高校時代苦しんでいた時、母から贈られた魔法の言葉【プロテニス選手コラム/乾祐一郎】

高校時代苦しんでいた時、母から贈られた魔法の言葉【プロテニス選手コラム/乾祐一郎】

高校時代苦しんでいた時の母の一言が、後のプロ生活に影響を与えているという乾。写真:本人提供

言葉には、大きな力があります。私はテニスに日々を費やしていたジュニア時代、そして、プロ選手として活動する現在においても、ずっと心に残っているこの言葉に何度も支えられています。

「人生で起こることは、全てに意味がある。起こったことをどうにかすることはできないけど、その物事をどうとらえるかで、これからを変えることができる」

 この言葉は、高校2年生の時、全国大会の出場をかけた試合に負けて落ち込み、家でうなだれていた時に、私の母から聞いた言葉です。

 私は、高校1年生でインターハイ、全日本ジュニア、国体の3つの全国大会に出場しましたが、翌年のシーズンは非常に苦しい年になりました。1年生の冬に腹筋を肉離れし、その怪我を引きずり秋まで満足なプレーができなかったのです。結果、その年はインターハイの1つだけしか行けず、気持ち的にも落ち込んでいました。

 夏の中国ジュニアを2回戦敗退で終え、気持ちの切り替えのできないままインターハイに行こうとしていたそんな矢先に、母からこの言葉をもらいました。

 テニスには引き分けがなく、必ず勝者と敗者が存在してしまう過酷なスポーツです。その中で母は、プロになりたいという私に前を向くようにサポートしてくれました。実は当時は、そうだよな…と思い、頑張って切り替えようとしていただけでしたが、後々のテニス人生でこの言葉に何度も助けられることになります。
  プロの世界に入り、最初の何戦かは調子が良く、ATPポイントも獲得でき、このままランキングも上げていけるだろうと思っていました。しかし、そこから長く苦しいトンネルを過ごすことになります。

 2015年5月にフューチャーズの本戦1回戦を突破して以来、本戦勝利はおろか、予選突破すらできない時期が続きました。この次にATPポイントを獲得するのは、2017年11月のことです。かれこれ2年半ポイントを取れなかったのです…。その間には、9カ月間、予選も含め初戦敗退というどん底も味わいました。

 メンタル的にもかなり参っていて、打つのが怖くなって手が震えたり、口唇ヘルペスができたりし、心と身体にも影響が出てきたのです。

 そんな時、常に支えになったのが、この言葉でした。胸の中に置いておくことで、負けても怪我をしても常に思考を前向きに持つことができたのです。

 この気持ちはもちろん今も持っています。去年の下半期から今年の頭にかけては、自分の中でかなり感覚が良く、結果も上がってきたところだったのですが、新型コロナウイルスの影響でATP・ITFの試合が中止になってしまいました。この流れを維持してランキングを上げていきたかったというのが本音ですが、ここで中止になってしまったのも、何か自分にとって意味があると思って前向きに自粛期間を過ごしています。

 出会うタイミングと、その時の心境が重なった時、言葉は一生を支えるものになります。私はたまたま母の言葉が胸に残りましたが、人によっては偉人や、本に書いてあった言葉、コーチや先生の一言、もしくは自分自身で気付いた何かかもしれません。皆さんも心の中にある言葉を大切にして、自分の目標に向かって進んでいってほしいと思います。

プロテニスプレーヤー
◆乾祐一郎(NBテニスガーデン)◆
1995年4月2日生まれ。広島県出身。10歳からテニスを始め、2016年プロ転向。2018年軽井沢フューチャーズ複準優勝 2019年中国M15単複ベスト8 エジプトM15単複ベスト8。最速217km/hのビッグサーブを武器に海外ITFサーキットを中心に転戦中。Twitterは@inuitennis

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