ハイレゾ音源は本当にアナログの音より気持ちいいのか?

ハイレゾ音源は本当にアナログの音より気持ちいいのか?

@DIME アットダイム

CDよりも高音質で「まるでレコードのよう」と話題のハイレゾ。ならば、アナログと比べると、どちらが魅力的なのか?聴き比べて検証してみた。

 

アナログVSハイレゾの試聴の現場は東京・代々木にある『Spincoaster Music BAR』。アナログとハイレゾのシステムが揃い、その違いを体感できる。自分のレコードをボトルのように”キープ”(有料)することも可能。

◆ハイレゾとアナログのサウンドはどちらが“高音質”?

 そこで、アナログレコードとハイレゾ音源を堪能できるミュージックバー『Spincoaster Music BAR』にて記者が試聴を体験。バーを運営するSpincoasterの代表取締役・林 潤氏にそれぞれの魅力を聞いた。

「私は学生時代に宇多田ヒカルの曲をCDからMDにダビングして聴き入っていました。それから約15年。同じ曲をハイレゾで聴く機会があったのですが、それは今まで知っていた曲ではなく、“新たな宇多田”に出会ったような感覚になりました。それが、このようなバーを企画したきっかけです」

記者「ハイレゾはCDよりも高音質で、アナログのような特性をデジタルで再現できるようになったと言われていますが、ハイレゾとアナログの音は何が違うんですか?」

「ハイレゾは音の細部まで明瞭に表現できます。僕が注目しているのはブレス(吐息)もはっきり聞こえること。宇多田ヒカルのようなブレスに特徴があるアーティストや、CORNELIUSのように演奏者の位置関係まで緻密に計算して演出する音楽はハイレゾ向き。美しいメロディーはアナログのほうが気持ちよく聞こえる場合もあります」

記者「それはハイレゾのほうが音質は良いということ?」

「音質の善し悪しはデータでは判断できません。ハイレゾは音のディテールがくっきりします。一方アナログはしなやかで、心地よい感じ。どちらも捨てがたい、大きな魅力ですよ」

【Soft】ハイレゾ&アナログの達人・林氏の選曲はこれ!

〈ハイレゾファイル代表〉

●ハイレゾのすばらしさを認識した一枚


宇多田ヒカル
『First Love』

「宇多田ヒカルの特徴的なブレス(息継ぎ)をクリアに再現。ハイレゾに目覚めた」

●ハイレゾのクリアさを実感できるアルバム


CORNELIUS
『Sensuous』

「細部まで明瞭に再現するハイレゾの特性を生かしたアルバム。立体感がある」

◎空気感もリアルに再現。ライブの音源は臨場感がスゴイ!

楽器の種類で異なる音色や音程、音量も明確で、それぞれの位置関係もくっきりと再現できる。ブレスに特徴のあるアーティストやライブなどは最適。

〈アナログ盤代表〉

●”気持ちいいアナログ盤”の代表作


山下達郎
『RIDE ON TIME』

「全般的に、柔らかで心地よいサウンド向き。その特性を活用した代表作がこれ」

●CDでは気づかなかった音と出会える


YMO
『Solid State Survivor』

「テクノサウンドの代表作。構成が細やかで、CDではわからなかった音に気づく」

◎音が太く、心地よいやさしいサウンド向き。いつまでもじっくり聴いていたくなる!

中音が太く、豊かに再生する特性がある。心地よいサウンドはアナログに向いており、長時間聴いても疲れにくい。山下達郎、松任谷由実などはアナログに最適。

【Hard】ハイレゾとアナログはこんなに違う

〈ハイレゾ代表〉

[音質]CDよりも情報量が約6.5倍も多く、CDでは再生できなかった微細な音も再現することができる。レコードのように細い溝を針でこすることはないので、ノイズのないクリアなサウンドが特徴。

[プレーヤー]ハイレゾ音源は主にインターネットを介して入手するため、ネットワーク対応が主流。写真はSpincoaster Music BARで使用するソニー『HAP-Z1ES』(22万6800円)。

[利便性]ハイレゾ音源はデジタルファイルとしてHDDに保存し、管理する。楽曲の検索にはネットワークに接続したスマホやタブレットを活用するモデルもあり、聴きたい曲を簡単に探し出し、すぐに再生が可能だ。デジタルメディアの大きな特徴だ。

[オススメ入門モデル]

●ハイレゾの音源を余すことなく再現


ソニー『CMT-SX7』
オープン価格(実勢価格約6万5000円)

新開発の高音質コーデックLDACを採用。従来比、最大3倍もの膨大な情報量を伝送可能。

●USB接続するPCのハイレゾ音源も再生


パナソニック『SC-PMX100』
オープン価格(実勢価格約6万5000円)

USB-DACを搭載し、PCとUSB接続するだけで、PCのハイレゾ音源を再生できる。

〈アナログ代表〉

[音質]レコードはハイレゾ同様、人間の耳で聞こえない音域の音も収録されており、奥行き感のある音を再現する。特に中音は厚みのある音に再生する特性がある。これが音を豊かにし、心地よく聞こえる。

[プレーヤー]レコード盤を一定速度で回転させるシステムはシンプルだが、振動による悪影響を受けないよう、緻密な設計がされている。同店では高級ブランドのトーレンス『TD309』を採用している。

[利便性]曲順や曲名はレコード盤やジャケット上にあるリストを確認。聴きたい曲の冒頭に針を置くなど手間がかかる。針の種類により適正な圧力を調整するなど、利便性は低いが、その手間もアナログレコードの特徴であり、楽しみのひとつだ。

[オススメ入門モデル]

●アナログ音源を楽しみつくすプレーヤー


オンキヨー『CP-1050』
オープン価格(実勢価格約5万3000円)

基本性能を高めた本格マニュアルプレーヤー。キャビネットには制振性に優れた素材を使用した。

●フォノイコライザー搭載プレーヤー


ティアック『TN-350』
オープン価格(実勢価格約5万6000円)

フォノイコライザーを搭載し、フォノ入力を持たないアンプにもダイレクト接続が可能。

■レコードプレーヤーに必須。フォノイコライザーって何!

レコードプレーヤーの信号の電圧は、CDなどに比べ2000分の1〜40分の1程度。以前のアンプではアナログレコード用入力の信号を増幅させていたが、レコード用入力端子がないアンプには、フォノイコライザーを仲介させ、信号を増幅させる。


オーディオテクニカ
『AT-PEQ20』2万7000円

《結論》

ハイレゾは音楽メディアがアナログからCD〜MDと様々な変貌を遂げながら行き着いた領域。スペックはすばらしく、臨場感は非常に高い。しかし、自然の音に近いという点ではアナログも非常に魅力的だ。好みのアーティストや楽曲にマッチしたシステムを選ぶのがベストだろう。

文/編集部

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