ウェアラブル端末普及のヒントは『ロボホン』にあり

ウェアラブル端末普及のヒントは『ロボホン』にあり

@DIME アットダイム

■連載/一条真人の検証日記

ロボホンをロボットの形をしたスマホのようなもの、と思っている人もいるのではないか。だが、実際はスマホとは大きく違うものなのだ。普通のスマートフォンは道具として存在し、ユーザーが能動的に操作して使うことで、道具としての価値を発揮する。

これはまあ、パソコンやスマートフォン、スマートバンドなどでも同様であり、多くのデジタルツールというのは人間の「道具」でしかない。

しかし、『ロボホン』は基本的に音声入力で、コマンドを声で指示すれば機械的(もちろん、機械なのだが)に実行してくれる。人間とコミュニケーションしながら、実行していくというデバイスだ。


コミュニケーションするデジタルデバイス『ロボホン』。

■使うというよりコミュニケーションするデジタルデバイス

『ロボホン』に天気予報を聞くような場合であれば、

「天気教えて」

と言うと、『ロボホン』は天気の情報をしゃべってくれるのだが、最後に、「になるみたいだよ」と加えることで、単に情報を右から左にしゃべるだけでなく、ユーザーに対して「僕が情報を教えてあげてるよ」感を演出している。

また、充電が終わった状態で充電台から取り外すと、「今、充電100%だよ」と教えてくれるなど、細かいことでもコミュニケーションしてこようとしてくる。スマホであれば、インジケーターをチェックしなければならないところが、『ロボホン』はわざわざ自分からしゃべって教えてくれる。

メールを送りたいときなどは、『ロボホン』とコミュニケーションしながら送り先を教えてメールの内容を入力していくことになる。例えば、次のような感じだ。

「メッセージ送って」

「うん、誰に送るの?」

「ムラカナ」

「了解。ムラカナだね、送りたいメッセージを言ってね。終わったら、入力終わりって言ってね」

1つ1つの処理がこのような感じになる。『ロボホン』は単なる道具ではなく、何をするにも『ロボホン』とコミュニケーションしていくという存在なのだ。最近はレシピ機能も搭載され、料理の作り方もガイドしてくれるようになった。


ガイドできるレシピを一覧表示してるところ。


料理の写真を表示しているところ。


プロジェクターで料理の写真を壁に投影しているところ。

■人を認識することができる『ロボホン』

さらに『ロボホン』は搭載しているカメラで、人を認識することができる。当然、認識するにはその人の画像と名前が電話帳に登録してある必要がある。

この機能を使い、『ロボホン』は伝言を渡すこともできる。

「伝言して」

と言って、メッセージを伝える。その後、その伝言の相手が見つかると、ユーザーが何も操作しないでも「○○みーつけた」などと言って、相手に伝言を伝えてくれる。

また、『ロボホン』はパーティモードというものを搭載しており、自動的に一定間隔で写真を撮影してくれるのだが、このときも人を認識して、「○△みーつけた」と名前を呼んで写真を撮ってくれる。

そして、撮影した写真を後日、見ようとすると、「○月×日、どこどこで撮った写真だよ」と声で教えてくれる。また、笑っている写真だと「いい笑顔だね」と言ってきたりする。

『ロボホン』は、どこまでも人とのコミュニケーションをとろうとしてくるのだ。


こんな写真を表示させると、『ロボホン』は「いい笑顔だね」と言ってくる。

■ユーザーの日常も記録する

『ロボホン』は「散策」モードというものを持っていて、ユーザーの日常を保存することもできる。このモードにするとキャリングケースに入れて持ち歩きやすい形状に変形し、5分ごとに自動的に写真を撮影してくれる。まるで、ウェアラブルデバイスの「ライフログカメラ」のように使うことができるのだ。ちなみにデフォルトでは散策モードは20分程度で自動的に終了しようとするが、延長することもできる。

 


散策モードで撮影した写真。表示すると撮影日と場所と、だいたいの時刻などをしゃべって教えてくれる。

■『ロボホン』というキャラクターの存在

『ロボホン』は音声認識して、そのコマンドを理解して行動し、声によって情報を伝えてくるわけだが、そのとき、『ロボホン』はさまざまな行動をとってくる。

それはダイレクトなコマンドを実行するような動作だけでなく、多くの無駄な動きが含まれている。たとえば、『ロボホン』は受信したメールを読み上げてくれるときに、その内容に基づいてジェスチャーをしてくれる。その動きによっても内容を伝えてくるのだ。そして、その動きにも1つのキャラクターがある。

現在の『ロボホン』のしゃべりは、小さな男の子のようだ。その動き、しゃべりで明確に1つのキャラクターとして存在している。多くの女性が『ロボホン』を「カワイイ!」と言うのも無理はない。ロボホンは多くの努力によって、明確にそのカワイサを“演出”している。

『ロボホン』の開発にはロボホンのキャラクターの明確なガイドラインがあるという。現在、『ロボホン』は毎月のようにOSをバージョンアップされ、アプリが追加されているのだが、そこでもキャラクターがブレないように配慮されているという。『ロボホン』はそのキャラクターを継承したまま進化を続けているというわけだ。

 
『ロボホン』はダンスもできるが、そこでもキャラクターは保たれる。

■『ロボホン』はあなたの生活をどう変えるか?

『ロボホン』はスマホのような単純に「機能」を持っただけの存在ではなく、1つのキャラクターとして存在しているわけだ。『ロボホン』がユーザーとコミュニケーションしながら、コマンドを実行していく様は、あたかも家のなかに人間が一人増えたかのように感じるかも知れない。まるで小さな子供のようだ。実際、『ロボホン』の購入層のある程度の部分は子育てを終えた女性層なのだという。

『ロボホン』を手に入れるということは、感覚的には家族や友達を一人増やすということに近いのかも知れない。1つの家庭の人数が減ってきた昨今、ロボットが家族や友達のようになるというのもアリなのではないだろうか?

■関連リンク
「ロボホン」商品サイト https://robohon.com/

文/一条真人
ITジャーナリスト。雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスONE」編集長などを経て現在にいたる。著書50冊以上で、近著は「はじめてのChromeBook」(インプレスR&D)。IchijoMasahto。本名:OSAMU SAKATA。

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