「テニスは最高の友だち」名手フェデラーを長きにわたり支え続けるシンプルなモチベーション【海外テニス】

「テニスは最高の友だち」名手フェデラーを長きにわたり支え続けるシンプルなモチベーション【海外テニス】

長きにわたりテニス界のトップに君臨し続けるフェデラーの言葉からは、あふれんばかりの“テニス愛”が感じられる。(C)GettyImages

テニス界で長きにわたりトップランキングを維持する一流選手たち。そんな彼らが発する言葉には、テニスの上達はもちろんだが、仕事やプライベートでも役立つヒントが数多く隠されている。
 
 ロジャー・フェデラーは、2003年にウインブルドンを制してから今日まで、常にテニス界のトップ選手として君臨し続けてきた。どうして彼はこのように第一線で活躍ができるのか? その理由の1つが、フェデラーのテニスに対する高いモチベーションにあるようだ。

 プロデビューの当時からフェデラーは、誰もがトップ1になれるだろうと思うぐらいの才能に満ち溢れていた。しかし数年間は、その期待ほどの活躍はできなかった。「ナンバー1になれると思うか?」と記者に質問をされた時には、

「いつかそうなれると思う。でもだめかもしれないと、ちょっと心配もしている。ずっと前からそうなると言われてきたのになっていないからね」

 と自分のテニスに対しての不安を口にしていた。

 しかし、その気持ちは実績を上げることによって大きく変化していく。

「初めてのグランドスラムタイトルを手に入れた時、僕にはそれに相当する力があり、さらに何をすべきかを学んだ」

 と自信と目標を手に入れた。
  そして2005年、この年の戦績は81勝4敗で勝率95.3%を記録。1セットを落とすだけでもニュースになる程、絶対的な存在へと成長する。それでも、フェデラーに奢りはなかった。

「常にプロフェッショナルとして行動し、それを長時間、継続しないといけない。それが普通の良い選手と伝説の選手の違いだ……。僕は伝説になりたい」

 と試合や練習中だけでなく、プライベートでの行動についても注意を払った。

 彼はこの頃から観客の存在を大切にするようになる。

「自分の意識から観客を締め出してしまわない、ということが僕にとって何よりも重要なんだ」

 と話している。

 2003年からウインブルドン5連覇、2009年には生涯グランドスラムも達成。まさに彼がなりたいと思っていた伝説の仲間入りを果たすと、どの国で開催されるトーナメントでも多くの観客がフェデラーの試合に来るようになる。
 「テニスをさせてもらっているのは僕の特権さ。自分のためだけではなく、世界中のファンのためにも僕はプレーしているんだ」

 フェデラーは、観客の気持ちに応えようとすることで、さらに、テニスに対するモチベーションを高めていったのである。

 しかし、このように長い間活躍を続けていると、年齢による衰えを感じない選手はいないはず。

 そのことについて彼は、2017年のインタビューで

「経験と若さのキープ、この2つの要素を頭の中でミックスさせると、新たなアイデアや発見が生まれる。人生がいい方向に進むようになる」

 と年齢がプラスになることを説いた。
  トップ選手を続けていると、勝つことを要求されるプレッシャーからテニスが苦痛になる時はないのかと思ってしまう。だが、フェデラーの言葉からは全くそのことが感じられない。彼にとっては、実は勝敗はどうでもいいのかもしれない。

「テニスをするのが嫌だと思ったことは一度もない。テニスはこれまでも、そしてこれからも僕の最高の友だちだ」

 おそらく、世界中の誰よりもテニスを愛しているフェデラーの言葉である。

文=中山和義

月刊スマッシュ2019年7月号より再編集・再掲載

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