キングジムの真骨頂、スマホとつながるボールペンに込めたニッチ戦略

キングジムの真骨頂、スマホとつながるボールペンに込めたニッチ戦略

キングジムの電子文具分野におけるニッチ戦略を体現したスマートボールペン「インフォ」

 デジタルメモ「ポメラ」、デジタル名刺ホルダー「ピットレック」、モニタリングアラーム「トレネ」など、一芸に秀でたガジェットを世に送り出してきたキングジムが次に目をつけたのは、ボールペンだ。5月14日に同社が発表したスマートボールペン「インフォ(INF10)」は、スマートフォン(スマホ)の通知情報の表示に特化。ビジネスシーンにおける「スマホを確認したいけど、見れない」という状況を打開するアイテムとして提案する。
 発表会で亀田登信常務取締役兼開発部長は、「デジタルによって、われわれを取り巻く環境は変化してきた。アナログの文具も、それに合わせて進化していくべきだ」と開発背景を説明。総務省の「平成30年版 情報通信白書」によると、スマートフォンの世帯保有率は8割に迫る。亀田常務取締役は、「スマホの次として期待されているウェアラブルデバイス。インフォも、そのカテゴリーに属すると考えている」と商品の位置づけを述べた。
 根幹にあるのは、「万人がそこそこ欲しいではなく、一部の人が強く欲しい製品」と定義づけるニッチ戦略だ。ネット接続非対応でテキスト入力に特化したポメラもしかり、デバイスの盗難防止に特化したトレネもしかり。インフォも、スマホの通知をいちいち確認したくないというささいな、だが一部の人にとっては切実な悩みを解消すべく開発した。
 キングジムのアイテムとして、というと失礼かもしれないが、情報通知以外にもスマホが再生する音楽のコントロールやカメラのシャッターリモコンとしてなど機能は充実している。また、当然のことながら黒と赤の2色仕様で、ボールペンとしてもちゃんと使える。
 ユニークなのは、芯の切り替えにペンを左右に傾ける振り子方式を採用している点だ。正直、使い慣れるには時間がかかりそうだと感じたが、実はこの方式、ディスプレイや基板などを細いペンの中に収めるための工夫。ノック式だとペン内部のほとんどを機構で埋めてしまうので、これを解消するために別の方式を模索したという。
 税別の実勢価格は1万2000円と少々高め。ただ、真鍮製で装飾クロームコーティングを施すなど、デザインにもこだわっており、昨今の高級文具ブームに乗ることができればヒット商品を狙えるポテンシャルはある。キングジムファンの傾向が高いガジェット愛好家だけでなく、文具愛好家にまでリーチできるかが販売を左右することになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)

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