【テニスマナー講座5】対戦相手から“好かれる人・嫌われる人”の違い。不快なプレーヤーの特徴は?<SMASH>
2022年05月12日 11時57分 THE DIGEST

テニスは相手の嫌な所を突いてポイントを奪い合う競技でもあるが、だからといって相手をリスペクトする気持ちを忘れてはならない、(C)Getty Images
テニスを楽しむうえでルールを守るのは当然だが、お互いが気持ちよくプレーするにはマナーを守るのも大切。テニス専門誌『スマッシュ』では、日本テニススクール界のパイオニアとして知られる中嶋康博氏の解説をもとに、テニスで「好かれる人」と「嫌われる人」のマナーについて考えてみた。
シリーズ第5弾は、試合後に「いいゲームができた」と対戦相手に思わせるプレーヤーと「2度と対戦したくない」と思わせる不快なプレーヤーについて紹介する。
◆ウォーミングアップでボールを雑に打つ人◆
試合前のウォーミングアップは時間が短いので、ほとんどの人は丁寧にボールを打ち合いながら準備する。だが、選手のなかには無理に強打するなど雑な打ち方をする人がいる。こういう人が相手だと球拾いばかりすることになり試合の準備ができない。まさに迷惑行為である。強打したいなら試合中にやるべきだ。
◆相手にボールをストレスなく返球できる人◆
相手にボールを渡す時は「ボールいきます」と声をかけ、相手が自分を見た時にワンバウンドで返球する。そうすれば、相手はストレスなくボールを受け取って次のサービスへと入れる。
ボールを手で投げるかラケットで打ち返すかは距離にもよるが、相手が見ていない時に返球したり、相手から離れた所に戻すのはマナー違反。なぜなら相手が逸れたボールを取りに行くことになり、余分な肉体的負担を強いることになるからだ。
◆フォールトしたサービスを強打する人◆
フォールトとなったボールはネットに掛けるが、「フォールト」と言いながらリターンの練習とばかりに強打する人がいるが、これはマナー違反。サーバーはボールを拾いに行くことを強いられ肉体的な負担となるからだ。
正しくは、プレーが終わったらネット近くのボールを拾って返すのがマナー。フォールトのボールを何度も打ち返されたら、さすがに相手もイラつくだろう。
◆カウントのコールを何度も間違える人◆
プレーをしている途中でスコアを忘れてしまい、カウントのコールを間違える人がいる。ベテランの試合などでよく見かけるが、これが度々続くようだとさすがに対戦相手も困ってしまう。
そうならないためには、しっかりと大きな声でコールすることだ。そうすれば、自分の記憶にも残りやすく、相手にとってもわかりやすくなるからだ。
◆次のポイントへと移る際に時間をかける人◆
相手がこれからサービスを打とうとしているのに、いつまでもペアで作戦を練っていたり背中を向けている人がいる。ポイント間の25秒はあくまでも次のゲームの準備を整えるためのもの。
それを「自分たちはアマチュアだから遅くなってもいいだろう」と甘く考える人がいる。これは対戦相手に嫌われるという次元の問題ではなく、ルール(ゲームの遅延)にも抵触する違反行為だ。◆セルフジャッジで疑惑の判定を繰り返す人◆
選手同士で判定を下し合うセルフジャッジでは、「わからなかったらイン(グッド)にする」という判断基準がある。この原則に沿ってプレーしなければならない。
だが、試合に勝ちたいがために曖昧な状況では常に自分に有利なジャッジをする人がいる。こうした不正なジャッジを下す人は対戦相手からはもちろん、ダブルスであれば自軍のパートナーからも軽蔑されるだろう。
◆セルフジャッジの判定で時間をかける人◆
ジャッジは瞬時に判断すること。ボールが落ちてしばらくしてから「アウト」ではダメ。ボールが着地した瞬間に「イン」か「アウト」と判定しなければならない。そうしないと誤解を招くからだ。
ルールブックには「相手に聞こえる声と、相手に見えるハンドシグナルを使って速やかに行なう」とある。気持ちよくプレーをしたいのなら、相手にしっかりとジャッジを伝えられるプレーヤーを目指してほしいものだ。
◆格下と思われる相手を弄ぶ人◆
普通に戦えば0−6で負けるような強い相手と試合をした場合、一番辛いのは「下手だから適当に」と弄ばれるケースだ。やる気がなくダラダラとプレーされたら、こちらとしては何ゲームか取ってもうれしくない。
たとえ力の差が歴然であっても真剣勝負の試合であれば、相手をバカにするようなプレーは控えるべきだ。
◆不満な表情を浮かべて相手と握手をする人◆
敗れた試合の後でまともに握手をしない人がいる。悔しい気持ちは理解できるが、これでは勝利した相手も嫌な気分になる。
試合後の握手はお互いの健闘を称え合うもの。たとえ惨敗だったとしても「ありがとうございました。もっと練習してきますので、また相手をしてください」くらいのことが言えるようにしたいものだ。
◆ ◆ ◆
紳士淑女による「マナー・スポーツ」とも呼ばれるテニス。気持ちの良い季節のなかでテニスをやっている人も、これからテニスを始めようと考えている人も、プレーの上達もさることながら、「マナーの上達」もお忘れなく。
解説=中嶋康博
VIP-TOP グループ ゼネラルマネージャー。日本のテニススクール界のパイオニアとして知られる存在で、その指導法を『中嶋メソッド』として全国に広めた。現在はテニスクラブ、スクール開設・運営のコンサルティングを行なう。(公財)日本テニス協会元普及指導本部長 (公社)日本プロテニス協会元理事長。
構成●スマッシュ編集部
【PHOTO】なかなか見られないトッププロの練習やレッスンの様子
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