海外メーカーの直営店強化戦略は沿線価値を左右する

海外メーカーの直営店強化戦略は沿線価値を左右する

東京都心に直営店を積極的に出店するメーカーが増えている

 リアル店舗とオンラインショップの両方を展開している家電量販店のオンラインショップで、ある海外メーカーのノートPCを購入したものの、運悪く初期不良に当たったらしく、まったく起動しないため、修理を頼もうとした。メールで問い合わせの後、最寄りの店舗に持ち込んだところ、このメーカーはApple同様、メーカーの直接サポートとなるため、自分でメーカーのカスタマーサポートに問い合わせてほしいと案内された。 Apple製品のサポート窓口は、指定のサービスプロバイダーだけという情報は、よく知られているだろう。故障した製品がMacやiPhoneだったら、最初から最寄りのApple Storeに持ち込んでいた。オンラインショップのサポート担当者の不適切な案内に文句を言いたいところだが、Appleのいいところを真似るこのメーカーの特性をすっかり忘れていた自分の思い込みが悪いのだろう。
 海外メーカーや、懸賞の賞品、ポイントサービスのポイント交換商品に選ばれるようなオリジナリティのある製品を手掛ける国内メーカーは、直営店の出店に積極的だ。場所は、首都圏では東京23区内、地方では福岡や札幌などの政令指定都市になる。地方に関しては土地勘がないので、ここからは首都圏に絞って話を進めたい。
●便利な場所・人気エリアしか出店しない直営店
 Appleは日本に限らず直営店を積極的に出店しており、首都圏では2018年、新宿と京都に新店をオープンし、休店していた渋谷店もリニューアルした。国内第1号店は銀座店で、旗艦店が14年オープンの表参道店に移った後も、変わらずに賑わっている。さらに、小売部門の新規求人から神奈川県内に新店舗を出店すると分かった。
 神奈川在住の筆者が予想すると、本命は川崎駅東口の「ラゾーナ川崎プラザ」内。20年の東京五輪・パラリンピック前に開業予定の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」や、藤沢・鎌倉エリアで建設中の新商業施設、辻堂駅直結の「テラスモール湘南」などの可能性もある。いずれにしても、交通の便のいい立地にオープンするだろう。
 iPhoneを中心に、日本で多数のユーザーを抱えるAppleゆえに、ここまで直営店の店舗数を増やせるのだ。1〜2店舗しか出せないならば、出店エリアは、都心エリアの銀座・有楽町、原宿・表参道、渋谷、新宿などに限られる。
●相互直通運転・乗り入れで都心へのアクセスが便利になる駅が急増
 PC・スマホメーカーのASUSが18年4月にオープンした初のリアルストア「ASUS Store Akasaka」の所在地は赤坂。メインエリアから外れているが、銀座同様、自宅から乗り換え1〜2回で着く。
 鉄道各社が相互直通運転・乗り入れを進めた結果、都心のターミナル駅には、どの駅からも、多くても3回乗り換えればたどり着くはず。特にJR東日本の「上野東京ライン」「湘南新宿ライン」、東京メトロ副都心線をはじめ、5社間で日中に直通運転する「Fライナー」は、乗り換えの負担を大きく軽減し、最短所要時間を大きく圧縮した。
 メーカーがサポートの充実と顧客との接点強化を兼ね、今後、ますます直営店を増やすとしたら、直営店が集まる都心のターミナル駅に行きにくい駅・エリアは、人気が下がるのではないかと感じた。乗り換え回数は3回より2回、2回より1回のほうが楽だからだ。
 伝統やブランドイメージ、地縁よりも通勤・通学、買い物の利便性を重視するほうが合理的。乗車した際も、「着席」と「立ちっぱなし」では疲労度がだいぶ違い、「短時間の立ちっぱなし」か、「長時間の着席」が比較的楽だ。
 冒頭の初期不良PCについては、修理センターに郵送すれば済む話だが、たとえ交通費がかかっても、修理の依頼や不具合の確認といったサポートだけは、対面がベストだと筆者は考える。春は引っ越しシーズン。街選びに悩んだら、好きなメーカー、よく使っている製品のメーカーの直営店への行きやすさを加味して決めてはどうだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)

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