話題の1冊 著者インタビュー 汐街コナ 『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』 あさ出版 1,200円(本体価格)

 ――ツイッターで30万リツイートされ、大反響となっています。実際に“死ぬほど追い詰められながらも会社に通っている人”は多いと思いますか?

 汐街 ツイッターでの反響を見た私の体感としては、思っていたよりかなり多いように感じました。過労状況の人はある程度いるとは思っていましたが、広告やデザイン、ITやマスコミなど、一般に激務で知られた限られた業種の方くらいだと思っていました。しかし、実際に漫画をツイートして、その反応を見てみると、激務と言われる業界以外にも、多くの過労状態の方がいることが分かりました。また、パワハラなどで追い詰められている方も多いように思います。業界や職種に関係なく、仕事に追い詰められている方はたくさんいるのだなと感じましたね。

 ――身内に長時間残業などで疲弊している人がいる場合、どのようなアドバイスをしたらいいのでしょうか?

 汐街 本書の中で精神科医のゆうきゆう先生も書いていらっしゃいますが、まずは相手の気持ちに寄り添い、尊重することが大切だと思います。その上で、相手の状態を見ながら、やんわりと心配していることを伝え、場合によっては心療内科に通うことを提案してみるといいでしょう。心配のあまり、相手を追い詰めてしまうような言動は避けた方がいいですね。
 私自身が残業に追われている時のことを振り返ってみると、せめて身内には味方でいてほしかったなと思います。相手のことを思ってのことであっても、本人にしてみれば、余計なお世話と取られてしまう場合もあります。一番のオススメは“ただ話を聞いてあげる”ことです。

 ――会社を辞めた後のことを心配する人は多いと思います。実際、なんとかなるものでしょうか?

 汐街 残念ながら、なんとかなるとは断言できませんが、少なくとも今日、明日、死んでしまう、あるいは心身を病んでしまう、という状態からは一度脱出することができます。会社を辞めるのを躊躇する方は、将来のことを心配されています。しかし、将来のことを心配しながら歩いているうちに、足元の底なし沼にハマってしまうというのが、“判断力を失う”怖さなんです。本書の中で「キューキョクの選択」と書いてある通り、今の道を進んでも確実に悪い結果しかないと分かっているなら、リスクを取っても未知の選択をするしかないのです。切羽詰まった状況では、1年後の心配よりも、“今日、明日を生き延びること”が重要なのです。
(聞き手/程原ケン)

汐街コナ(しおまち・こな)
広告制作会社のグラフィックデザイナーを経て漫画・イラストの活動を開始。デザイナー時代に過労自殺しかけた経験を描いた漫画が話題になり書籍化。

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