【プロの観戦眼18】現代テニスにおいて希少なマキシム・クレシーのサーブ&ボレーを見よ!〜森井大治<SMASH>

【プロの観戦眼18】現代テニスにおいて希少なマキシム・クレシーのサーブ&ボレーを見よ!〜森井大治<SMASH>

“オール”サーブ&ボレーを貫くマキシム・クレシー。サービス力だけで押すのではなく、ネットへのスムーズな連係と、ボレーの技術に長けた選手だ。左下は森井大治氏。写真:真野博正、THE DIGEST写真部

このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがスゴイ!」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。

 第18回は元ナショナルメンバーで、現在は日本体育大学硬式テニス部監督を務める森井大治(もりい だいじ)氏に話を聞いた。森井氏が注目するのは、アメリカの大学を卒業してプロの道に進んだ24歳、マキシム・クレシーだ。

「今のテニス界では珍しく、徹底してサーブ&ボレーをする選手です。1stサービスはもちろん、2ndサービスでも普通にネットダッシュします」というのが彼を推す理由。しかも「ボレーの技術をちゃんと持っている」ところが希少だという。

「オペルカとかイズナーみたいに、サービスの力でほとんど決めてしまい、ボレーは仕上げというスタイルではない。“ネットで勝負する”タイプのサーブ&ボレーヤーは久しぶりに登場したように思います」

 森井氏はクレシーのことを「ポジションをきちんと取れる」選手だと評する。「サービスからスプリットステップして1stボレーまで、流れが淀みなくつながっています。1stボレー後も、しっかりコースを押さえながら前進し、相手のパスを止める。ボレーヤーとして理詰めなんです」
  さらに「きれいにラケットを出して面を作れるし、背が高いのにローボレーもうまい」と森井氏は称える。タッチが抜群であるとか、トリッキーなボレーを打つわけではないが、そのぶん「サーブ&ボレーのお手本」にしやすい選手なのだ。

 もっとも、クレシーはボレーに比してサービスが弱いわけではなく、1stサービスの平均時速は190キロを上回る。ただそれ以上に特徴的なのが2ndサービスの速さで、今年の全豪オープンでは平均180キロ台後半をマーク。1stとあまり差がないからこそ、2ndでもあれだけサーブ&ボレーできるわけだ。

「今のツアーはみんなストローク中心だから、彼のような“オール”サーブ&ボレーは見ていて面白い。テニスの色んな面が楽しめます」と森井氏。ラリーばかりで飽きているファンは、ぜひクレシーの試合をチェックしよう。

◆Maxime Cressy/マキシム・クレシー(アメリカ)
1997年5月8日、フランス・パリ生まれ。198cm、84kg、右利き、両手BH。アメリカのUCLAで腕を磨き、2018年に米国籍取得、19年に卒業と同時にプロ転向。サーブ&ボレーを武器に活躍し、今年は全豪前哨戦のメルボルンで準優勝、全豪では4回戦に進みメドベージェフと接戦を演じた。ATPランキング自己最高59位(22年1/31付)。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】M・クレシーの流れるようなサーブ&ボレー「30コマの長回し連続写真」
 

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