海外アカデミーに拠点を移す決め手は? スペインで腕を磨く守屋宏紀のアカデミーを選んだ理由

海外アカデミーに拠点を移す決め手は? スペインで腕を磨く守屋宏紀のアカデミーを選んだ理由

マスターテニスバルセロナのコーチ陣と。手前がブルーノ、左から、オスカー、守屋、エリック、右上がギエム。写真提供:守屋宏紀

ATPランキング235位で、日本人では9位の守屋宏紀(北日本物産)。彼は、ジュニアの最後の年に、インターハイと全日本ジュニアで4冠を獲得しているナンバー1ジュニアだった。プロ転向後は当分日本を拠点にしており、約5年前にスペインに拠点を移し、現在はスペイン・バルセロナの「Master Tennis Barcelona」というアカデミーで活動している。

 海外のアカデミーを拠点にしている選手は増えてきているが、情報が少なく、誰でも簡単に行けるわけではない。守屋は、2008年12月にプロ転向してから、どのような経緯で今のアカデミーに辿り着いたのだろうか。

 最初に海外アカデミーを体験したのはプロ転向してまもなくのフューチャーズを回っている時だったという。当時のコーチだった谷澤英彦氏の勧めもあり、遠征に行った時に練習させてもらったり、ドイツ人のコーチと一緒に遠征を回ったそうだ。

 結果的に、この若い時期の経験から、「テニスはヨーロッパがメインだと強く感じましたし、練習拠点をヨーロッパに持ちたいと思うようになりました」と、その後のテニス人生に大きな影響を及ぼすことになる。
  2015年頃、コーチが一緒に遠征に回れない状況になった時、海外アカデミーを拠点にすることを本格的に考え始めた。そこで、現役時代にスペインを拠点にしていた増田健太郎氏に、スペインのアカデミーを紹介してもらうことになった。

 フラット系のショットがメインの守屋が、スピン主体のスペインを選んだことは意外だったが、本人は、「自分のテニスの幅を広げていきたいという考えがあり、自分のプレースタイルとは逆のスペインを考えました。1年を通してレベルを保つことはすごく難しいことなので、テニスの引き出しを増やし、プレースタイル、ショットの幅、違ったアイデアを身に付けるべきだと思いました」と、理由を話す。

 12年10月に初めて100位台のランキングとなり、キャリアハイは15年1月にマークした143位。なかなかグランドスラム本戦ダイレクトインのランキングまで上げることができず、変化が必要な時期だったのだろう。コーチがいなくなる状況も加わり、「色々なタイミングが合って」、自分を上のレベルに引き上げるため、海外アカデミーを拠点にする選択をした。
  スペインには多くのアカデミーがあるため、最初に行った場所にずっと留まる必要はない。守屋も現地に行ってからも、状況をみながら自分から情報を集め、より合うアカデミーを探すつもりでいたようだ。

 そして、最初に出会ったオスカー・ヘルナンデスコーチが、新しくアカデミーを開校する時に、一緒にそこに移った。ヘルナンデスコーチは、自己最高が48位の元選手で、彼から学びたいことも明確だった。

「スペインの選手は、どこか調子が悪い日でもなんとかして勝つ方法を探し出す力があります。ゲームのやり方、考え方など、どういう風に変えていくかというところを吸収したい」。自分に必要なことを選手経験者のコーチから学べると感じているからこそ、小さいアカデミーであろうと一緒にいくことを決意したのだ。
  海外アカデミーを拠点にすることのメリットを聞くと、「選手層が厚く、色々なタイプの選手と試合や練習ができること」に加えて、チャレンジャーなどの大会が多いこと、遠征に行きやすいことを挙げた。「試合に負けて早く終わったとしても、拠点に1度戻って練習して、作り直して次の試合に行くことができるので、地理的なメリットを感じています」

 最後に、海外アカデミーに興味を持っている人に向けて、アドバイスをもらった。「自分がそうでしたが、結局は人とのつながりが大事だと思います。漠然とただ海外でやるのがいいとは思いませんし、自分の目的があって、そこを選びたいという考えが必要かなと思います」

 今は、ジュニアの時期から海外遠征に行く選手も増えてきている。若い時期に感じたことは、きっと将来自分の方向性を決める時に役に立つだろう。海外アカデミーに興味があるなら、自分の目的をしっかりと持って、情報を集めて行動してみよう。

文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

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