学校に行けなくなった娘と、信じて見守る母の話。

学校に行けなくなった娘と、信じて見守る母の話。

elizaさん(@eliza_yuki2017)より。

何だか疲れちゃって、学校に行きたくない……思春期にそんな経験をされた方、意外と多いのではないでしょうか。
筆者も高校時代に学校内外の人間関係で疲れて午後からやっと登校、という時期がありました。

そんな「学校へ行けなくなったある娘」と、「それを見守る母」とのやり取りを描いた漫画がツイッター上に投稿され、1万7千回以上のリツイートと4万以上のいいね!が付き見た人の共感を集めています。

eliza? さん(@eliza_yuki2017)の「特に理由もないけど数日、学校に行けなかった時の話。あの時の私は多分エネルギー切れの状態だったので、母に怒られていたらきっと追い詰められていたと思うし、母のことばから信頼のようなものを感じて嬉しかった。」という投稿には次のような漫画が添えられていました。

「なんとなく学校に行かなくなったことある」という書き出しではじまり、学校へ行く準備までできているけど、すぐ登校すれば間に合うけどなんかもういいや、とそのまま家にいたままとなってしまう娘の様子が描かれています。
そんな娘の様子に母は、怒ることも急かすこともなく「なんか食べる?」と問いかけます。
そのまま数日、学校へ行く準備はできているけどやっぱり登校できずに休んでしまう娘。母は怒らず見守り続ける穏やかな時間が過ぎていきます。
そして4日目。そろそろやばいと思った娘は思い切って学校へ。おそるおそる久しぶりに行った学校はあまり変わっていませんでした。

帰ってきてから娘は母に聞きます。「あの時、なんで怒らなかったの?」
その問いに対し母は、「んー…… あんたならいつか自分からやばいって考えて行くだろうから」任せた、と。その時は「ふーん……」としかリアクションできなかった娘でしたが、その後のツイートで、「いじめられてるわけではない、仲のいい子もいる、勉強も別に嫌いじゃない。ただもう、「遅刻しないために少し走る」とかもしくは「遅刻して入りにくい教室に入る」とかを頑張る体力がなかった。」と続けています。




このツイートに、「自分もそうだった、エネルギーが枯渇していた状態だった」という反応や、「おなかが痛いような気がする、と学校を休んだ。その時母は怒らなかった」という反応、「うちは学校へ行かないことを許してくれなかった」という様な反応、「子どもが時々そうなるので休ませてます」など様々な反応が返ってきていました。

この原因についてツイート主のelizaさんは「他人と同じように振舞えているように見えるけどHPの減りが早い「生きる体力がない人間」というのはいる気がする。そういう人はこういう「エネルギー切れ」になりやすそう。……筋トレしたら変わるのかな。」と述べています。

■思春期の心と体の因果関係

思春期のこうした症状は実は珍しくありません。実は精神的な疲れからくるものと考えられているのです。ここからは看護師でもある私の意見も交えて書いていきます。

大きく分けて「疲れ・だるい」「胃腸の不調」「心臓(動悸がする)めまい」「皮膚 ・血管(皮膚の過敏症や蕁麻疹・ほてりなど)」「息苦しい」の5つの因子が自律神経性の症状であり、生活習慣やストレスなどでこれらの症状が出現します。中学生・高校生を対象にした学術研究では「7-8時間の睡眠時間にうつ症状出現度が少なく, 6時間以下のものにイライラの訴えが多いことを述べている.また睡眠時間が 4時間以下,10時間以上のものは,7-8時間のものより死亡率が高いことやまた不適当な睡眠時間は心臓に影響を与えると考えられ,徐波睡眠(夢を見ない深い眠り・ノンレム睡眠)は身体的疲労の回復に, レム睡眠は脳や心理的な回復に必要であると考えられていることから睡眠時間は 7-8時間とることが望ましい」という報告があります。(「中学生 ・高校生の自律神経性愁訴と生活習慣との関連について」より引用)

この研究によると、「疲れ・だるい」と「心臓・めまい」は特に睡眠時間の短さと密接な関係があり、胃腸の不調は心の問題に起因しているとしています。

また、別の文献では親と子の信頼関係の深さでもこれらの症状の出かたが大きく違っているとの指摘もあります。
「子どもの精神的健康を高めるためには,父親が子育てに自信を持てるように支援すること、母親が家庭役割を受容できるように母親を認め支持的なかかわりをする必要性が示唆された。」研究論文も発表されています。(「両親の役割受容,親役割行動と思春期にある子どもの精神的健康との関連」より引用)

■思春期のみんなへ

小難しい事を書きましたが、平たく言うと、「タダでさえ成長の過程で精神が乱れやすいお年頃なのに睡眠不足や偏食などの良くない生活習慣は心のエネルギーが不足になりやすい」という事。

精神的な健康は正しい生活習慣から、ということです。うつや引きこもり、精神疾患は思春期に発症する事が多く、周りにどれだけの「大人の味方」と「同世代の味方」を作れるかでも違ってきます。自分の世界にこもりがちになりやすい年頃ですが、手を差し伸べてくれる大人は案外近くにいたりするものです。自分に自信を持てないとなかなか周りに心を開き辛いかもしれませんが、ちょっと勇気を出して周りの大人を観察してみると自分に味方してくれる人が誰なのか分かるかもしれませんよ。

■思春期の子を持つ親御さんへ

筆者も思春期の娘を持つ母です。しかもややこしい性格の人たちなので一筋縄ではいかない毎日だったりします。

そんな子どもたちの特性をよく理解できないまま、話や言い訳を聞かず頭ごなしに叱り続けてしまった結果、親子関係が悪化して周りの大人を信用しない、自己肯定感の低い子どもに育ててしまったのは大きな後悔しかありません。

「子どもの言っている事だから」とないがしろにしてしまう事で子どもたちは大人を信頼できなくなってしまいます。

子育て本を読むのも一つの方法かも知れません。でも、一番大事なのは頭でっかちに知識にとらわれすぎない事と、子どもを良く見て信頼できることは信頼する、という事が必要なのです。ある短大で保育士の卵たちを育てている講師の方がこんな話をしていました。「最近のお母さんたちは育児書ばかりを信頼し、我が子の顔をちっとも見ていない」「育児書に書いてあることは全てが全てその子に当てはまるわけではありません、大人が1人1人違うのと一緒で子供達も全て1人1人違うのですから。」

初めての子供や、育児経験がまだ短いお母さんには頼るべきものは本になるのは充分分かります。しかし、一番大切なことは全て子供の顔、言葉に含まれている。ちなみに育児書に書いてある内容は、その時々で変わることもあるそうです。一応流行があるんだとか。「育児の結果がでるのは数十年先。流行に流されたものを逐一真面目に取り入れるよりも、子供と共にその子にあった育て方を見つけていくのが一番大事なのよ」こうも話していました。

子どもに信頼してもらう為にはまず子どもの事をよく観察すること、子どもの心をしっかり受け止めてあげられること。これに尽きると思います。先のツイートの漫画の母のように、どっしり構えて受け止め、任せる。
難しいと私自身も感じます。ですが、期待する前に信頼することで子どもは自分を伸ばすことができると思うので難しいと感じることも多いかと思いますが、一緒に頑張りましょう。

<記事化協力>
elizaさん(@eliza_yuki2017)

(看護師ライター・梓川みいな)

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