「やっぱり94年生まれは一生のライバル!」日比野菜緒がフルセットの末に穂積絵莉を破りベスト8進出【全日本テニス】

「やっぱり94年生まれは一生のライバル!」日比野菜緒がフルセットの末に穂積絵莉を破りベスト8進出【全日本テニス】

「タフな試合になるのはわかっていた」少女時代から知るライバルとの接戦を制した日比野が準々決勝に駒を進めた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

少女時代から良く知る友人が、その時々で立場を入れ替え、戦いの舞台を世界に移しながらも、未だ身近にライバルとして存在するというのは、どのような心持ちだろうか……?

 日比野菜緒にとって穂積絵莉は、かつて、常に自分の先を行く存在だった。

 ジュニア時代からナショナルチームに選ばれ「エリート」として活躍する穂積に、強い嫉妬を抱いたこともある。高校時代にオーストラリアに留学したり、大学進学を視野に入れたのも、どこかで同期のライバルへの対抗心や、気後れがあったからだ。

 その穂積は19歳で全日本テニス選手権を制し、同期の出世頭としての存在感を示す。

 ただ、20歳を超えて世界を主戦場とした頃からは、シングルスでツアー2勝を誇る日比野が、馬群から抜け出した。

 現在の世界ランキングは、日比野が71位で、穂積は373位。

 その2人が、今年は久々に揃って全日本選手権に出場し、2回戦で相まみえた。
  今の地位こそ以前とは入れ替わったが、日比野は穂積との対戦を、「実力がある選手なのはわかっているので、やりにくさはある」と率直に言う。

「私も彼女もバックハンドが得意で、フォアハンドにちょっと苦手意識があるのは、お互い昔から知っていること。フォアハンドのループを、どちらが先に入れて展開できるかのやり取りになる」

 果たして試合は、戦前に抱いていたそのような予想通りの運びとなった。

 序盤は、日比野が緩急をつけ相手のミスを誘ったが、徐々に穂積がスピンの効いたフォアを打ち分け、ネットに出たり前のスペースを使うなど、プレーに変化をつけてくる。

 それでも全体で見れば、主導権を握っていたのは日比野。だが「実力がある選手」という相手への警戒心が、彼女の内面に焦りと消極性を生んだだろう。

 第1セットこそ、穂積の追い上げを振り切った日比野だが、第2セットは立ち上がりでリードを許し、そのまま一気に走られる。

 そうしてもつれ込んだ第3セットでも、日比野の劣勢は続いた。ブレークを許し、直後に追いつくも、またもブレークの危機に瀕死した第5ゲーム。そのしびれる局面で、日比野はセカンドサービスながら、サーブ&ボレーを鮮やかに決めてみせた。
  周囲の目には、リスクを負った勇気ある選択に映るポイント。

 だが当の本人は、「ラリーで穂積選手に食らいつかれていたので、私にしてみれば、短く決められる楽なポイント」だと屈託なく笑う。

 そして結果的にはこのプレーが、一つのターニングとなった。日比野のバリエーションに対抗すべく決めにいった穂積のショットが、ミスとなる局面が少しずつ増えていく。最後は、ゲームカウント5−4から日比野がブレークし、同期対決は日比野に軍配が上がった。
  ランキングや昨今の戦績から見れば、日比野の勝利は順当と言える結果だろう。ただ「タフな試合になるのはわかっていた」という日比野は、「これだけ良い試合ができて勝てたのはうれしい」と、表情をほころばせた。

 その時々の立場やランキングこそ異なるが、今回対戦して改めて、「やっぱり94年生まれは、一生のライバル」との思いを深めた同期対決。

 厳しい試合を制した第1シードが、倒したライバルの想いも背負い、初の全日本タイトルをつかみに行く。

【女子シングルス2回戦】
○日比野菜緒(ブラス)[1]  6-4 2-6 6-4 穂積絵莉(橋本総業HD)●
※名前の後の数字はシード

取材●文=内田暁

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