フランス発「PRYNT POCKET」、iPhoneからAR動画をプリントする "ぶっ飛び" デバイス

フランス発「PRYNT POCKET」、iPhoneからAR動画をプリントする "ぶっ飛び" デバイス

画像提供:マイナビニュース

●インスタントカメラの写真プリントが動く
フランス発のプロダクトといえば、アパレル製品やワインなどを連想しがちだが、技術的に "ぶっ飛んだ" ものも意外に多い。AR動画を楽しめるインスタントカメラという触れ込みで発売される「PRYNT POCKET」も、そんなハイテク国家・フランスのエスプリを感じさせる製品だ。

○拡張現実による動画再生に対応したインスタントカメラ

PRYNT POCKETの日本デビューは、港区南麻布のフランス大使館で行われた。在日フランス貿易投資庁 参事官のパスカル・ゴンドラン氏の紹介によりレセプションはスタート、続いて登壇したPRYNT社CEOのクレモン・ペロ氏は、その場でセルフィーを撮影・印刷するというデモを披露し、会場を沸かせた。

PRYNT POCKETの本体サイズは横80×縦115×奥行き50mm。Lightning端子にiPhoneを装着し、専用アプリ「Prynt」を利用して撮影を行う。スライド可能なクランプ部を採用したことにより、Lightning端子を備えるすべてのiPhone (iPhone 5/5s/SE/6/6 Plus/7/7 Plus) での利用を可能にした。Lightning対応機であれば、iPod touchも利用できるという。

静止画の印刷には、専用紙「ZINK」を利用する。インクカートリッジやトナー、インクリボンといった装置を使うことなく、フルカラー印刷を実現する。用紙の表面はポリマーコートされ耐水性があるうえ破けにくく、裏面の紙を剥がすとステッカーとしても利用できる。用紙サイズは45×72mm、解像度は313×399dpi (620×1120ピクセル)。

カラーバリエーションはグレー、ブラック、ミントの3色。一般店頭発売は8月上旬、予定価格は20,390円 (以下、すべて税込) となっているが、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」で先行予約受付が開始されており、本記事執筆時点では15,900円から申し込み可能。ZINKプリント用紙の予定価格は40枚で2,820円となっている。

●単なる動画機能付きインスタントカメラではない
○画期的な技術とハイテク国・フランス

PRYNT POCKETは、気軽に楽しめるインスタントスチルカメラと、あわせて動画を撮影しクラウドへアップロードするショートムービーカメラという2つの顔を持つが、その基盤には画期的なソフトウェア技術がある。

iPhoneで撮影すると間もなく写真がプリントアウトされるが、そのとき合わせて撮影された約10秒のムービーはクラウドへ自動アップロードされる。その動画は専用アプリ「Prynt」で再生できるが、鍵となるのはプリントアウトされた写真。この写真をスキャンすることで、静止画とともに撮影された動画を再生できるのだ。スムーズに事が進めば、10秒ほど待つと動画の再生が始まる。

試しに5、6枚ほどスキャンしてみたが、関係のない動画が再生されるようなトラブルはなかった。サーバーには膨大な数の動画がアップロードされているはずで、その中から対応する動画をどうやって正確に探し出すのだろう?

しかし、写真はただの紙。IDが印刷されているわけでもRFIDが埋め込まれているわけでもなく、iPhoneに内蔵のイメージセンサーで静止画としてスキャンされるに過ぎない。肉眼では気付かないウォーターマークが仕込まれている可能性を考慮し、PRYNT POCKETの写真をスマートフォンで撮影・表示しスキャンしてみたが、変わらず動画を検出できた。

PRYNT社CEOのクレモン・ペロ氏にそのしくみと高速性について訊ねたところ、「撮影時のメタデータを (スマートフォン側に) 保存して検索に生かすような処理は一切していない。正確性よりも速度を重視した検出アルゴリズムを磨き上げることで製品化に成功した」とのこと。

確かに、PRYNT POCKET本体を持たないユーザでも「Prynt」アプリさえ入手すれば写真のスキャンから動画再生ができるので、彼の説明はうなずける。ちなみにこの技術、特許を取得しているそうだ。

疑問を解くもうひとつのキーが、写真の右下隅に写り込む「白い鍵」。ペロ氏によれば、スキャン時にその位置と向きをチェックすることで、写真の検知に役立てているそう。詳細を確認することはできなかったが、右下隅に鍵を識別しにくくしそうな部分があると判定した場合は、向きを変えたうえで右上隅に移動させる仕組みらしい。

単なる動画機能付きインスタントカメラではないことは、フランス貿易投資省の関与があることからもうかがえる。フランスといえば、高級服飾やワインといった伝統的な製品を連想しがちだが、彼らは先端技術の輸出促進にも注力しており、現在では世界70カ国に在外事務所を構え、「ビジネスフランス」という愛称のもと、合計1,500人という官民ネットワークによる後押しを行っているのとのこと。機能・外観ともにシンプルなPRYNT POCKETだが、実は先端技術を駆使するうえ、ビジネス展開も抜かりないという、ある意味フランスらしい製品なのだ。
(海上忍)

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