ツアー再開時には、テニスの戦い方が変わる? 大坂なおみのコーチがツアーコーチたちにデータ活用法を指導

ツアー再開時には、テニスの戦い方が変わる? 大坂なおみのコーチがツアーコーチたちにデータ活用法を指導

大坂なおみ(右)のコーチ、フィセッテ(左)は、データの活用に長けている。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

テニスシーズンが依然としてストップしているなか、選手たちは日々SNSを通じて驚くほどの発信力を発揮している。だが、この期間に「今できること」をやっているのは選手だけではない。例えば、WTAのツアーコーチたちは、分析ソフトを活用した最新のコーチングスキルを磨いているという。

 WTAは大手ソフトウェア企業SAPと開発した分析ソフト「SAP Tennis Analytics」を2015年に導入。昨年10月には、このソフトで使える「Patterns of Play」というラリー分析ツールを発表している。WTA公式サイトによると、今回ツアーコーチ向けに行なわれたのは、この新機能を活用するためのオンラインセミナーだ。

 講師役となったのは、大坂なおみのコーチであり、SAPのアンバサダーでもあるウィム・フィセッテ。これまでも試合データを積極的に活用してきた彼は、「Patterns of Play」を使いこなせば、コーチは目で見る以上のものを得ることができると、WTA公式サイトで語っている。

 この分析ツールを構成するのは、「ラリー分析」、「サーブのトス分析」、「バウンド・打球分析」の3機能で、セミナーでは多くの時間が「ラリー分析」の使い方の指導に費やされたという。これは特定のショットごとの分析が可能で、両選手がラリー中のショットにどこでどう反応したかを見ることができるものだ。
  フィセッテはツールを生かすことで「どんな選手もある程度は予測可能だ」という。

「誰もがパターンを持っているが、(予測とは)どのパターンをいつ使うのか、パターンをいくつ使っているのかを見極めることだ。予測不可能に見える選手でも、しばしば予測できる。そして、自分の選手に示すことができる。それがコーチとしての考えではなく、統計に基づいているということは、私にとっては大きな違いだ。もちろん、選手はアジャストできるし、そうするだろう。しかし、そういうパターンの多くは再現されるものだ。とりわけ最も重要な瞬間にね」

 選手を指導する際の戦略には、どのようにデータを活用できるのだろうか。フィセッテはこう語る。「私の場合は、育成面でもデータを活用している。統計から、サーブのコースを増やす必要性や、ショットの深さが足りないことなどが見えたなら、じゃあ、次の大会ではこれを数パーセント改善させようと言える。そうすれば、とても具体的な取り組みができる。選手はそれを見られるし、コーチは数大会を経てから再び検証できる。これが私の仕事のやり方なんだ」

 当初は次戦の対策目的に使われ始めたWTAの分析ソフトだが、やがてリアルタイムのデータが利用可能になり、ラリー分析機能も追加されるなど着々と進化している。こうしてデータ戦の側面が拡大するなかで、大坂のコーチがその一番の使い手であることは、頼もしいばかりだ。

構成●スマッシュ編集部

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