ・オープンで失格処分を受けたアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/世界ランク3位)だろう。マルセロ・メロ(ブラジル)とのペアでダブルス1回戦に出場した彼は、ライン際を捉えた相手のショットに対する主審の「イン」との判定に激怒。そのまま敗れると、怒りに任せてラケットで何度も審判台を殴打するという暴挙に出た。

 そして3月初旬のBNPパリバ・オープンでは、ラファエル・ナダル(スペイン/4位)との準々決勝で敗れたニック・キリオス(オーストラリア/94位)が、またその翌週のマイアミ・オープン1回戦ではジェンソン・ブルックスビー(アメリカ/36位)が、それぞれ敗戦や自身の試合中のミスによる怒りからラケットを投げ、それがボールボーイに当たりそうになった。キリオスとブルックスビーは直接ボールボーイに謝罪したものの、ともにATPから罰金を科されている。

 一方女子テニス界でもマイアミ・オープンの3回戦に出場したビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ/17位)がなんの説明もなく突如試合を途中棄権し、試合後に「私生活でストレスの多い日々が続いていた。今日はコートに出るべきではなかった」との声明を発表。また彼女は「今はちょっと休んでまた戻ってこられたらと思っている」とツアーの一時離脱も示唆している。
  このほど欧米スポーツメディア『EUROSPORT』のインタビューに応じたエバート氏はこれらの一連の出来事について、「テニスというスポーツが選手に精神的な負担をかけてしまっているのが理由の1つになるだろう」と分析。「テニスほど選手が審判を罵倒するスポーツは他にない」と前置きしつつ、次のように心配のコメントを寄せた。

「私は、(最近の)選手たちの振る舞いに懸念を抱いているし、コート上で感情的になって、試合の途中で立ち去ってしまうのではないかとも心配している。決して選手たちを批判しているわけではない。でも選手たちのことが気がかりなの。(中でも)心配なのは、なぜコントロールを失い、ラケットを壊し、他人を危険にさらしてしまうのかという点よ」

 その上でエバート氏は「選手が感情的になってしまう根本的な原因を突き止め、解決していかなければならない。精神面の健康はもっと議論されるべきもの」と主張。だからこそ同氏は現女子世界1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)や大坂なおみ(35位)など一部の選手がスポーツ心理学者やセラピストと共にメンタルのケアを図るための取り組みを行なっていることについて「彼女たちは自分たちの問題に対処しようとしているのだから、素晴らしいことだと思う」と評した。

 男女ともにプロテニスプレーヤーは過酷なスケジュールの中で世界各国を転戦し、常に結果を残さなければならない。それだけに精神的な負荷がかかりすぎてしまうことは想像に難くない。度重なる問題行為の撲滅に向け、それぞれの統括団体内でもより選手のメンタルヘルスにスポットを当ててほしいものだ。

文●中村光佑

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