ビックカメラ、AI翻訳機でインバウンドの接客に挑戦

ビックカメラ、AI翻訳機でインバウンドの接客に挑戦

AI翻訳機のポケトークを店頭で試験導入したビックカメラ

 11月2日に東京・お台場エリアのダイバーシティ東京 プラザがリニューアルしたことに合わせて、同館2階にオープンした「Air Bic Cameraダイバーシティ東京 プラザ店」で、ビックカメラが新たな試みを開始した。ソースネクストのAI翻訳機「POCKTALK(ポケトーク)」を使ったインバウンド(訪日外国人客)の接客対応だ。
●語学堪能な販売員を揃えるのは限界
 Air Bic Cameraダイバーシティ東京 プラザ店は、日本空港ビルデングとビックカメラが共同出資するAir Bicが運営する店舗で、羽田空港、成田空港、中部国際空港、アクアシティお台場に続く5店舗目、台場エリアで2店舗目となる。
 売場面積は、約70平方メートルと小ぶりなため、ドラッグや日用雑貨などを思い切って取り扱わず、美容・健康家電や炊飯器、ステンレスボトルといった生活家電、デジタルカメラ、ヘッドホン・イヤホン、腕時計、旅行小物などに絞っている。
 もっとも、近くのフジテレビ本社を越えた反対側で17年4月から運営しているAir Bic Cameraアクアシティお台場店は売場面積も広く、ドラッグや化粧品、お菓子など幅広い商品を扱っているため、そちらに送客してフォローすることも可能だ。
 谷中民王店長によると、ダイバーシティ東京 プラザに観光バスの停車可能な広い駐車場があるため、インバウンドの来場が多いという。そのため、店内は、赤い鳥居や障子、提灯をイメージする和の装飾を採り入れている。他にも、修学旅行や社会科見学などの生徒、ランチタイムや18時以降にフジテレビ関係者など、さまざまな顧客層が利用する。
 従業員は谷中店長を含めて6人だが、外国語に堪能というわけではない。そこで、AI翻訳機のポケトークを6人全員が携帯して接客にあたるというアイデアが生まれた。
 谷中店長は、「比較的小さな店なので、お客様とじっくり接客するケースが増えるだろう。簡単な受け答え程度なら英語などで対応できるが、少し突っ込んだ質問を受けたり、丁寧に説明したりするときに翻訳機を活用したい」と期待を寄せる。
 最近の外国人客は衝動買いやまとめ買いではなく、自分で製品の機能などを下調べしてから来店するため、こだわりの機能などについて突っ込んだ説明を求められる機会も少なくないという。
 ポケトークは対話型の翻訳機で74言語に対応。自国語の言葉で話しかけると約0.6秒で相手の言語に翻訳して話してくれる。クラウド上のエンジンとつながっているため、使うたびに最新の翻訳に進化していく。全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」の音声翻訳機における2018年9月データで、ポケトークは販売台数シェア95.2%と圧倒している。
●販売員は減り、インバウンドは増える
 パーソル総合研究所と中央大学がこのほど発表した共同調査では、2030年の国内労働時市場における人手不足は644万人になるとみられる。産業別では、サービス業で400万人、医療・福祉で187万人、卸売・小売で60万人が足りなくなると推計している。まだ、不足人数が増えるほど実質賃金も上がり続けていく。
 一方でインバウンドは、9月は台風21号による関西空港の閉鎖や北海道胆振東部地震の影響で前年同月比5.3%減の216万人となり、5年8カ月ぶりに前年を下回ったものの、1〜9月の累計で2346万人(前年同期比10.7%増)と、依然として増加傾向。20年の東京五輪に向けて、増え続けるとみられる。
 人手不足の販売現場で外国語に堪能な販売員だけを揃えるのが実質的に困難な中、AI翻訳機を店舗の接客で使うという「実演販売」で効果が出たら、ビックカメラのように店舗で活用する企業も増えそうだ。(BCN・細田 立圭志)

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