「FileMaker 16」の強化ポイントをビル・エプリング社長に聞く - 「私たちは成長を続けていきます」

「FileMaker 16」の強化ポイントをビル・エプリング社長に聞く - 「私たちは成長を続けていきます」

画像提供:マイナビニュース

2017年5月10日、FileMakerプラットフォームの最新バージョン、FileMaker 16がリリースされた。このリリースから1週間後の5月16日、ファイルメーカー株式会社 社長のビル・エプリング氏にバージョン16の位置付けや戦略について、また同社ノースアジアセールスディレクターの日比野暢氏に日本での状況などについて話を聞いた(以下、敬称略)。

○生産性と統合の向上が好評な新バージョン

-- FileMaker 16がリリースされて、1週間が経ちました。手応えはいかがでしょうか。

エプリング リリースから日が浅く、数字をお話しできる段階ではありません。しかしお客様や開発パートナーからは良い反応をいただいています。開発パートナーであるFBA(FileMaker Business Alliance)の皆さんにリリース前のプレビュー版を使っていただき好評だったので、高い評価を得られるものと予想していました。その予想通りの反応をいただいて、うれしく思っています。

-- バージョン16には、開発のプロフェッショナル向け、あるいはハイエンドな新機能が多いように思います。

エプリング そうですね。開発のプロフェッショナルから見て、これまで以上に生産性を上げられることと、さまざまな統合ができることが、好評の理由です。生産性向上の例としては、レイアウトモードで複雑なレイアウトでも目的のオブジェクトを操作しやすくするレイアウトオブジェクトウインドウ。統合については、JSON関数とcURLオプションの機能拡張などがあります。

○新規ユーザーの支援もますます充実させたい

-- 一方で、シチズンデベロッパー、つまりプロのエンジニアではなくユーザーの立場で開発をする人にとっては、FileMakerは難しそうでハードルが高いと感じてしまうのではないかとも思えるのですが。

エプリング シチズンデベロッパーは、もちろん開発のプロフェッショナルである必要はありません。FileMakerはエントリーレベルから容易に使い始めることができ、しかもそこからどんどん使いこなして先へ進める可能性を持っています。
新規ユーザーのためのセミナーやトレーニングを数多く開催していますが、これは重要な取り組みのひとつです。新しいお客様がまずFileMakerの存在を知り、何ができるかを知る、そして最初のカスタム Appを使い始める。セミナーやトレーニングを通じてここまで到達することが、最初のステップとして重要です。いったん使い始めたら、その後はどんどん利用の範囲が広がっていくと思いますが、そのために活用できるマテリアル(資料)も必要です。今年の夏にはもっと充実したトレーニングやマテリアルを提供したいと考えています。

○Accessユーザー注目! FileMaker初の乗り換えキャンペーン

-- Microsoft Accessを対象とした乗り換えキャンペーンが実施されていますね。過去に、このように特定の製品を対象としたキャンペーンはなかったのではないでしょうか。

エプリング ありませんでしたね。これは世界中で実施しているキャンペーンで、良いプロモーションだと思っています。AccessユーザーはFileMakerを使うことで大きなメリットを得られる、つまり私たちにとっての潜在的なお客様が多いと考えられるからです。私たちは通常、新製品のリリースと同時にこのようなキャンペーンを実施することはありません。新製品が出たというだけで売上が動きますから。しかし今回は、新製品が出たという話題とともにキャンペーンが広がる口コミ効果に期待しています。このキャンペーンも始まったばかりなのでまだ数字に表れてはいませんが、新規ユーザーを獲得できそうな良い感触を得ています。今四半期の成果は予想よりも良くなると見込んでいます。

○FileMakerはサーバセントリックのプラットフォーム、Cloudはこの夏登場

-- FileMaker WebDirect(FileMakerのデータベースにブラウザからアクセスして利用する機能)のほか、バージョン16の新機能のFileMaker Data API(試用版)やOAuth 2.0のサポートなど、FileMaker Serverがないと使えない機能も増えてきています。古くからFileMakerを知っている人にとってはデスクトップアプリケーションのFileMaker Proが中心的な存在というイメージかもしれませんが、現在はサーバの存在を前提とした環境に変化していますね。

