インバウンドは中国人だけじゃない、羽田空港で東南アジア客向けスマホ決済「VIA」導入

インバウンドは中国人だけじゃない、羽田空港で東南アジア客向けスマホ決済「VIA」導入

東南アジア旅行客向けVIAアライアンスを導入した羽田空港

 日本空港ビルデングと東京国際空港ターミナルは7月25日から、国内空港初となる東南アジアからのインバウンド(訪日外国人旅行客)向けスマートフォン(スマホ)決済サービス「VIA」を羽田空港旅客ターミナルの一部店舗で開始した。導入店舗は国際線ターミナルでCHANELやGUCCI、ROLEXなど27店舗と国内線ターミナルでMIKIMOTOや和光、イセタン羽田ストアなどの7店舗。
●VIAのうち二つの決済サービスから開始
 VIAは、アジアやオーストラリア、アフリカなど21カ国、約6億9000万人のモバイルユーザーを抱えるシンガポールの通信大手シングテル テレコミュニケーションズが中心になってグローバルでシステムを共通化し、電子決済事業者を組織化したアライアンスサービスのこと。国内の正規代理店で、導入店舗の決済専用端末「StarPay」を扱うネットスターズを通じて導入する。
 VIAに加盟するいくつかの決済サービスのうち、日本ではシングテルの「Dash(ダッシュ)」とAISの「AIS GLOBAL Pay(AISグローバルペイ)」から使えるようになる。そのため最初の主なターゲットは、シンガポールとタイからのインバウンドとなる。
 VIAは2018年10月にスタートし、19年中にタイのカシコン銀行の「K Plus」とアジアータ・デジタルの「Boost Malaysia」が加入することで4000万人の利用者がシンガポールやタイ、マレーシア、インドネシア、日本の約210万店舗で利用できるアライアンスとなる。
 シングテル・インターナショナルのSoon Sze Mengヴァイスプレジデントは「ユーザーは自国で使っている決済手段を旅行先の日本の決済でも使えるようになる。QRコードベースの決済手段のため国内の中小加盟店も導入しやすい」と語った。
●インバウンドの人数・金額は7年間で5倍に
 国土交通省の柏木隆久東京航空局長は「羽田空港は年間乗降客8750万人が利用する日本最大の空港。日本の18年のインバウンド数は3119万人、消費額は4兆5000億円となり、人数、金額はいずれも7年間で5倍に拡大した。キャッシュレスの決済インフラが海外の人にも使いやすくなることは、日本の旅行目的地としての魅力のさらなる基盤になる」と期待を寄せた。
 18年の東南アジアからのインバウンド数は前年比14%増の約330万人。そのうちタイからの客数は15%増の100万人を突破した。VIAの取り扱いにより、さらなる消費の拡大が期待される。
 日本空港ビルデング・上席専務執行役員の岩松孝昭旅客ターミナル運営本部長は「羽田国際線ターミナルの免税店のキャッシュレス化は77%まで進んでいる。今後はさらにキャッシュレス化が進み、現金で購入する客は減る。この流れは止められない」と海外からの旅行客の動きが日本のキャッシュレス化を後押ししている現状を語った。
 導入店舗がVIAに対応するには専用端末「StarPay」が必要になる。StarPay自体は中国のWeChat PayやAlipay、国内のLINE Pay、PayPay、d払い、楽天ペイ、au Pay、メルペイ、ゆうちょPay、クオ・カードペイ、J-Coin Payなど各種決済サービスに対応しており、羽田空港ではもともと使われていたため、追加の端末購入や業務フローの変更はなくスムーズに導入できたという。
 ネットスターズの李剛社長は「(StarPayは)全国10万店舗以上で導入されているサービス。POSレジなど決済状況に合わせて柔軟にRQコード決済を導入でき、約10種類以上の決済サービスと一括で契約できる。QRコードは自動で識別され、新しいブランドが追加されても自動で対応するので、新しいオペレーションが発生しない」と導入メリットを強調した。
 今後は地方の中小規模小売店への導入が課題となるが、1台当たり約3万5000円(税別)という専用端末の価格がネックになりそうだ。この点については、政府が10月1日の消費増税対策として受け付けを開始している「キャッシュレス・消費者還元事業」を活用すれば1台は無料で導入できる点をアピールしていくという。(BCN・細田 立圭志)

関連記事(外部サイト)