これぞ、“駐車場IoT”! 駐車場検索アプリ「Smart Park」のビジネス展望とは

これぞ、“駐車場IoT”! 駐車場検索アプリ「Smart Park」のビジネス展望とは

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第99回 これぞ、“駐車場IoT”! 駐車場検索アプリ「Smart Park」のビジネス展望とは

 日頃、自動車を足代わりに使っている人には欠かせなくなりそうな便利なアプリがお目見えした。時間貸駐車場を検索できるアプリ「Smart Park」である。スタートアップベンチャーの株式会社SPOT(以下、SPOT)が提供するこのSmart Parkは、周囲の時間貸駐車場を「満」「空」情報付きで簡単に検索できるというもの。まずはiOS版アプリが提供開始され、近日Android版アプリの公開予定となっている。

 時間貸駐車場検索はこれまでも多数のアプリが提供されているが、たとえばタイムズやリパークなどの駐車場事業者が提供するものの場合、他の事業者の駐車場が検索されないので決して使い勝手が良いとは思えなかった。駐車場を探しているユーザーの視点で考えれば、事業者を横串で検索できるものが求められていた。Smart Parkは、まだ全てではないが、主要な駐車場事業者と提携し駐車場事業者を超えて検索をかけることができる。さらに、これもまだ全ての駐車場が対応しているわけではないのだが、満空情報を出している駐車場については、現在空いているのか満車なのかも検索結果から判別することができる。

■マップで指定した場所周辺の駐車場が簡単に検索できる

 「Smart Park」だが、使い方は極めてシンプル。駐車場を探したいエリアのアプリに表示させ、あとは検索ボタン(虫めがねアイコン)をタップするだけ。検索範囲は画面上部にある距離のバーをスライドさせて指定することもできる。都内であれば数百メートルの範囲で十分なのだろうが、たとえば筆者の住む青森市など地方ではもっと比較的広い範囲で検索をかけるというケースもある。

 画面下部には駐車を予定している時間をざっくりと入力することで、指定した時間を駐車した場合の料金もシミュレーションされ、検索結果には安価な順に数字が振られる。時間貸駐車場の場合、料金が加算される時間設定は駐車場ごとにまちまちである。そのため、車を駐める時間があらかじめ分かっている場合は、この料金シミュレーション機能はとても参考になるはずだ。たとえば2時間駐める場合と5時間駐める場合でシミュレーションし直すと、駐車料金の順位付けは大きく変わる。

 また、実際に駐めた後は、その駐車場の料金をシミュレートしつつ、料金を参考にアラームを設定することもできる。シミュレート開始を駐車開始時間として何時にいくらに駐車料金が上がるかが画面表示され、たとえば1000円で駐められる時間ギリギリまで駐車をするといった場合にこのアラーム機能が役立つはず。

 駐車場の満空状態は駐車場の位置を示すアイコンの色で分かる。緑色なら現在空いている駐車場、赤色なら現在満車の駐車場ということになる。まだ満空情報に対応していない駐車場もそれなりに多い。満空情報がない駐車場は黄色表示となる。この満空情報の通知であるが、大手事業者の時間貸駐車場は駐車管理システムや料金精算機などから得られる情報をもとに、自社のアプリ等で提供しているところもあった。Smart Parkは、こうした駐車場事業者と提携することですでに満空情報を出すことができる事業者の駐車場については、Smart Park上でその情報が反映できるようにした。

 問題は、時間貸駐車場の大半を占める中堅以下の時間貸駐車場の満空情報をどう取得するかである。それら駐車場事業者にしてみれば、自ら駐車場検索アプリを提供するとか、それに加えて満空情報に対応した料金精算機にリプレースしていくことになどに費用対効果が見込めず二の足を踏んでいたはずだ。

 こうした課題に着目し、SPOTでは駐車場の満空情報を取得し通信を通じて同社のサーバにデータを送る満空検知センサーを独自開発し、提携駐車場に設置を進めている。この満空検知センサーがシンプルかつユニークで、時間貸駐車場に必ず設置されている満空を表す看板に後付け設置でき、しかも単体にソーラー充電機能を備えているので電源工事等も不要で、依頼があればわずか20分で設置工事が完了するという簡単なものとなっている。構造もシンプルで、時間貸駐車場の入り口などに設置されている「満」「空」と表示するLED表示に輝度センサーを貼り付けて満空を検知するというもの。これに3G通信モジュールを通じて信号をサーバに送信する。

