なぜアイリスオーヤマがホームセンターの“救世主”になるのか?

なぜアイリスオーヤマがホームセンターの“救世主”になるのか?

アイリスオーヤマが提案するHCの新しい家電コーナー「家電モール」

 伸び悩むホームセンター(HC)市場を盛り上げようと、生活用品大手のアイリスオーヤマが立ち上がった。同社が取り組むのは、家電製品の新たな売り場提案。名称は「家電モール」だ。なぜ家電売り場の提案がHCを盛り上げることにつながるのか、HC市場の近況に触れながら、その要因を探っていく。
●これからもホームセンターと歩いていく姿勢
 「ホームセンター名鑑2019」によると、2018年のHCの市場規模は3兆9300億円。しかし、日本DIY協会によると、19年2月のHC全店の売上高は前年同月比0.6%減。既存店に限ると、2.5%減だった。中でも、中小規模の店舗が伸び悩んでいるという。
 こうした状況を受けて、アイリスオーヤマは、「これまで、生活用品の製造と販売で一緒に歩んできたHCの苦しい状況を盛り返したい」(家電事業部 リテールマーケティングチーム 池康生マネージャー)と奮起。HCの家電売り場の改革に乗り出した。
 家電売り場に注目する理由は、同社の経験にある。収納クリアケースやプランターなど、プラスチック製品を長年手掛けてきたアイリスオーヤマは、09年に家電事業に参入。18年12月期での単体売上高1550億円(前年比9%増)のうち、家電事業は52%を占めるまで伸びた。伸び率は前年比23%増と、成長途中だ。
 また、日本DIY協会が公開している「第29回 DIY小売業実態調査報告書」商品分野別売上高・中分類構成比(17年度)によると、HC全体における電気・照明や家電製品を含む「電気」部門の売上高比率は約7%。こうした背景から、アイリスオーヤマはHCの家電事業に伸び代を見出した。
●「家電モール」とは?
 実際にどのような売り場なのか、埼玉県深谷市にある埼玉工場に行ってみた。埼玉工場 事務所棟の2階と3階は、同社の製品を展示するショールーム。家電から生活用品、ペット用品など、約2万3000点を展示している。
 2階に上がって最初に目に入るのが、頭上の赤い看板だ。「家電コーナー」と大きく書かれており、一目で家電を売っている場所だと分かる。これが「家電モール」の狙いだ。
 これまでのHCは、日用品の延長線で家電を並べていたので、家電売り場が分かりにくかった。筆者も「店内を歩いていたら、いつの間にか家電コーナーだった」といった体験をしたことがある。しかし、赤い柱や吊り看板に「家電コーナー」と書いてあれば、すぐに他の売り場と見分けることができる。
 池マネージャーが特にこだわったのは、テレビ売り場だ。「HCのテレビコーナーというと、電源が入っていないテレビが、単に陳列してあるだけだった。しかし、お客様は、テレビの見た目だけではなく、使い勝手や画質も気にされるはず」と指摘。そこで、店頭で放送するプロモーションビデオを手配し、家電量販店のようなテレビコーナーを作り上げた。
 現在、約150店舗で展開している「家電モール」の中に並んでいるのは、アイリスオーヤマの製品だけではない。これについて池マネージャーは、「当社製品の販売だけでなく、HC自体の売り上げを伸ばそうとしている」と述べ、市場を盛り上げることが優先だと強調した。HC市場がV字回復する日は、そう遠くないかもしれない。(BCN・南雲 亮平)

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