コンビニFCシステムのほころび、ボランタリーチェーンは再注目されるか

コンビニFCシステムのほころび、ボランタリーチェーンは再注目されるか

約100人の関係者が集まった日本ボランタリーチェーン協会のイベント

 「コンビニエンスストアの24時間営業問題など、フランチャイズチェーン(FC)はそろそろ限界にきている。われわれボランタリーチェーン(VC)は、末端の加盟店ほど自由度が高い。これからの時代、VCの方が日本の社会に合っているのではないか」。日本VC協会の元会長で日本卸売学会の宮下正房会長(東京経済大学名誉教授)は、日本VC協会が2月4日に都内で開催したVC事業活性化調査委員会の報告会で、その可能性について語った。
 同協会の会員数は1978年の150をピークに、18年度末に26まで減少している。チェーン本部の合併や卸売をメインにするチェーンの撤退、会員企業の上場などがある。拡大志向で規模の大きさが物を言う経済成長期には、コンビニなど本部の統率力が強いFCモデルの方が合っていたという背景もあるだろう。
 しかし、経済の成熟化や少子高齢化による人手不足によって「過度な本部指導による24時間営業やテリトリーを尊重しない出店戦略、重いロイヤルティなどが問題になり、既存のFCモデルは変更が迫られている」(宮下会長)という状況にある。
 そうした中、本部の統率力は弱く、本部と加盟社が別資本で同志的に結合するVCの可能性に再び目が向けられている。
 関東学院大学の福田敦教授は、パーソル研究所と中央大学の調査資料を引き合いに、労働需要が労働供給を上回ることで30年に644万人の人手が不足すると指摘。現状のままだと17年の時給1835円は、30年に2096円まで引き上げられる資料を示した。
 働く女性やシニア、外国人労働者を増やすという議論も活発だが、それらを加えてもまだ298万人が足りない。ここをAIやIoTを活用した生産性の向上で補っていこうというのが、国の方針でも示されている。
 福田教授は、VCは小商圏でもビジネスの存立が可能で、高齢の地域生活者のきめ細かいニーズに対応できるという。独立事業者が単独で生き残ることは難しいが、同じ目的を持つ事業者同士が異業種同士のネットワークを通じて主体的に参画、結合した組織なら太刀打ちできる。
 そして、商品の開発や仕入れ、物流などの供給機能と、販促や情報システム支援などのリテールサポート機能をサプライチェーン全体で補いながら生産性を向上させるというシナリオだ。
 また、消費者の買い物行動や意識の変化もITによってフォローする必要があると説明する。店舗を「買い物の場」から「体験・経験の場」に再定義しなければならないし、スマートフォンなどデジタルモバイル端末が進展する一方で、リアル店舗では人との触れ合いを求める消費者が増えている。
 また、消費者のストレスは増す一方だ。情報や商品が増えすぎたことによるストレスや、口コミや定性的なランキング情報の氾濫で正しい情報が分かりにくくなっている。アイテム数が増えすぎたり、価格やスペックの変化が激しく、自分がいつ買えば損をしないで済むのかといったストレスも抱えている。
 こうした複雑な消費者の要求こそ、AIがクリアにしてその場で解決するようになる。福田教授が指摘するのは、購入直後に最適なクーポンを発行して次回の来店を促す類のものではなく、AIが買い物をしているその場で解決してくれるイメージだ。既にそうした取り組みは、例えばカートのディスプレイに表示させることで実現する事例などが生まれている。
 これまで大学などのアカデミーや政府も含めて日本ではあまり注目されてこなかったVCだが、現状のFCのほころびや矛盾が出てくるにつれて、再び目を向ける価値はありそうだ。(BCN・細田 立圭志)

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