「世界基準でいく」元世界24位の神尾米さんが、本格的にアカデミーでジュニアを育成していく決意【国内テニス】

「世界基準でいく」元世界24位の神尾米さんが、本格的にアカデミーでジュニアを育成していく決意【国内テニス】

チームサンプラスのコーチ陣とプレーヤーチームのメンバー。左から田巻雄介、竹田耀、平下博幸コーチ、神尾米さん、今野利明校長、比嘉ジャイミーコーチ、松田絵理香、矢田智都奈、本玉真唯。写真:滝川敏之(THE DIGEST写真部)

テレビのテニス解説でお馴染みの神尾米さんは、元世界24位で日本テニス界の黄金時代の一翼を担った存在である。昨年全日本選手権に優勝した本玉真唯のコーチを務めており、指導者としての実績も積んできている。

 その神尾さんが『チームサンプラス(3+)』という、今年の9月に立ち上がったばかりのアカデミーでジュニア育成にも積極的にかかわっていくことにしたという。そのアカデミーは、「プレーヤーとジュニア育成専門のアカデミーです」と、早速本気度がうかがえる言葉をサラリと言った。

 本来、ジュニア育成だけでは赤字になりやすいものだが、そう決断できるには理由があった。2009年に立ち上げた『狛江インドアATP』という選手育成のためのジュニア専門スクールを運営している、比嘉ジャイミーコーチと平下博幸コーチと共に育成にあたるのだ。『狛江インドアATP』は継続し、新たに『チームサンプラス』が開校される。

 それにしても、神尾さんを含めたスタッフの覚悟は並々ならないものがある。まず、本拠地となるのは、神奈川県海老名市にある『サンプラス杉久保スポーツガーデン』。ハードコートが3面あり、今年の8月にコートの塗り替えを行なった。
  その時に、「世界基準のグリーンセットに塗り替えてほしい」と依頼(※全豪オープンと同じサーフェス)。最初は費用が高くなるため無理との答えだったが、諸条件を協議して合意に至った。

 そもそも、なぜこの場所だったのか。コート3面をある程度自由に使わせてもらえることと、佐取広久社長が応援してくれているのが魅力だったと言う。神尾さんは自身の経験から、「選手は1人では勝てない。周りの力はすごく必要」と考えている。だからこそ、場所を借りるというだけではなく、以前からあった一般のテニススクールの生徒さんともチームのようになりたいと思っている。

 アカデミーには、ジュニア育成チーム、準育成チームとなるキッズクラス、そして本玉を含むプレーヤーチームが存在する。

 本気で強くなりたい選手を育てるために、ジュニア育成チームの入校希望者にはセレクションを行なう。それは本人だけでなく親御さんとも面接をすることになる。「真剣にやりたい子どもたちのチームを作っていこう。テニスが一番という子どもたちを集める」と決めているのだ。
  つまり、これが育成専門でやっていける理由である。他のアカデミーよりも月謝は高くなるかもしれないが、練習時間や質を考えれば十分に納得のいく内容にしている。習い事の1つと考えている家族には不向きで、本気で取り組みたい子どもをターゲットにしている。

 アカデミーでは、積極的に大会も開催していく。「世界基準でいきたいから、3セットの大会を行ないます。世界にいくなら3セットを戦える体力を身に付けて、考え方にも慣れる必要があります」。先を見据えて育成する方針に揺るぎはない。

 神尾さんは本玉のコーチとして遠征に帯同することがあるため、シフトに名前は入っていないが、「日本にいる時はどんどんかかわっていきます。コートにも立って、経験者として色々言わせてもらいます」と言う。
  世界を経験した人がいると、道筋が見えているから安心だし、練習の質や思考も世界レベルに引き上げられる。本気でプロを目指す子どもにとっては、「チームサンプラス」がその入り口となるかもしれない。

 ただし、デメリットも存在する。更衣室が小さくてシャワーがない。そして、コートがある場所は遊水池なので雨が降ると冠水する。水が引く前に、ホースで水をまいてコートを奇麗にしなくては泥が残ってしまう。なかなかハードな環境だと思ったが、神尾さんは意に介していない。

「(この状況は)意外に好き。ここで生きていく(拠点にする)なら、こういうことも楽しんでやる。自分たちで切り開いていかないと! なかなか面白い人生じゃない?(笑)」

 さすが、元世界24位は度量が違う。神尾さんの教え子なら、厳しい世界も戦い抜いていきそうだ。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

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