エプリング FileMakerはサーバセントリック、つまりサーバを中心とした開発環境でありプラットフォームです。チームでの情報共有はビジネスに欠かせません。マルチプラットフォーム、マルチデバイスで使えることの重要性は既存のユーザーももちろん認識しているでしょう。日本のお客様はどちらかというと保守的な傾向があり、これまでのソリューションを使い続ける傾向がありますが、それでもこれからはサーバを使う環境が必要であるということは十分認識されています。日本でも世界でもFileMaker Serverを利用するユーザーは増えていますし、私たちはFileMaker Serverの利用を推奨しています。FLT(FileMaker Licensing for Teams)のライセンスにFileMaker Serverが含まれているのは、その表れです。現在、新規のお客様の大半はFLTを利用してFileMakerプラットフォームを導入しています。さらにこれからは、クラウド環境が中心になっていくでしょう。

-- そのクラウドですが、AWS上でFileMaker Serverを利用できるFileMaker Cloudは日本ではまだ提供されていません。現時点での状況を教えてください。

エプリング 日本では今年の夏の開始を予定しています。昨年9月に米国とカナダでスタートし、その後、ヨーロッパ、中東、アフリカと地域を広げてきました。いずれの地域でも成功を収めていますので、日本のお客様にも喜んでいただけると思います。

○中小規模のユーザーにさらなる可能性を提供したい

-- 先ほど話に出たFLTは、購入できるライセンス数が最大100ユーザーから500ユーザーに変更されました。一方、これまではたびたび、ファイルメーカー社の主な顧客層は中小企業、あるいは大企業の中のワークグループとうかがってきました。そうした顧客層をターゲットとするにしては、500ユーザーライセンスというのは多いようにも感じます。500ユーザーライセンスにはどのような意味があるのでしょうか。より大人数の組織もファイルメーカー社のターゲットにしていくということですか?

エプリング 中小企業などにおいてもスケーラビリティは必要であるという判断です。より多くのライセンスを必要とするところに提供したいということであり、ターゲットの戦略を変えたわけではありません。

日比野 組織内の従業員数というよりはデバイスの台数、主にiPadの台数が増加している傾向によるものです。お客様から100では足りないという声があり、500に増やしました。

エプリング 基幹データベースに対抗するつもりはありません。ターゲットは正しく見極める必要があると思っており、これまで通りの方針です。スケールアップのためのスケーラビリティやエンジニアにとって必要なパワーといったニーズに応えるためのものです。

○社会情勢の変化にはパートナー企業が対応

-- バージョン16のリリースに合わせて、ファイルメーカー社のビジネスの状況として業種別ライセンス出荷数の割合を教えていただきました。医療と製造・流通がそれぞれ20%と多く、特に医療分野では継続して成長しているとのことでした。特定の業種に向けた取り組みをしているのですか?

日比野 いいえ、弊社としては業種を限定した取り組みはしていません。ただ、私たちの開発パートナーが、社会情勢などを反映して特定の業種にアプローチすることはあります。たとえば現在であれば、2020年に向けて忙しくなっている建築業界のニーズや、長時間労働の問題から生じた労務管理のニーズなどが多くなっていて、パートナー企業が動いています。教育や児童福祉の分野でも、学校の校務システムや児童福祉施設の業務管理システムなど、パートナー企業が開発したFileMakerソリューションを多くの組織で使っていただいています。

○時代の要請に適合しながらこれからも成長していく

-- ユーザーからすると自分たちの業務にとって大切なソリューションを作り、使っていくわけですから、FileMakerに対する信頼感や確信のようなものが求められますね。

エプリング 私たちの今までの実績を見れば信頼していただけると確信しています。これまでおよそ30年にわたって、お客様に製品を使っていただいています。お客様のニーズの変化と、テクノロジーやプラットフォームの変化に適合してきたからです。Macのデータベースアプリケーションから始まり、WindowsやWebも含めたクロスプラットフォームへ、そしてモバイルにも対応してきました。日本では今年の夏からFileMaker Cloudも提供します。また、親会社であるAppleも私たちも、経営はたいへん良好です。シリコンバレーには流れ星のような、あるいは花火のような企業もたくさんありますが(笑)、私たちは成長を続けていきます。
(小山香織)

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