『Galaxy Note7』は『S7 edge』に続くヒット作になれるか?

『Galaxy Note7』は『S7 edge』に続くヒット作になれるか?

@DIME アットダイム

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

 スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はNYでグローバル発表された話題の新スマホ『Galaxy Note7』をテーマに話し合います。

■「Galaxy Note7」はペン入力が変わった!

房野氏:法林さんと石川さんは『Galaxy Note7(以降、Note7)』の発表会のためにニューヨークに行っていましたね。その話を聞かせてください。


8月2日ニューヨークで開催された「SAMSUNG Galaxy Note Unpacked 2016」


初の防水防塵デュアルエッジ、虹彩認証にUSB-Cも採用する『Galaxy Note 7』


房野氏

法林氏:面白かった。去年、日本では『Galaxy Note5』が出なかったので、今年、『Note7』が日本で出るかどうか分かりませんが。


法林氏

石川氏:サムスンは反省する会社なので……


石川氏

法林氏:まあ、期待はしたい。Note7は『Galaxy S7 edge(以降、S7 edge)』でやってきた防水と、去年からやっているディスプレイの両側がカーブしたデュアルエッジスクリーンを進化させてきたのが、外見上でがんばってきたところ。一方で、今までは機能を継ぎ足してきたけれど、今回は手書き系のアプリを1つまとめたりと、きれいに整理してまとめ上げた。あと、Sペンの書き味がすごく変わったことにびっくりました。


『Galaxy S7 edge』

石野氏:僕、端末だけ触れる機会があったんですけど、すごく滑らかになっていましたね。


石野氏

法林氏:筆圧の感知が2倍の4096段階になって、ものすごく書き味が良くなった。


防水で使えるSペン

石川氏:ペンの動きを検出するスキャンレートが360Hzになった。『Note5』が240Hz、『Note edge』が133Hzだから……

石野氏:日本だと133Hzから360Hzということで、一気に3倍の滑らかさ。

房野氏:従来と同じワコムの技術を使っているんですよね。

石野氏:ワコムの技術がベースですけど……

石川氏:サムスンが色々手を入れていると思う。ペン先も細くなっています。


ペン先が細くなり、ナチュラルな書き心地が楽しめる

法林氏:ワコムの技術を使っているという言い方をするけれど、ワコムが作っているという状況ではない。

石野氏:紙に近い書き味ですよね。

法林氏:抜群によくなった。手書き入力はいろんな機器が対応していて、例えばパソコンだったら身近なところではSurfaceでもできる。『Surface Pro 2』と今の『Surface Pro 4』でも格段に書き味が違うんだけど、『Note7』は『Surface Pro 4』よりも良くなっている。使い道があるのか分からないけれど、防水だから水中でもメモが書ける。

石川氏:スペックを追い過ぎておかしなことになっているところもあるけれど、完成度は非常に上がっています。サイズ感がS7 edgeに近いので悩ましい。Note7のディスプレイが5.7インチ、S7 edgeが5.5インチで0.2インチの違いですが、並べてみるとそんなに違いがない。

法林氏:「CLEAR VIEW COVER」を付けた『S7 edge』と、素の『Note7』がほぼ同じくらい。

石川氏:あれは本当に悩む。

法林氏:Sペン自体も防水です。ペンを端末から抜いて端末とペンを水の中に入れて、ボコボコ空気が出る中で字を書いて、水から出して水を切って、またペンをしまうというデモをしていたので、かなり強力です。


SAMSUNG Galaxy Note Unpacked 2016でのデモシーン

石川氏:虹彩認証用のカメラが自然な感じで入っていて、富士通端末みたいには目立たない。実際に試すと一瞬でロック解除できる。


虹彩認証にも対応

石野氏:虹彩認証のソフトウェアは富士通と同じ感じですよね。

石川氏:かなり近いと思う。

房野氏:指紋認証もありますね。

石川氏:使えます。だから、現状で最強のスマホという気がするな。

房野氏:CPUはどうなんですか?

