入浴が死につながる……若者でも起こりうるヒートショックによる脳卒中の怖さ

"妹が入浴時のヒートショックで脳出血"Twitter投稿が話題 子どもや若者も注意が必要

記事まとめ

  • 「妹の死因は入浴時のヒートショックでの脳出血だった」とTwitterユーザーが投稿した
  • ヒートショックは高齢者に多いが、どの年代でも起こりうるものだという
  • ヒートショックを避けるには、入浴前後の水分補給や長湯しないことなどが大切だそう

入浴が死につながる……若者でも起こりうるヒートショックによる脳卒中の怖さ

入浴が死につながる……若者でも起こりうるヒートショックによる脳卒中の怖さ

ゆういちさん(@you_0204_777)提供

 寒くなってくると、つい長風呂をしてしまうという人、結構いるかと思います。そして脱衣所で服を脱いだ時の寒さと、お湯をかぶった時の温度差に思わず驚くこともあります。その温度差が、時には死を招くことも。若い女性が命を落とした実例が大きな話題となっています。

 悲痛な思いとともに、妹さんに起きた痛ましい出来事をツイッターに投稿したのは、ネットユーザーのゆういちさん。

“これ以上同じ悲劇が起きない為に
皆さん拡散お願いします
リプ返せません

妹の死因は入浴時の
ヒートショックでの脳出血です

予防方法
・入浴前後に水分補給
・食後1時間は空けて入浴
・入浴前に飲酒しない
・部屋と脱衣場の温度差をなくす
・入浴時ゆっくり暖まる
・浴槽から急に立ち上がらない”

 実の妹を亡くして辛い思いのなか、同じことを他の人にも起こしてほしくない、という一心でツイッターに投稿しています。このツイートには、「予防方法と逆のことを全部やってた……」「19歳で脳出血を起こしたことがある」といった実例や、親族を同じくヒートショックによる脳卒中で亡くした、という人も多くリプライしています。

 妹さんは、特に持病もなく、ヒートショックを起こしやすいといわれている高血圧でもなかった様子。ただ、親族には心疾患や脳疾患を患っていた方がいたそうです。

■ ヒートショックとは

 急激な温度変化により、血圧が大きく変動することにより脳にダメージが与えられることを指します。温かい部屋から脱衣所に入ると、温めていない脱衣所では急激に寒さを感じて血管が収縮します。そのため、一時的に血圧が上昇します。

 服を脱いでさらに血管が収縮し、血圧が上がったところに体へお湯をかけると、急激に血管の収縮がゆるみ、血圧も急に下がります。温まって汗をかいてきた、と水をかぶると、また血管が急激に収縮し、血圧が上昇します。この血圧の急上昇と急降下を繰り返すことが、脳血管へのダメージとなり、血管の弱い部分が破裂して脳出血に至ります。

 また、高脂血症・高コレステロール血症などで血栓があると、血圧の急変動により、血管内に出来た血栓がはがれ、脳へと運ばれやすくなります。血栓が脳の血管に詰まると、脳梗塞となります。こうした温度変化の大きな変動により、ヒートショックは発生します。

■ ヒートショックはどの年代でも起こりうる

 「ヒートショックは老人に起こるものだと思っていた」と思う人も多いかもしれません。しかし、ヒートショックが発生する年齢の中央値が高齢者というだけのことであり、子どもであっても、若い成人であっても起こる可能性は全くないわけではありません。

 筆者は看護師として脳外科の混合病棟に勤務してきた経験がありますが、ヒートショックはやはり高齢者に多かった反面、50代でも脳出血で重い後遺症となり、独身だったために80代の母親がほぼ毎日何かしらの世話をしに面会に来ていました。また、30代の若い男性が脳に膿が溜まってしまう「脳膿瘍」で手術をしましたが、なかなか意識が回復せずに、乳児を抱えた奥さんが付き添っていたことも思い出してしまいました。

 脳膿瘍はよほどのことがないとなかなか見かけないのですが、脳出血は割とよくある疾患。出血量が多いと頭蓋骨に穴をあけて内部の出血を取り除くこともよくありました。

 その時に執刀した脳外科医の言葉は今でも忘れられないのですが、「脳の血管は教科書に載っている通りの方が珍しい。大体誰でも、細い血管に奇形やこぶがあるんだけど、それが破裂したり詰まったりしていないだけで脳卒中は条件さえそろえば誰でもなりうる」

 脳の中は造影剤を使って検査したり、MRIを撮るなどしないとなかなか分からないもの。そして、先の脳外科医の言葉通り、脳内の細い血管は百人百様。今は大丈夫でも、悪条件が重なれば若くても命を落とすことにつながる恐れがあるのです。

■ ヒートショックを避けるには

 ゆういちさんがツイートした通り、

・入浴前後に水分補給
・食後1時間は空けて入浴
・入浴前に飲酒しない
・部屋と脱衣場の温度差をなくす
・入浴時ゆっくり暖まる
・浴槽から急に立ち上がらない

 がヒートショック対策の基本となりますが、その他にも、

・なるべく夕食前、日没前に入浴する(夜になるほど冷え込み、血圧の変動が大きくなる)
・お湯をかけるときは手や足から、胴体から遠い部位から順にかけていく
・長湯をしない
・熱い湯に浸からない。どうしても浸かりたい時は、少しずつ温度を上げていき、出るときも、すぐに浴室から出ずに風呂いすや浴槽のふちに座って休憩をしてからゆっくりと立ち上がる

 を実践してください。よく、ダイエット目的でサウナスーツを着て湯舟に入るなどありますが、あれは汗を多くかく割に体脂肪の燃焼効率としては疑問が残るともいわれています。ゆっくりと長風呂したい、という人は、水筒などに温かめの水を入れてお風呂に持ち込み、水分を補給しながらお風呂を楽しむといった対策を考えてください。冷水を飲みたくなるとは思いますが、体内に突然冷水が入ることは、やはり血圧の変動にも影響します。

 寒い時期だからこそお風呂で温まりたいものですが、お風呂に入るということ自体、かなり体力を消耗するものです。入浴前にはアルコールは摂らない、水分をしっかり補給する、脱衣所・浴室は温度差を無くすように暖房設備を付ける、浴室内はあらかじめシャワーでお湯を流して温めておく、といった対策をしておきましょう。

 そして、頭が痛い時や血圧が高い時は無理にお風呂に入らないことも必要です。体調の良い時にこそ、安全にお風呂を楽しめるよう心がけてくださいね。

<参考>
ヒートショックの恐るべき実態|一般社団法人 日本ガス石油機器工業会(JGKA)

<記事化協力>
ゆういちさん(@you_0204_777)

(梓川みいな/正看護師)

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