ナダル全仏優勝に思わず男泣きの叔父・トニ氏「非常に不安だった」と本音を明かす

ナダル全仏優勝に思わず男泣きの叔父・トニ氏「非常に不安だった」と本音を明かす

ナダル(右)をジュニア時代から支え、2017年にコーチを退任したトニ氏(左)。現在は、地元マヨルカのラファ・ナダルアカデミーにて、ジュニアの指導にあたっている。(C)Getty Images

テニスの四大大会「全仏オープン(フランス/パリ、クレー)」でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破り、前人未到の13度目の優勝を果たしたラファエル・ナダル(スペイン)。クレーコートでの圧倒的な強さから、赤土の王者とも称されるナダルだが、そんな彼でも今回の優勝までの道のりは非常に厳しいもので、大きな不安に駆られながら戦っていたことを、試合後に告白している。

 20年シーズンは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月にツアーがストップ。ナダルが最も得意とする5月の全仏オープンは開催が危ぶまれていたが、9月開催に変更となった。だが、8月のツアーの再開後に出場したのは「イタリア国際(イタリア/ローマ/クレー)」の1大会のみで、結果も準々決勝敗退と不本意な形に終わっていた。

 このことが、ナダルを不安にさせる要因のひとつだったのは間違いないだろう。しかし、問題はそれだけではない。今年度の全仏オープンでは、公式球がナダルの慣れ親しんだバボラ社製からウイルソン社製に変更。さらには、秋開催へのリスケジュールにより寒さや激しい雨に見舞われ、コートの状態も異質なものに変化していた。

 ナダル自身も「打感が重く球足も遅い」と語っており、ストリングのテンションを変えないことで有名なナダルが、ボールをしっかりと飛ばすために通常より0.5kgもテンションを落としたほど、状況は深刻だった。
 「正直な話、1カ月半前の段階で誰かが僕に『全仏で優勝できるよ』と言ったとしても、おそらく僕は『今年は非常に難しくなるだろう』と答えるだろうね」と、大会終了後に胸の内を明かしていたナダルだったが、それは叔父で元コーチのトニ・ナダル氏も同じような心境だったようだ。

 甥っ子の全仏13度目の優勝の後、トニ氏は喜びのあまり涙を流しながら、「今年は(コロナの影響で)非常に難しい状況だったし、ラファ(ナダル)はツアー再開後にそこまで多く試合をこなせていなかった。そのことが非常に不安だったし、周りからの期待値もそこまで高くなかった」と、『マルカ』紙のインタビューで明かしている。

 だが、終わってみれば大会を通じての失セットは0。決勝でも、凡ミスの数がジョコビッチの52本に対し、ナダルは14本と異常なまでの安定感を披露した。

「(決勝で)自分は高いレベルでプレーすることができたし、特に2セット目途中までは完璧だった」と満足げなナダルは、「不安に思うことも人生の一部。自分に疑念を持つことは過信を防ぐことにもつながるからね」と、逆にメンタル面でいい方向に働いていたことを語っている。

 長いビッグ3(4)時代の後、いよいよ世代交代が近づきつつある男子テニス界だが、ことクレーコートにおいては、今後もしばらくはナダルの独壇場になるかもしれない。そう思わされるような2週間だった。来シーズンも赤土の王者が連勝記録を伸ばしていくのか、期待が高まるばかりだ。

文●中村光佑

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