石野氏:『S7 edge』と同じですよ。

法林氏:サムスンのExynos(エクシノス)とQualcommのSnapdragon 820のどちらかで、地域によって変えるという構成らしいです。

石川氏:カメラも『S7 edge』と同じデュアルピクセル。

法林氏:ソフトウェアは新しいけれどスペック的には同じです。

■日本でNote7は売れるのか

房野氏:日本で発売されたら売れそうですか。

法林氏:なかなか判断が難しいところ。日本では過去に、『Galaxy Note』、『Note II』、『Note3』と『Note edge』を売った。代表的なユーザーは、ここにいる石野さんで(笑)。囲み取材などではNoteでメモを取っていた。僕らとしては過去の端末は売れたと認識しているけれど、サムスンあるいはキャリアとしては、今までの実績では物足りないという判断。だから去年のNote5は見送られたんだろうという解釈です。今回の『Note7』は、『S7 edge』が好調に売れているので、出せば売れ行きが見込める気がします。

石野氏:『Note5』を出さなかったことに対するクレームがすごかったという話ですからね。

法林氏:関係者からも、出しておくべきだったという声を後から聞いたね。

房野氏:Sペン以外に、『S7 edge』との大きな違いはあるのでしょうか。

石野氏:若干サイズが大きいことと、電池が100mAh分、『S7 edge』より少ないですね。Sペンが入っている分だけ少ない。

石川氏:電池のスペックは下がるけど、2つ並べるとかなり悩ましい。ペンのある/なしだけの違いしかなくなってきているので、将来的には1つになるんじゃないかなって思う。

法林氏:去年、海外では『Galaxy S6 edge+』というモデルが出ているしね。これは『Note5と』兄弟モデルだった。

石川氏:以前はエッジスクリーンのあり/なし、片側/両側の違いがあったけれど、今はペンあり/なしの違いだけ。問題は、日本で『Note7』が発売されるならば秋になりそうなので、そうなるとiPhoneがドカンとあるから、どれだけの人がNote7を待ってくれるか。

房野氏:前モデルの『Note edge』を扱ったのはドコモとauでしたね。

法林氏:Note edgeは片側だけエッジスクリーンだった。それにはやっぱり抵抗感があって、Note3のユーザーでNote edgeに移行しなかった人は結構いたんです。その後『Galaxy S6 edge』でデュアルエッジスクリーンになった。Note3ユーザーで新しいNoteを待っていた人の中には、待ちきれなくて『S7 edge』にした人もいる。

石川氏:S7 edgeを買った人がNote7を見たら「待っていればよかった」と思う人が出てくるような気もする。5月にS7 edgeが発売されたけれど、4、5カ月待てば良かったという気にさせるくらい悩ましいです。

法林氏:ペンに対する抵抗感は一定量あるので、そこをどう捉えるかでしょうね。使ってみると、ロック画面にメモを書けるのは便利です。手書き文字はOCRで読み出してテキスト変換する機能もあって、精度はまあまあです。

石川氏:メモをサクサク変換できるかといったら、そうでもない。

法林氏:でも以前のモデルに比べると、ペンの性能が変わっているので、書かれる文字も変わってくる。日本語版が出るとして、どうアレンジするか分からないけれど期待できる。

石野氏:Note edgeで急いでメモすると字が乱れて、あんな文字は絶対OCRで読み取れないけれど、Note7があそこまでスラスラ書けると、認識率は上がりそうですよね。あんなによく書けるようになっていると思わなかった。

法林氏:2017年のMWCでは、石野君はNote7でメモを取っていると思う。

石野氏:たぶん、そうだと思います。僕はNote edgeを取材時のメモとしては、まだ使い続けているんです。Noteは刺さる人には刺さる端末です。

石川氏:一度使うと離れにくいけど、如何せん、興味を持って手に取る人は少ない。

法林氏:マスではないんだよね、クリエイティブな人向け。

石川氏:我々は普段、取材でメモを取るのでアリだと思うんだけど、一般の人が手書きメモを取りたいかといったらそうでもないし、スマホで絵を描く人もなかなかいない。サムスンはその辺り、もうちょっとがんばる必要があると思う。

法林氏:がんばってますよ、だってペンで書きたいと思ったときに充電しなくていいんだし。

石野氏:Apple Pencilは充電スタイルがよくないですね。しかも価格が高い。


iPad Proに用いられるApple Pencil


Lightningを使って充電する

■SシリーズとNoteシリーズの住み分けはどうなる?

