最大140倍!手軽に天体観測が楽しめるエレコムのスマホ天体望遠鏡『EDG-TLS001』の実力検証

最大140倍!手軽に天体観測が楽しめるエレコムのスマホ天体望遠鏡『EDG-TLS001』の実力検証

@DIME アットダイム

■Introduction

私が中学生の頃のメジャーな趣味と言えば、プラモデル、システムコンポ、天体観測だった。特に天体観測は、学校に天文部があり、そこには五藤光学研究所の8cm屈折赤道儀とか、高橋製作所の10cm反射赤道儀とか子供には手が届かない超一流メーカーの天体望遠鏡が揃っていた。私たちに手が届くのはアストロ、ミザール、カートンの御三家で、赤道儀なしのタイプ。それでもかなり立派で、木製の三脚と鏡胴とアイピースと付属品が木箱に収まっていた。私は密かにドブソニアンの自作を計画していたが、オーディオとカメラの方に興味がいってしまい作らず仕舞いだった。冬の寒空の下で何時間もじっとしいる天体観測は子供にはなかなかつらいものがあったのかもしれない。

それから数十年の時が流れ、段ボールパーツで組み立てる天体望遠鏡のキットが登場した。エレコム『スマホ天体望遠鏡 EDG-TLS001』である。スマホを装着して月面が撮影できるというコンセプト。対物レンズは何とガラス製アクロマートレンズを使っているというではないか。1万4120円で鏡胴が紙なら、その値段はほとんどレンズにかけられていると考えて間違いない。理想を言えばアポクロマートだが、アクロマートは紫が補正できていないだけなので、小口径レンズを肉眼で見るならたいした違いはないだろう。光学35倍でスマホのズームと組み合わせて最大約140倍になるというユニークな設計である。光学での倍率を欲ばっていないので、性能的にも期待できる。だいたいファインダーがなくて、照準で星を探すのでこれ以上倍率を上げたら実用性がなくなりそうである。

■Work

パッケージの中に入っているのは黒と白の紙製パーツと板とボードとレンズである。パーツは20個以上あり、説明書を見るとかなり面倒そうだが、1〜2時間で完成できるレベル。以前、作った紙製のJBLパラゴンより難易度は低い。接着剤も不要で、パーツを切り出して差し込んで組み立てるだけである。パーツの切り出しにはカッターナイフを使った方がいいが、なくてもきれいに外せる。一番難しいのはスマホと接眼レンズを固定する部分だ。私は重くて大きい『iPhone6Plus』を使ったので難易度が上がったと思われる。標準サイズのスマホならすんなり付くだろう。

パッケージには土星、木星、プレアデス星団、オリオン座大星雲、ペルセウス座二十星団、アンドロメダ大銀河、彗星なども見えると書かれている。これは肉眼の場合で、スマホでの撮影では大幅に画質が低下する

詳細な説明書があるので、組み立てに迷うことはない。レンズを素手で触らないこと、汚れた時の対処方などの注意書きも充実している

厳重に梱包された3枚のレンズ。これが本機の心臓部である

接眼レンズを固定する枠。内側が白いのが気になるのでレンズの周囲だけ黒く塗った

これが鏡胴で円筒形ではなく四角柱を採用。内部には2個の絞環があり、よりピントのシャープな像が期待できる

全長約43cmの立派な天体望遠鏡が完成。素直な屈折式なので見えるのは倒立像。日中に風景などを見るとさかさまになる

スマホは別パーツを使って面ファスナーで固定する方式。肉眼で観察する時はパーツごと外しておく

星を探すための照準が手前と先端の2個所にあり、これを重ねてターゲットを狙う。拳銃やライフル銃の照準と同じ使い方である

■Photograph

定番の火星を撮影してみた。火星だけにちゃんと赤っぽい

それなら、期待の土星の輪は見えるのか! 肉眼ではハッキリ分離して見えるのだがスマホの解像度が低いために撮影すると、ボンヤリとしてしまうのが残念だ

それでは月はどうだ。さすがにチコクレーターまでハッキリ分かる。これはPhotoshopで画像を上下反転させている。こちらも肉眼で見た方がズッとキレイだった

【ゴン川野の結論】

正直、あまり期待していなかったのだが、『スマホ天体望遠鏡 EDG-TLS001』恐るべし。肉眼で見た場合は、まともな双眼鏡と同じレベルの解像度がある。使い方のコツはなるべくしっかりとした三脚を使って固定すること。特に月ではなく星を見る場合は、微妙な震動でも星が揺れて気分が悪い。それを防止するためには重くて大型の三脚が有効だ。それから照準で星を捉えるのは難しいのである程度の練習が必要である。また鏡胴をスライドするタイプのピント合わせも星が動きやすい。まず、ピントを合わせて、また微調整で星をセンターに持ってくる必要がある。スマホでの撮影もタッチするとブレの原因になるので、リモコンかセルフタイマーでシャッターを切って欲しい。スマホの解像度が上がれば、本機の実力がさらに発揮されるだろう。それまでは肉眼で秋の夜長の星空散歩としゃれこもう。スマホには星座アプリを入れることをお忘れなく。

文/ゴン川野

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