5Gビジネスでマネタイズする三つのパターン

5Gビジネスでマネタイズする三つのパターン

KDDIの「5G SUMMIT 2019」では収益モデルについても講演

 国内で2020年に利用が予定されている5G(第5世代移動通信システム)ビジネスをにらみ、KDDI(au)が6月27日に開催した「KDDI 5G SUMMIT 2019」では、高橋誠社長のキーノートが午前10時からから始まり、夕方16時50分までさまざまな基調講演が行われた。その中で、ビジネスIoT推進本部ビジネスIoT企画部の原田圭悟部長の講演では、5GやIoTで獲得したビッグデータを、どのようにマネタイズすればいいのかについて三つのヒントが示された。
 5Gは高速・大容量、低遅延、多接続の三つの特徴がある。高速・大容量では4Gのピーク速度1Gbpsに対して、5Gは20Gbps、ユーザー体感速度100Mbpsのスピードを実現する。
 高速・大容量では、同イベントの展示ブースで日本航空の整備作業支援で使われている8K自由視点映像と2K映像の比較デモを展示。5台の8Kカメラで撮影した機体の映像を遠隔の8Kモニターから視聴すると、ビスの1本、1本が確認できる映像品質と、シーンの切り替えがシームレスにできるスピードの違いを示していた。
 5Gの無線区間遅延は1msの低遅延であるため、モニターを見ながらストレスなく建設機械などを遠隔操作できる。また多接続では、同時に接続できる端末が1キロメートルあたり100万台となっている。例えば、小学校で生徒全員のタブレット端末にファイルサイズの大きいコンテンツを同時に配信できたり、工場内の多数の画像センサーを同時に送受信することができる。
 5G時代は通信料収入だけでマネタイズするのは難しいとされており、個々の企業はこうした5Gの特徴をビジネスにどのように活用してマネタイズするかがカギとなる。
 原田部長が示した、5GやIoTで収集したデータを使った収益モデルは(1)故障の抑止や業務効率化など自社業務の改革とコストダウンによる利益の創出、(2)商品やサービスの価値向上による売上・利益の創出、(3)収集したデータの外販による売上・利益の創出――の三つだ。
 (1)はイメージしやすいだろう。工場の工作機器にセンサーをつけて稼働状況をAIで学習させることで故障や寿命の予測、機器、部品の交換時期などをあらかじめ把握することで、無駄にラインを止めることがないようにする業務改革の取り組みなどだ。
 (2)はメーカーからエンドユーザーまでのサプライチェーン上で、自社の商品の状況がどうなっているか、在庫は足りているか、欠品は起きていないか、などを把握して売り上げや利益を創出する取り組みである。
 KDDIでは、過去のデータだけでなく現在や未来の人口動態を出店計画や災害、タクシー業界など多様なビジネスシーンで活用する「au人口動態データ」を6月24日にリリースするなど、具体的に動き出している。
 (3)は全く違うデータと組み合わせることで、新しい売り上げや利益を生むという取り組みだ。例えば、デジタルタコグラフでトラックの路面速度と実際の速度を比較してスピードオーバーしやすい場所や危険箇所を検知する。そのデータを特定エリアだけ切り出して、自治体の工事箇所の選定に活用するといった導入事例などが示された。
 5Gでは膨大なデータを集めることが目的ではなく、その集めたデータをどのように利活用して収益につなげるかが重要になる。5Gの実用化に向けて、マネタイズの議論もあちらこちらで活発になる。

関連記事(外部サイト)