房野氏:今後、Galaxy SシリーズとNoteシリーズと、どちらを選べばいいでしょうか。別モノだという意見もあると思いますが、S7 edgeが出た4、5か月後に『Note7』が出て、こっちにすれば良かったと思う人も出てきそうですし、今後、戦略的にどちらがメインストリームになるでしょうか。

法林氏:判断が難しいところですが、僕は、主力機種はSシリーズで変わらないと思います。ただ、主力機種だけに、デザイン、機能とも冒険ができない。だから、Sシリーズは手堅く、ストライクゾーンのできるだけ真ん中を突いてくる。

 Noteシリーズは手書きという特徴がもともとあるので、そこをベースにクリエイティブな人とビジネスパーソン向けかなという気がします。ペンを使う/使わないは、ものすごく大きな違い。僕は紙に書くメモが嫌いだから、パソコンを持ち歩いてキーボードで入力しているわけです。でも、同じようにパソコンで原稿を書くけれど、石野君みたいに取材のメモは手書きがいいという人もいる。もっと若い人になると、スマホのフリック入力でメモする人もいる。

石野氏:フリック入力でのメモ、若者は結構、普通にやっています。そう考えると、ペンを使うGalaxy Noteって、おっさんのためのアイテムになってきているんじゃないかと(笑)

石川氏:タッチパネルのスマホが出てきてもテンキーがいいという人がいるように、ペン入力がいいという人はいるだろうし、それがだんだんおっさん化していることはあるかもしれない。ただ、ペン入力はサムスンがオリジナルとしてがんばってきたものだし、他メーカーが追随できない状態なので、このペン入力スタイルを大切にしてほしいと思います。Sシリーズはフラッグシップだから、なんだかんだいってiPhoneと比べられる。ペン入力のNoteシリーズはサムスンのアイデンティティがゼロから発揮されているモデルなので、大切にしてほしいと思います。

石野氏:万が一、Appleが噂通り新型『iPhone Pro』でペン対応したら、完全にパクリ感が出てくるわけで、サムスンとしては、してやったりになる。リードタイムも相当ある。だからこそ、Noteシリーズは形でもう少しノートらしさを出してほしいな。

法林氏:サムスンが横開きの折り畳みスマホを作るという噂が出ているけれど、もしかしたら次期Noteかもしれない。逆にいうと、そういうとんでもないことができるNoteシリーズであってほしい。

石野氏:今回は手堅いですよね。Noteシリーズは、もっとぶっ飛んでいいと思う。最初からカバー一体型にするとかレザーを使うとか。デザイン上のチャレンジというか、スマホの形状や使い方に対するチャレンジがもうちょっと欲しいなと思います。

石川氏:そういえば、サムスン電子ジャパンの社長が変わったんだよね。

石野氏:ハリー・キム(金 賢周)さんがトップになって、堤さんは顧問ですね。

石川氏:今まではあまり表には出ていなかった人だけど、もしかするとサムスンもSIMフリー端末をやり始めるかもしれない。MVNO業者でそう思っている人もいるらしいです。個人的に契約している回線数が増えているので、Galaxy Note7をどうやって買うかは悩ましい問題。SIMフリーで買える端末を用意してほしい。SIMフリーやろうよ、といいたいですね。

法林氏:サムスンはちょっと慎重なんだけど、やるべきでしょう。

......続く!

次回は公正取引委員会の規制についての会議です。ご期待ください。


法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。


石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。


石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。


房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

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