話題の1冊 著者インタビュー 杉江松恋 『ある日 うっかりPTA』 KADOKAWA 1,300円(本体価格)

 ――最近、ネット上で「PTAなんて早くなくなれ」といった投稿が話題になっています。「時代に合ってない」と指摘する人もいますが、どう思いますか?

 杉江 PTAは戦後、民主主義に則った教育体制を早急に根付かせなければならなかったため、大慌てで導入されたシステムです。需給がぴったり合っていたのはその時期だけで、以降はだんだん時代遅れなものになっていったんだと思います。だから、ひと昔、ふた昔前のPTA像をそのまま当てはめたら、それは「止めたほうがい」という話になるでしょう。しかし、現代には現代の新しい要請があります。
 自分自身がPTA会長に就任したとき、今のPTAには「何が求められていて、何が不要とされているのか?」をきちんと整理して考える必要があると思いました。現在のPTAの使命は、学校を含めた地域の中で、安心して子育てができるような態勢を作るお手伝いだと思っています。また、行政がおかしなことを言ってきたときには、PTAが抵抗する足がかりにもなりますしね。

 ――実際にPTA会長をやってみて、どんなことが分かりましたか?

 杉江 それぞれの家庭にはそれぞれの事情があるのだなぁ、というごく当たり前のことでした。私はライターという職業なので、自分の常識が別の職業の方とまったく違うということに気付いてビックリする瞬間が度々ありました。しかし、会長というのは組織の中の調整役ですから、自分が変わらないとうまく回っていかない。PTAで活動しながら、自分の生き方を修正していったのだと思います。
 中年になって自分が変わる機会を得ることはあまりないですよね。実は、PTAの一番いいところはそこだと思っています。大人になると仕事以外の付き合いというのは少なくなりますが、その中で学べることもいろいろあります。だから、働いている人こそ、PTAに思い切って飛び込んでみると新しい発見があるのではないでしょうか。

 ――数少ない男性が参加すると、PTAの女性たちからモテるといいますが、どうでしょうか?(笑)

 杉江 私はもともとモテモテでしたから…、というのは冗談で、「女の園に男が入るとモテる」というのは、ハッキリいって幻想です。同性同士でうまくやっているところに男が入ってくるわけですから、間違いなく面倒くさい。というか、そんなところでモテてしまっても相手はほとんど家庭持ちなわけで、モテ運を無駄遣いするだけだと思います!
(聞き手/程原ケン)

杉江松恋(すぎえ・まつこい)
1968年東京都生まれ。慶應義塾大卒。国内外のミステリーをはじめとする文芸書やノンフィクションなど、幅広いジャンルの書籍について書評・評論活動を展開。読書会、トークイベント、落語会などの主催も精力的にこなす。

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