【テニスギア講座】ラケットの「スイングウェイト」に注目! 振りやすさと打球パワーを端的に表す数字<SMASH>

【テニスギア講座】ラケットの「スイングウェイト」に注目! 振りやすさと打球パワーを端的に表す数字<SMASH>

同じイーブンバランスでもスイングウェイトが違えば振り始めやすさは異なる(右上)。多くのプロは持ち込むラケットの重量・バランス・スイングウェイトを揃えているものだ。写真:THE DIGEST写真部(作図:松尾高司)

テニスラケットのカタログを見ると、フレームの特性を示すために長さ・重さ・フレーム厚・バランスなどの「スペックデータ」が表示されています。長さや重さは直感的にわかるでしょうが、「バランス」って何?

 カタログ上の「バランス」とは「静的バランス」のことです。ラケットを置いた状態で、フレームの先端からグリップまででバランスが取れるポイントを測り、その位置がグリップエンドから何ミリかで表示されます。フレーム形状に自由度がなかったウッドラケット時代は、この数値だけで扱いやすさの想像がついたものです。

 ところが20年ほど前から「実はスイングウェイトが重要だ」と言われるようになりました。ラケットの素材であるカーボンの品質が上がってフレーム成型の自由度が増したため、様々な重量配分が可能になり、同じ全体重量であっても振りやすさのバリエーションが生まれるようになったからです。
  添付した「図1」を見てください。これはラケットの先端からグリップまでを表したイラストで、厚さは重量配分を示します。つまり1は先端とグリップ近くに重量が配分され、2は中央部に集中しているということです。

 1、2、3とも同じ全体重量で、バランスも全て真ん中(イーブンバランス)で釣り合っており、スペック上は全く同じ。でもスイングの振り始めやすさはまるで異なり、軽く振り出せる順に「2>3>1」となります。

 また、スイングし始めるのに力は必要だけど、振り出してしまえばボールへ伝わるパワーが大きくなる順に「1>3>2」となります。これが「スイングウェイト」で、スイングし始めやすさを示しており、数値が小さいほど振り出しやすく、大きくなるほど打球にパワーが乗るということなのです。

 皆さんは「重さ」「バランス」「スイングウェイト」で一番重要なのはどれだと思いますか? ラケットは「使ってナンボ」ですから、実際に使ってみた時の振りやすさと、それがボールに伝えるパワーの大きさを明確に示してくれるスイングウェイトは、そのモデルの特性を知るうえで一番のヒントになると思います。
  以前の常識では、フレームが重いほど打球のパワーを与えやすい……でしたが、フレームの全体重量が非常に軽くても、先端が重ければ、打球に十分なパワーを与えられるとして、いわゆる「ハンマー構造」のラケットが誕生しました。

 振り始めはしんどいけど、振り出してしまえばハイパワーを発揮するという考え方が一般的になったため、その「振り始めやすさ:パワー伝達効率」を示す数値として、スイングウェイトが注目を浴びるようになったわけです。

 適切なラケット選びに効果があるとして、テニス専門店ではスイングウェイト計測マシンを導入し、アドバイスに活用しているところも少なくありません。

 とはいえ、「じゃあスイングウェイトだけ見て、重さやバランスは無視していいの?」と聞かれると、テニスのスイングはそんなに単純なものではありません。
  スイングウェイトは、あくまで「グリップを支点とした動かしやすさ」です。でも実際のスイングは手首だけを支点としたものではなく、ヒジ支点の前腕の動き、肩支点の腕全体の動き、さらには身体の回転軸も加えた回転連鎖運動の結果です。

 全体運動にとっては、ラケットは「1つの塊」となりますから、ラケット全体の重さも「振りやすさ:パワー伝達効率」の要素に大きく関与します。

 ですからどれか1つの数値だけで断定せず、3つの数値の組み合わせに目を配りながら、色んなラケットを経験して、自分に適切なものを見つけてください。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2021年1月号より抜粋・再編集

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