進化したのか?それとも後退したのか?『iPhone 7』を2週間使い倒してわかった結論

進化したのか?それとも後退したのか?『iPhone 7』を2週間使い倒してわかった結論

@DIME アットダイム

■連載/石野純也のガチレビュー

 もはや毎年の恒例行事になりつつある“お祭り”といえば、やはり新型iPhone。今年も、9月16日に『iPhone 7』、『7 Plus』が発売された。形状は『iPhone 6』、『6 Plus』から継承されており、3代目ともいえるが、機能面では確実な進化もあった。特に日本のユーザーにとっては、防水・防塵対応や、FeliCaの搭載が大きなニュースだ。その意味では、海外以上に、日本での評価が高まりそうなiPhoneだといえる。

 カメラやオーディオも、着実に機能が向上している。カメラは『iPhone 7』が手ぶれ補正に対応、『iPhone 7 Plus』は2つのカメラを搭載し、疑似的に光学ズームを実現した。オーディオはiPhone初のステレオになり、音量もアップしている。一方で、イヤホンジャックの廃止や、ホームボタンのセンサー化など、これまでのiPhoneからの“引き算”もある。こういった点で使い勝手も、気になるところかもしれない。

 見た目以上に変化の大きな『iPhone 7』、『7 Plus』だが、その使い勝手は実際どの程度のものなのか。丸2週間使ったうえで、その実力をジャッジした。なお、『iPhone 7』、『7 Plus』は機能やスペックこそ近いが、サイズが大きく異なるため、操作性などを考えると、2機種は完全に別物と言える。そこで今回は、『iPhone 7』に焦点を絞ったレビューをお届けしていきたい。『iPhone 7 Plus』は次回、改めて取り上げていく。


FeliCaや防水、防塵に対応した『iPhone 7』

■着実に進化したカメラと、イヤホンなしでも迫力のあるスピーカー

 まずは、順当な進化を遂げたカメラから見ていきたい。『iPhone 7』は、これまでPlusに限定されていた手ぶれ補正に初めて対応した。これによって、暗い場所でも手ぶれしづらくなるが、より大きな効果は暗い場所でも感度を抑えられるところにある。実際に撮った写真を見ると分かるように、暗所でのノイズは過去の機種より少ない。


カメラは手ぶれ補正対応。F値も1.8と明るくなった

 また、レンズの開放F値も1.8とより明るく撮れるようになった。この効果は歴然で、暗所で撮影した際の仕上がりが明るくなる。真っ暗な場所では当然、それなりの画になってしまうが、屋内で料理や人物を撮るときなどには活躍するはずだ。また、適度にネオンが入っている屋外での風景写真も、キッチリ撮ることができる。


真っ暗な空を撮っても、明るく写る


ビルのネオンなど、光源があればきれいな写真に仕上がる


屋内での料理写真も、ノイズが少ない

 ただし、料理を撮ったときの仕上がりを見ると、色味が少々不正確な印象も受けた。『Galaxy S7 edge』を使って撮った、同じシチュエーションの写真も合わせて掲載しておくが、こちらの方が、特にタマゴ部分の黄色がきっちり出ている。もっとも、比べてみないと分からない程度の差ではあるが、やはりiPhoneといえども、得意、不得意はあるようだ。


料理撮影時のシャープさや色味のよさは、『Galaxy S7 edge』に軍配が上がった

 カメラの操作性は、従来と同じ。基本的にはピントを合わせてシャッターボタンを押すだけだが、フォーカスを決めたあと、上下に指をフリックさせると、露出の調整もできる。レンズが明るくなったため、暗い場所で撮ると不自然な露出になってしまうことも何回かあったが、このようなときは、露出調整で暗めにしておくといいだろう。カメラに関しては、史上最高とまではいえないが、レベルはかなり高く、使い勝手もいい。


先に挙げた夜空の写真を暗くして撮ったところ。こちらの方が自然な明るさといえる

 次にスピーカーだが、これは歴代のiPhoneに比べると、歴然とした違いが分かる。ステレオになっているため、音に広がりがあり、音量が大きく厚みもある。もちろん、高級なスピーカーとは比べ物にならないが、スマートフォン単体でここまで聴けるならば、十分満足できそうだ。屋外で音楽をかけるシチュエーションで重宝するほか、1人で動画を観るようなときにもうれしい進化といえるだろう。


底面のほか、上部にスピーカーを搭載

 ちなみに、スピーカーは本体上部と下部の両方から音が出る形になっている。そのため、本体を横に持つと、音が前面に向かってくるような印象となる。臨場感があるのはそのためだ。

■デザイン、パフォーマンス、使い勝手はどうか

 デザインについては、『iPhone 6』のころから、大きく変わっていない。ただし、背面の上下にあり、存在感を主張していたいわゆる「Dライン」が四隅に収まっているため、よりスッキリした印象になった。カメラ周りの処理も変わっている。本体から飛び出している点は同じだが、レンズ周りまで背面と同じ素材が使われており、より一体感が出るようになっている。