 今回リリースされたSmart Parkサービスでは、現在北海道から沖縄まで日本全国約45,000カ所の駐車場が検索可能で、このうち満空情報が表示できる駐車場が約13,000カ所となっている。SPOTが独自開発した満空検知センサーは、東京都内10区、計1,000カ所の時間貸駐車場に設置され、まずは試験運用として満空情報配信が開始されている。SPOTでは2017年3月までに、この満空検知センサーをさらに5,000カ所増設するという。

■大多数の時間貸駐車場は、じつはICT対応が遅れていた

 時間貸駐車場の業界といえばタイムズやリパークなどのブランドはすぐに思いつくが、じつはそれ以外にもかなりの数の企業が参入しており、思いのほか寡占化が進んでいないのが実態なのだという。

 Smart Parkを提供するSPOTの最高執行責任者COO・花房寛氏は、「時間貸駐車場事業者は大手10社でも過半数に届かないほど中小零細の事業者が多く、また地域によっても参入企業の事業範囲やシェアが異なっており、実質的なプラットフォーマーが存在しない業界といえる。また満空情報を出すとすれば通常は精算機に組み込むことを考えると思うが、この精算機を作るメーカーも乱立し、駐車場の満空情報を一元的なデータとして収集するのは困難だった」と語る。

「空き駐車場や駐車料金の可視化は、ユーザーにとっては有益な情報となる。一方、時間貸駐車場は一時的な土地利用などで開設される場合もあり、新しい駐車場ができたと思えば、閉鎖される駐車場も多い。案外、わかりづらい場所、気づかない場所に駐車場があるということも。そういう駐車場がアプリで検索でき誘客できる点は駐車場事業者にとってもメリットとなる」(花房氏)

 既存の時間貸駐車場に後付けで通信するセンサーを取り付けて情報を収集していくというこの手法、いうなればIoTによる駐車場のスマート化といったところだろうか。現時点では満空情報の検知しかできないが、今後ソーラーパネル付きのモジュール部分を多機能化していくことも検討中という。たとえばビーコンを取り付け、Smart Parkアプリのユーザーが入出庫した際の検知ができるようになれば、アプリ上の駐車料金シミュレーションも自動化が可能であろうし、さらにアプリを通じた駐車料金精算なども可能になってくるかもしれない。

 SPOTは、2015年6月に1億円を増資し駐車場IoT事業を本格化させた。満空検知ハードウェアの開発、量産を経て、2016年6月にはさらに1.6億円を追加増資。この調達で2017年3月を目指す満空検知センサーの5,000カ所増設を実現させる。

 また今後は、満空検知センサーやSmart Parkアプリを通じて収集されるビッグデータを分析し、さらにデータマイニングを加えることで、満空の予測なども行い効率良くユーザーの自動車を最適な駐車場へ誘導するような仕組みが構築可能になるかもしれない。

「Smart Parkならリアルタイムで満空状況のモニタリングができるので、時間別の価格設定など、駐車場の収益向上につながる対策を早いサイクルで実施することができる点は駐車場事業者にとって強みになるはず。また将来的には時間貸駐車場だけでなく、商業施設や店舗の駐車場などとも連携し、駐車スポットの総合ポータル化を目指す」(花房氏)

 こうした時間貸駐車場のデータが蓄積されたプラットフォームは、将来の自動運転社会にも必要不可欠なものになるとSPOTは考えている。

「近年注目されるようになった自動運転技術だが、そのイメージに描かれているものは走っている場面だけ。自動運転社会が実現すれば、自動運転車を使って移動する際には必ず駐車場に関わるデータが必要になってくる。とくに自動運転車の最終目的地は時間貸駐車場というケースがかなり多くなるはず。そんな将来に求められるデータをいかに収集し、蓄積し、有効に活用してもらえるようにするか、これを考えていくのが私どものミッションである。自動運転社会に向けたリアルタイム目的地情報プラットフォームの構築を目指していく」(花房氏)

 時間貸駐車場の満空表示を検知するIoTセンサーから第一歩を踏み出した同社だが、その将来展望は明確である。駐車場のスマート化は確かに始まったばかり。近未来を展望し、どういったデータを集約してプラットフォーマーとなって社会に役立てていくのか、同社の今後の取り組みに注目していきたい。

関連記事(外部サイト)