大坂なおみ、全仏オープンは不完全燃焼に終わるも「だからこそ人生は面白い」とポジティブ思考<SMASH>

大坂なおみ、全仏オープンは不完全燃焼に終わるも「だからこそ人生は面白い」とポジティブ思考<SMASH>

全仏オープンでは初戦敗退に終わったが、大坂なおみは今大会に向けた自身の取り組みについて手応えも感じているようだ。(C)Getty Images

全仏オープン1回戦で、アマンダ・アニシモアと対戦すると聞かされた時、大坂なおみは「冗談でしょ?」と返したという。

 その真意がいかなるものかは、本人もはっきりとは語らなかった。ただ、直近の対戦である全豪オープン3回戦で敗れた相手であることが、頭にあったのは間違いない。

 現在のアニシモアは、世界の28位。クレーシーズンに入ってから好調で、今季の累計獲得ポイントレースでは12位につけている。「嫌な相手ではない」と大坂はアニシモアを評したが、対戦したい選手では決してなかっただろう。

 もちろんそれは、アニシモアも同様だ。いや、第27シードにつけながらも4度のグランドスラム優勝者と初戦で当たるのだから、不運への嘆きはアニシモワの方が大きかった。

「ものすごくタフな1回戦なのだから、気持ちを落ち着かせるのは難しかった。特にここ数日は、いろんな予測をしてしまった。なるべく考えないようにしようと思ったが、緊張とストレスを抱えながら試合に向かっていた」

 試合後にアニシモアは、そう打ち明けた。
  結論から言えば、多くの人々が注目した初戦きっての好カードは、7−5。6−4でアニシモアが勝利する。アニシモアが今季、クレーで最も多い勝ち星を得ていること。対する大坂は3週間前にアキレス腱を痛め、わずか2試合しかクレーで戦えずに全仏に挑んだことを思えば、致し方ないスコアだ。

 それら種々の条件を思ったとき、むしろ大坂のプレーは良かったとも言える。戦前から語っていた「重いボールを用いる」ストローク戦では、互角の戦いを見せた。スピンを掛けた重く安定したショットの体得は、大坂がここ数年取り組んできた課題の一つ。その成果を感じられたのは、一つの収穫だったろう。

 ただ本人も認める通り、「実戦と練習不足から来る、対峙な局面での判断ミス」は如何ともしがたかった。特に許した4つのブレークのうち、3つはダブルフォールトでの献上。

「リターンの良い選手との試合が少なく、特に緊迫の場面では、相手の高いリターン能力を考えて不安になり、無理をしすぎてしまった」

 それが、大坂が明かす自己分析だ。
  今季のクレーシーズンを早々に終えることは、大坂にとって大きな失意だったろう。3月の時点で全仏オープンへの思いを口にし、例年以上に早く欧州入りし赤土での練習を重ねて迎えたマドリード・オープン。足首に痛みが出たのは、その初戦中だった。

 いつも以上に計画的に挑んだ欧州シリーズは、結果として不完全燃焼で終わる。

 ただその事実を大坂は、「だからこそ人生は面白い」とポジティブに捕らえた。

「計画通りに、物事は進まない。そのことを受け止めて、立て直さなくてはいけない。今回してきたことに、何も後悔はない。多くの時間をヨーロッパで過ごすという、いつもと異なることをして、多くを学ぶことができた」
  以前は、大きな大会に照準を絞ることで好成績を残してきたが、今やその選択が、自身を難しい地位に追いやっていることも自覚している。

 ランキングの下降についても、以前は「困るのは私以上に、大会序盤で私と対戦する上位選手たち」と嘯いたが、今大会では、「初戦でイガ(・シフィオンテク)と当たる夢を見た」と言った。

「シードがついていないために、初戦で当たりたくない選手と対戦することになる。それが、自分がこれまで取ってきた行動の帰結であることは、理解している」

 誠実な語り口で、彼女は自ら言葉をつむいだ。

 厳しい現実を認め、その原因を理解し、全てを自分の責任として受け入れる。
 その姿勢こそが、今大会で大坂が得た最大の収穫だろう。
 
現地取材・文●内田暁

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