薄く、シャープな印象の本体

 アンテナのラインが見えづらいという点で、筆者がオススメしたいのは新色のブラックとジェットブラック。この2色については樹脂素材の部分まで、きちんと黒に塗装されており、アンテナが目立ちにくい。形状がほぼ同じということもあり、新色で新しさを感じられるのも、この2色のメリットだ。逆に、シルバー、ゴールド、ローズゴールドは、アンテナが隠しきれていないのは残念に感じた。


オススメは新色のブラック(左)とジェットブラック(右)


ブラックとジェットブラックは、アンテナが目立ちにくい

 チップセットには「A10 Fusion」が搭載され、パフォーマンスも大きく上がっている。もっとも、iPhone 6sを使っていたときにも、あまり不満を感じたことがなかったので、正直なところ、まだスペックの高さをしっかり体感できているとはいいがたい。より高いパフォーマンスを求められるゲームなどをプレイすれば、もう少し違った印象を持つのかもしれない。ただし、ベンチマークテストでは、その実力がしっかり証明されている。今後導入するアプリが、パフォーマンスを必要とする可能性は十分あるので、処理速度が高いのは評価できるポイントだ。


ベンチマークテストでも、過去最高の数値をたたき出した

 使い勝手に関しても、形状やサイズ感が『iPhone 6』のころから変わっていないため、大きく変化したわけではない。4.7インチのボディは手にフィットし、片手持ちでも画面の上部にまでしっかり指が届いて操作しやすい。かといって、『iPhone 5』、『5s』のときのように画面もそこまでは小さくない。見やすさと、操作性の高さを両立させたバランスのよさのようなものを感じる。


画面上部にも指が届きやすく、かつ迫力もある

 1つだけ『iPhone 6』や『6s』との違いがあるのは、カラーによる持ちやすさの違いだ。ブラック、シルバー、ゴールド、ローズゴールドに関しては、持ちやすさもまったく同じだが、ジェットブラックだけは、金属の上にコーティングをしているため、手にしっかりフィットする。指紋がつきやすいのはネックだが、そこまで目立たない上に、端末を落としづらくなるのはメリットだ。ジェットブラックは128GB版以上の限定色だが、見た目以上に、使い勝手にも違いが出る色になっている。


ジェットブラックの方が、手になじむ

■ホームボタンは慣れが必要、イヤホンジャック廃止は残念

 最後に、仕様面で比較的大きな変更といえる、ホームボタンとイヤホンジャックを見ていこう。これまでのホームボタンはいわゆる物理キーで、押し込むことでホーム画面に戻る動作をしていた。2度押しにはタスク切り替えが、長押しにはSiriが割り当てられていた。この操作自体は、『iPhone 7』でもまったく変わっていない。


ホームボタンは物理キーからセンサーに変わった

 ただし、『iPhone 7』のホームボタンは、物理キーではなくセンサーになっている。センサーは触れるだけで検知するため、普通はフィードバックがないが、『iPhone 7』はTaptic Engineを搭載することによって、疑似的に、押し込んだ感覚を再現する仕様になっている。さすがに物理的なボタンとまったく同じというわけにはいかないが、ある程度ボタンに近い“押し心地”を感じることはできる。

 フィードバックの強さは3段階に設定でき、好みや慣れに合わせて調整できる。物理キーと同様のしっかりとしたフィードバックがほしければ3に、慣れてきてサッと操作したければ1にすればいいだろう。ただし、やはりどうしても慣れが必要なことは事実。筆者の場合、2週間以上使っているため、さすがに片手での操作は慣れ、『iPhone 6s』のころと同じように扱えているが、本体を机に置いた状態だと、まだうまく画面を点灯させることができない。


フィードバックは3段階に変更可能

 筆者は指の腹でボタンを押しているが、女性など、爪が長いとそちらを使っていたこともあるはずだ。この場合も、残念ながらホームボタンは一切反応しない。この部分は、センサーになった代償といえるだろう。もっとも、可動部分が減ったことで故障の原因が1つなくなったうえに、防水・防塵にもしやすくなっている。このトレードオフをどう考えるかは、『iPhone 7』を評価する上でのポイントといえるかもしれない。

 プラスともマイナスともいえないホームボタンの変更以上に残念なのが、イヤホンジャックが廃止されたことだ。本体にはLightningから3.5mmのイヤホンジャックに変換するケーブルがついているが、やはり、少々不格好。変換ケーブルはホワイトで、ブラックやジェットブラックを買っていると、色も合わない。アップル製品はデザインにも定評があるため、端末の本体色によって同梱するケーブルの色も変えてほしいと感じた。


底面にあったイヤホンジャックがなくなっている


変換ケーブルを使えば有線イヤホンの接続は可能だが、見た目がイマイチ

 音楽を聴くときはBluetoothのヘッドセットを使うという選択肢もあるが、Squareのような、イヤホンジャックを必須とする周辺機器の利用も面倒になる。筐体から穴がなくなりすっきりする上に、浸水の原因も1つつぶせるため、必ずしもデメリットばかりではないが、現時点ではイヤホンジャックをなくしたのは、やや勇み足だと思える。次機種以降では、ぜひ改善してほしいところだ。

【石野's ジャッジメント】
UI         ★★★★★
レスポンス     ★★★★
バッテリーもち   ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
アプリの数     ★★★★★
文字の打ちやすさ  ★★★★
質感        ★★★★★
撮影性能      ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

■連載/石野純也のガチレビュー

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